BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「リアル〜完全なる首長竜の日〜」 2013

映画「リアル?完全なる首長竜の日?」【TBSオンデマンド】

★★★☆☆

 

あらすじ

 自殺未遂で昏睡状態の妻の意識に、治療の一環として潜入する夫。

 

感想

 昏睡状態の人間の意識下に入ることに医療的にどんな意味があるのかいまいち分からないが、患者の家族的にはコミュニケーションが取れるものなら取りたいという心情は理解できる。

 

 ホラーなのかサスペンスなのか、ミステリーなのかよくわからないような、すべての要素が含まれているような不思議な雰囲気。終始不穏な音楽が背景に流れ、どこかリアルな感じがしない映像に落ち着かない気分になる。本編とはあまり関係ないのかもしれないが、主人公が車を運転するときのどこか大げさな映像表現が良かった。

 

 

 意識がないということは、普段は意識下にある無意識しか存在しないということで、無意識が体を支配しているということになるのか。その状況では、それまで意識が無意識の領域に追いやって押さえ込んでいたようなことも、大きな影響を与えるようになるのかもしれない。

 


Mr.Children「REM」Music Video(Short ver.)

 

 エンディングで流れる主題歌はミスチル。激しい曲調で最初、ミスチルだと気づかなかった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 黒沢清

 

原作 【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

出演 佐藤健

bookcites.hatenadiary.com

中谷美紀/オダギリジョー/染谷将太/堀部圭亮/松重豊

bookcites.hatenadiary.com

 

完全なる首長竜の日 - Wikipedia

リアル~完全なる首長竜の日~-動画[無料]|GYAO!|映画

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「映画 鈴木先生」 2013 

映画 鈴木先生

★★★★☆

 

あらすじ

 勉強はできるがあまり積極的ではない生徒が、突然生徒会の選挙に立候補すると言い出し、訝る担任教師。テレビドラマの劇場版。

 

感想

 これまでの不良や問題児を相手にする熱血教師ものであれば、その他大勢という扱いだった普通の生徒たちがメインになっている事に新鮮さを感じる。彼らにだって個性はある。そして教師も聖人君子ではなく、妄想したり悩んだり迷ったりしているというのもリアリティがある。

 

 こうやって学校教師ものという定番ジャンルもアップデートされていく。でもきっとこういうのは社会に出た人間がいろいろ経験し、こんな教師がいたら良かったという願望を描いているので、社会に出ていない実際の教師たちは未だに問題を起こす生徒にばかり多くのリソースを割いているのだろう。まぁ、学校も社会ではあるのだが。

 

 

 教師が生徒たちへかける言葉はなかなか説得力があって感心してしまう。彼らを見守る姿も真摯で、良い先生だなと素直に思う。でも、これはテレビドラマの時に描かれたのかもしれないが、両者に信頼関係が出来ているから成立することだ。冷めているように見える生徒も、結局熱い部分を見せている。教師を信頼せず、無気力になっている生徒のほうがリアリティがあるような気はしてしまう。

 

 それから卒業生がやって来て事件を起こすが、明らかな犯罪行為をされたわけでもないのに、いつまで経っても学校を恨んでいる人間はそれ自体、駄目な気がする。そのあたりはラストの振りになっているのかもしれないが。というか、隙だらけなんだから、土屋太鳳逃げろよ、と何度も思ってしまった。

 

 教師がありがたい言葉をかけるのではなく、生徒に慰められて終わるのも新しい感じがした。ドラマを見てなくても普通に楽しめる映画。

 

スタッフ/キャスト 

監督 河合勇人

 

原作 鈴木先生 全11巻 完結セット (アクションコミックス)

 

出演 長谷川博己/田畑智子/でんでん/富田靖子/臼田あさ美/土屋太鳳/松岡茉優/風間俊介/浜野謙太/窪田正孝

 

音楽 大友良英

 

映画 鈴木先生

映画 鈴木先生

 

