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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「マジック・イン・ムーンライト」 2014

マジック・イン・ムーンライト(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 世界的に活躍するマジシャンの男が、古い友人から知り合いの富豪をたぶらかしている霊能者のトリックを暴いて欲しいと頼まれる。

 

感想

  主人公のマジシャンは皮肉屋で文句