鈴木先生 - Wikipedia

鈴木先生 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「きいろいゾウ」 2013

きいろいゾウ

★★☆☆☆

 

あらすじ

 田舎で暮らす小説家とその妻。

www.youtube.com

 

感想

 冒頭で宮崎あおいを裸で登場させて、つかみはオッケー、という感じがあざとい。原作に忠実にツマとムコと呼び合う関西弁の夫婦は実写だとキツいかなと思ったが、しばらくすると慣れてきて、それは気にならなくなった。

 

 田舎にやって来た若い夫婦の無邪気なやり取りはほとんど冒頭のみで、その後はずっと、どこか噛み合わない二人の姿が延々と描写され、結構しんどかった。しかも、しっかりたっぷりと間を使う。もう分かったから、と言いたくなるくらいにしつこかった。

 

 

 そんな中、その感じだと手がぐちゃぐちゃになっちゃうよ、というぐらいツマがムコの手を執拗に傷つけるシーンがあったのだが、結果ちょっと血が流れた程度で、全然寸法があってないがな、と思ってしまった。

 

 お互いに肝心なことは話さず、だけど相手が話し始めることは期待して待っている。もどかしい二人だ。面と向かって本音を言えず、それを日記にしたためる夫と、それをこっそり読んでいることをそれとなく知らせる妻。

 

 そう考えると、この映画のポスターはそんな二人の空気というか、雰囲気を良く表しているのかもしれない。それぞれがそれぞれの世界に浸っているような。端から見ると、なぜか少しイラッとするような。

 

スタッフ/キャスト

監督 廣木隆一

 

原作

bookcites.hatenadiary.com

 

出演

bookcites.hatenadiary.com

向井理/本田望結/緒川たまき/リリーフランキー/松原智恵子/濱田龍臣

bookcites.hatenadiary.com

大杉漣(声)/柄本佑(声)/安藤サクラ(声)/高良健吾(声)

 

音楽 大友良英

 

きいろいゾウ

きいろいゾウ

  • 宮崎あおい
Amazon

きいろいゾウ - Wikipedia

きいろいゾウ | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「レイン・オブ・アサシン」 2010

レイン・オブ・アサシン スペシャル・プライス【Blu-ray】

★★★★☆

 

あらすじ

 暗殺者の過去を封印して整形をし、結婚して穏やかに暮らしていた女が、元いた暗殺集団に見つかり追われることになる。

 

感想

 達磨大師の分断された遺体を巡る争い。遺体が揃うと武術の覇者になれるというちょっとしたドラゴンボール感覚だが、散らばった遺体を集めるというのがグロい。映画の中では別にグロく描かれてはいなかったが。

 

 共同監督なのでジョン・ウーがどの辺を撮っているのか分からないが、見応えのあるアクションが続く。そしてそれぞれのキャラクターも立っていて漫画的でもあり、娯楽作として楽しんで観られる。

 

 

 物語もちょっとした驚きはあるが、まぁありがちと言えばありがちな展開ではある。奥さんが平穏な生活を守るために命を削って戦っているのに、まったく何も気づかない凡庸で鈍感な夫にしても面白かったかもしれない。それから達磨大師の遺体が揃ったのだから、何か起きて欲しかった。そこをスカされたのはちょっと残念。

 

スタッフ/キャスト 

監督/脚本 スー・チャオピン

 

監督/製作 ジョン・ウー

 

出演 ミシェル・ヨー/チョン・ウソン/ワン・シュエチー/バービー・スー/ショーン・ユー/ケリー・リン/レオン・ダイ/グオ・シャオドン/リー・ゾンファン/ジャン・イーイェン/パウ・ヘイチン/ペース・ウー/アンジェスル・ウー

 

レイン・オブ・アサシン (字幕版)
 

レイン・オブ・アサシン - Wikipedia

レイン・オブ・アサシン-動画[無料]|GYAO!|映画

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「きっと、うまくいく」 2009

きっと、うまくいく(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 大学卒業以来行方不明となっていた親友が見つかり、会いに行く同級生たち。

www.youtube.com

 

感想

 スピルバーグが絶賛したというインド映画。笑いあり、涙あり、インド映画お決まりの謎のダンスシーンありと、3時間近い上映時間も気にならないほど楽しめる。

 

 物語は、学生時代に同じ寮の部屋で過ごした音信が途絶えていた親友に会いに行こうとするシーンから始まる。そして10年前の学生時代を回想しながら、その親友がどんな人間なのかを明らかにしていく。更に親友に会いに行く過程で、なぜ彼が卒業後消息を絶ったのかも明らかになる。この物語の構成も見事だ。

 

 

 学生時代の彼らの友情のエピソードにも心打たれるし、彼らに大きな期待を寄せている家族との関係も胸に迫るものがある。さらに競争重視の学歴社会や、学ぶとは何かといった教育に関する問題への言及もある。そしてなぜ主人公は将来への影響を気にせず、教育界へ異議を唱えられたのかについても、ちゃんと理由があったというのもうまい設定だ。

 

 ただ、彼らは自由奔放な言動で学長から目を付けられ、何度か退学の危機に陥るのだが、よく考えるとこれは全部彼らに非がある。彼らに引っかき回される学長の方がかなり可哀想だ。卒業して10年経っても、また彼らに迷惑をかけられているし。

 

 たまにはインド映画も悪くないと思わせてくれる映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ラージクマール・ヒラーニ

 

脚本/製作 ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー

 

出演 アーミル・カーン/R・マドハヴァン/シャルマン・ジョシ/ボーマン・イラニ/カリーナ・カプール/オミ・ヴァイディア/アリ・ファザル

 

きっと、うまくいく - Wikipedia

きっと、うまくいく-動画[無料]|GYAO!|映画

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「東京島」 2010

東京島

★★★☆☆

 

あらすじ

 遭難して無人島で暮らす一人の女と男たち。

 

感想 

 無人島で暮らすことになったらありそうなエピソードが、だいたい詰まっている。さらに、もしそこに女は一人しかいなかったら、というのも。

 

 ただ色々詰め込まれすぎているせいか長く感じた。せめて、2時間以内に収めて欲しかったところ。おかげで色々と粗探しをしてしまった。

 

 

 そもそもこうも短い間に次々と人がやってくる島があったら、無人島になっていないはずだ。たくさん人は流れつくし、出ていくのは難しいし、だけどそれなりの暮らしは出来そうなわけだから。

 

 そしてなぜ島を脱出する人は助けを呼んでくれない前提になっているのか。本当だったら皆で協力して代表を送り出し、助けを呼んでもらおうとしそうなものだ。生き抜くのが厳しい島なら早く脱出しないとと焦るのも分かるが、そういうわけでもないのに。

 

 とはいえ、脱出できた人間たちは助けを呼んでないみたいだから、彼らの予感は当たっていたわけだが。生き抜くためにあまり人には言えないことをしたからそれが露見するのを恐れて口外しなかったのか。お互い様だし、特殊な状況だから理解してもらえると思うし、逆に世間が好奇心丸出しでほっとかないと思うのだが。

 

 結局、この映画からは、男女の割合がバランス取れていれば社会はうまくいく、という教訓が得られただけのような気がする。

 

スタッフ/キャスト

監督 篠崎誠

 

脚本 相沢友子

 

原作

bookcites.hatenadiary.com

 

出演 木村多江/窪塚洋介/福士誠治/鶴見辰吾/柄本佑/染谷将太

 

音楽 大友良英 

 

東京島

東京島

 

東京島 - Wikipedia

東京島-動画[無料]|GYAO!|映画

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜」 2014

300<スリーハンドレッド>?帝国の進撃?(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ギリシャ軍とペルシャ帝国軍の海上での戦い。

 

感想

 続編でありながら、ほぼ同時間帯の別の場所という設定が面白い。そして前作同様、それぞれのシーンが絵画的で美しい。

 

 ただ物語としてはイマイチ感がある。あまり少数が大軍に挑むという感じがしない。海上だからなのだろうか。僅かな人数で大軍を打ち負かす爽快感はそんなに感じなかった。

 

 

 今回はむさ苦しい男たちの中に、紅一点としてエヴァ・グリーン演じる女指揮官がいるが、女でありながら指揮官であるという立場をうまく利用した演出となっている。戦いの最中に中立地帯で敵国の司令官である主人公と会合するシーンは見応えがある。

 

 ふと気付いたのだが、ギリシャ軍はほとんど半裸で戦っているのは何故なんだろう。ちゃんと鎧とかの防具を身につければいいのにと思ってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 ノーム・ムーロ

 

脚本/製作 ザック・スナイダー

 

出演 サリバン・ステイプルトン/エヴァ・グリーン/レナ・ヘディ/ハンス・マシソン/カラン・マルヴェイ/デビッド・ウェナム/ロドリゴ・サントロ/ジャック・オコンネル/ピーター・メンサー/アシュラフ・バルフム

 

音楽 ジャンキーXL

 

300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜 - Wikipedia

300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~ (R15+) 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

関連する作品

前作

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「シングルマン」 2009

シングルマン (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 不慮の事故で恋人を失った悲しみが癒えない男は、自殺を決意する。

 

感想

 ファッションデザイナーとして有名なトム・フォードの監督デビュー作。主人公の眼鏡が特徴的だが、要所要所にファッションデザイナーとしてのこだわりが垣間見える。

 

 ほとんど事前の知識なしに観始めたので、こういう映画だったのかとちょっと面食らったが、ゲイの物語も男女の物語に置き換えてみれば、至って普遍的な内容であることがわかる。

 

 恋愛の悲しい思い出は、新しい恋が忘れさせてくれるというのは、真実といえば真実ではあるが、よく考えると残酷な話ではある。特にこの映画のように死に別れたときは、尚更そう感じる。

 

 

 物語は結局当初の予定通りの結末を迎えたわけだが、きっと主人公の心持ちは予定とは違っていただろう。気の持ちようというのは本当に大事だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 トム・フォード

 

製作 アンドリュー・ミアノ/ロバート・サレルノ/クリス・ワイツ

 

出演 コリン・ファース/ジュリアン・ムーア/ニコラス・ホルト/マシュー・グッド/ジョン・コルタジャレナ/ジニファー・グッドウィン/ テディ・シアーズ/リー・ペイス/エリン・ダニエルズ/(声)ジョン・ハム

 

音楽 アベエル・コジェニオウスキ/梅林茂

 

シングルマン (字幕版)

シングルマン (字幕版)

 

シングルマン (映画) - Wikipedia

シングルマン-動画[無料]|GYAO!|映画

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「わが青春に悔なし」 1946

わが青春に悔なし

★★★☆☆

 

あらすじ

 京大事件で罷免された教授の娘と、学生運動に参加していた学生たちのその後。

滝川事件 - Wikipedia

 

感想

 戦後間もないというのに、もう戦時中の反戦運動者を讃えて評価するなんて仕事が早いなと思っていたが、どうやら占領中の米軍の意向があったようだ。

 

 戦争が迫り、息苦しくなっていく社会の中で、世の流れにうまく乗って流されていく者、流れに屈することなく自らの信念を貫く者、と様々な人生模様がある。同じ学生時代を過ごした者たちも、それぞれが違う道を進んでいく。

 

 

 そんな時代に、自らの生き方を貫こうと世の中に飛び込んでいく原節子演じる若い女性。小津映画以外で観る原節子は表情豊かで人気女優だったのも理解できる。そして境遇が様々に変わっていく若い女性をうまく演じている。特に終盤の旦那の実家の農家でのシーンは、なかなか男前な鬼気迫るものがあった。

 

 それから全く関係ないが、彼女がノーブラなのが気になった。和服のとき、女性は下着をつけないと言うが、洋装でも着けなかったのだろうか。撮影当時もそういう習慣だったのか、時代設定に合わせてあえてそうしていたのかなど、色々と疑問が浮かぶ。

 

スタッフ/キャスト

監督

bookcites.hatenadiary.com

 

脚本 久板栄二郎

 

出演 原節子/大河内傳次郎/藤田進/杉村春子/志村喬/深見泰三

 

わが青春に悔なし - Wikipedia

 

 

この作品が登場する作品

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「カールじいさんの空飛ぶ家」 2009

カールじいさんの空飛ぶ家 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 亡き妻と過ごした家を立ち退かなければならなくなった老人は、妻と訪れる約束をした場所に向かって家ごと旅立つ。

 

感想

 冒頭の冒険家を夢見る少年がある少女と出会い、成長して結婚し、年月を重ねてやがて死に別れる、という半生を一気に短時間で描いたシーンは、何故かそれだけで泣けてきた。二人で過ごしたその歲月に感動しているのか、それともそれなのに最後は一人になってしまうことに寂しさを感じたからなのか、良くわからないが。老人を描くときは、その半生を導入部で紹介しておけば何でも泣けてくるのかもしれない。

 

 しかし子供が主に観ることを想定しているだろう映画で、主役がおじいさんというのはどうだったのだろう。それなりの興行成績を収めたみたいなので目論見は外れなかったようだが、なかなか勇気があることをするなと感心する。

 

 

 おじいさんが旅の目的地周辺まで風船をつけた家で行くのはわかるのだが、目的地周辺をウロウロするときもわざわざ家を引っ張っていくのが良く分からない。程よき所に引っ掛けておいて、自分の体だけで動けばいいのにと思ってしまった。とは言え、少し浮くのでちょっとは役に立っているのだが、かさばる道具だ。家は亡き妻を象徴しているから、執着してしまうということを表しているのだろう。

 

 かつてのあこがれの的だった冒険家がああいうことになってしまうのはちょっとかわいそうな気がしてしまう。主人公同様に執着しすぎるなということだろうが、彼は人生を賭けていたわけだし。ただ互いの利害が衝突するだけで憎しみ合っているわけではなかったのだから、話し合って平和的に解決して欲しかった。別に何かに執着してもいいじゃないかとも思ってしまう。

 

 監督、脚本、音楽などのスタッフの役割と呼応するような、キャラクターたちのシーンを重ねるエンドロールがうまい。最後まで手を抜かないのはさすが。

 

 小さな頃にこれを観た人間が、やがて親になり子供と一緒にもう一度これを観た時、この映画はこんな内容だったのかと、きっと再発見して泣くのだろう。そしてその子供も同じことを繰り返す。そんなふうに世代を超えていきそうな映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/出演(声) ピート・ドクター

 

監督/脚本/出演(声) ボブ・ピーターソン

 

製作総指揮 アンドリュー・スタントン/ジョン・ラセター

 

出演(声) エドワード・アズナー/クリストファー・プラマー/ジョン・ラッツェンバーガー/ジョーダン・ナガイ/デルロイ・リンドー/デヴィッド・ケイ/ダニー・マン/ジェス・ハーネル/

 

カールじいさんの空飛ぶ家 (字幕版)
 

カールじいさんの空飛ぶ家 - Wikipedia

 

 

この作品が登場する作品

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「メランコリア」 2011

メランコリア [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

  自分の結婚式で不安定な行動をとる女。

 

感想

 映画スタートとともに紙芝居のような静止した絵画的カットのシーンが続く。思ってたよりもそれが長かったので、もしかしてこのまま終わりまで続くのか、と不安になってしまった。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」のラース・フォン・トリアーならやりかねない、そう思わせる監督だ。

 

 結婚式というハレの場で情緒不安定な言動を繰り返していた妹に対して、苛立ちを時々見せながらも甲斐甲斐しく世話をする姉。やがて地球に惑星が近づき人類の危機に直面すると、妹はまるで平常心を取り戻したかのように冷静になり、姉は取り乱し始め、その立場が逆になってしまうのが興味深い。

 

 

 冒頭の絵画的シーンが物語を暗示していたことに途中で気付いて、もう一度見直したくなる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ラース・フォン・トリアー

 

出演 キルスティン・ダンスト/シャルロット・ゲンズブール/キーファー・サザーランド/アレクサンダー・スカルスガルド/ブラディ・コーベット/シャーロット・ランプリング/イェスパー・クリステンセン/ジョン・ハート/ステラン・スカルスガルド/ウド・キア

 

メランコリア [DVD]

メランコリア [DVD]

 

メランコリア (映画) - Wikipedia

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「でーれーガールズ」 2015

でーれーガールズ

★★★☆☆

 

あらすじ

 東京から岡山に引っ越してきた女子高生が、同級生の一人と親友になる。

 

感想

 皆と距離を置いてるようなどこか近寄りがたい雰囲気を持つ同級生が、どうして主人公と仲良くなったのか良く分からない。急に話しかけて急に仲良くなってしまった。周りにうまく馴染めない主人公に、似たものを感じたということか。仲良くなった後は最初のイメージとは違い、妙にベタベタしている。

 

 主人公の恋人に想いを寄せ、エスカレートしていく同級生にはかなりひいてしまうが、彼女にとっては不安や恐れを感じないために、何かにすがりつきたかったということなのだろう。それが、ささやかな主人公の嘘によって支えられているというのが悲しいし、他人から見ると気持ち悪くもある。

 

 

 しかし、女子高生役が足立梨花で、大人になったら安蘭けいってだいぶ雰囲気違うのだが、キャスティングこれで良かったのか?という気もする。あれから色々苦労しました感は出ているが。

 

大手饅頭伊部屋 大手まんぢゅう(10個入)

大手饅頭伊部屋 大手まんぢゅう(10個入)

 

 地元の人間としては見慣れた景色が出てくるので、普通に見るよりも楽しめるのは良かった。大手まんぢゅうのお店にあんな食べるところあったかな。

 

スタッフ/キャスト

監督 大九明子

 

脚本 源孝志

 

原作

bookcites.hatenadiary.com

 

出演 優希美青/足立梨花/白羽ゆり/安蘭けい/須賀健太/前野朋哉/甲本雅裕/根岸季衣

 

でーれーガールズ

でーれーガールズ

 

でーれーガールズ - Wikipedia

でーれーガールズ | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「鑑定士と顔のない依頼人」 2013

鑑定士と顔のない依頼人(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 謎の女性から超一流の美術鑑定士のもとに、大邸宅内の美術品や調度品の鑑定の依頼が入る。

www.youtube.com

 

感想

 監督は「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレだ。こういう映画も撮るのかと意外な感じがする。彼は巨匠感があるが、まだ60台前半と案外と若かった。

bookcites.hatenadiary.com

 

 ジェフリー・ラッシュ演じる男が顔を見せようとしない女性に次第に惹かれていく。やがて女性も彼の想いに応えていくのだが、正直、この年齢差はムリがあるだろうと思いながら観ていた。初老の男が若い女に惹かれるのは分かるが、女がそれに応えるかなと疑問だった。ないわけじゃないが嘘っぽいなとは思っていたので、その後の急展開は逆にホッとした。そりゃそうだろうなと。

 

 女性を描いた絵画を集めて鑑賞するのはちょっと高尚な感じがするが、好きなアニメのキャラクターやグラビアモデルのポスターを集めて眺めているのとそう変わらない。そんなささやかな幸せを生きがいにしている男に対してひどい仕打ちだなと思ってしまったが、それまでの生き方では絶対に得られなかった経験ができたのだから、これは幸せなことだったのかもしれないと思い直した。本人が諦めていたような出来事が起きたのだからきっと良かったのだ。いつの間にか手袋も外していた。

 

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ

 

出演 ジェフリー・ラッシュ/ジム・スタージェス/シルヴィア・フークス/ドナルド・サザーランド/フィリップ・ジャクソン/リヤ・ケベデ

 

音楽 エンニオ・モリコーネ

 

鑑定士と顔のない依頼人(字幕版)

鑑定士と顔のない依頼人 - Wikipedia

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「ローリング」 2015

ローリング

★★★★☆

 

あらすじ

 学校の更衣室を盗撮してクビになった教師が、元教え子たちと再会する。

 

感想

 過去の過ちから立ち直り再起を図るという物語ではなく、クズはクズのままだったという物語。それなのに男の頭の片隅にはいつも自分は教師なのだという自制心があったというのは面白い。

 

 意味があるのかないのか、なんとなく物語は進行していく。印象的なシーンも時々挿入されて、ダレることなく見ていられた。

 

 

 なかなか見ない顔ぶれの役者陣が新鮮だったが、元教師役の川瀬陽太が役柄も含めて上島竜兵に見えてきてちょっと困った。それから、柳英里紗がキスしようとする度にいちいち片側の髪をかき上げるのが、AV女優かよ、とツッコミたくなった。すごい不自然だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 冨永昌敬

 

出演 三浦貴大/柳英里紗/川瀬陽太

 

ローリング

ローリング

 

ローリング (映画) - Wikipedia

ローリング(R15+)-動画[無料]|GYAO!|映画

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「はじまりのうた」 2014

はじまりのうた BEGIN AGAIN(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 自ら立ち上げたレーベル会社をクビになった音楽プロデューサーの男と、共作者でもあり恋人でもあった男と別れたミュージシャンの女が出会う。

 

感想

 栄光と挫折を描く物語ならエンディングとなるであろう場面から、物語はスタートする。どん底にいた二人が出会い、音楽そのものの楽しさを思い出し、本来の自分を取り戻していく。きっと監督は音楽が大好きなのだろうなと思わせる描写が多くて楽しくなる。それだけではなくて、ちゃんと細かい伏線も張ってあり、ストレスなく物語も見せてくれる。

 

 マルーン5のアダム・レヴィーンも出演しており、彼は勿論、そして主演のキーラ・ナイトレイの歌も良い。サントラも気になるタイプの映画だ。これだけのクォリティの曲を揃えるというのは、よく考えるとけっこう大変なことかもしれない。


Adam Levine 'Lost Stars' Lyric Video 2015 Best Song Oscar Nominee Insterscope

 

 商売としてではなく純粋に音楽を楽しみたいという彼らの思いが強すぎる気もするが、音楽が売れない時代にはこういうやり方もありなのかもしれない。主人公を中心に若い無名のミュージシャンたちが和気藹々とやっているのもいいが、成功して大豪邸に住むラッパーが、かつてのプロデューサーに今も絶対的な信頼を置いていて、陰ながらサポートしていたのが個人的にはぐっときた。

 

 

 プロデューサーの男とその別居する家族との不思議な関係も微笑ましかった。露出の多い服装をしたがる年頃の娘にどう言えばやめてもらえるかの対処法も参考になった。娘いないけど。普通の映画なら主演の二人のベタなラストが待ち受けていたのかもしれないが、そうはならない所も深みを感じて良かった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジョン・カーニー

 

製作 アンソニー・ブレグマン/トビン・アームブラスト/ジャド・アパトー

 

出演 キーラ・ナイトレイ/マーク・ラファロ/ヘイリー・スタインフェルド/アダム・レヴィーン/ジェームズ・コーデン/ヤシーン・ベイ/シーロー・グリーン/キャサリン・キーナー

 

音楽 グレッグ・アレキサンダー

 

はじまりのうた (映画) - Wikipedia

はじまりのうた BEGIN AGAIN【字幕版】-動画[無料]|GYAO!|映画

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com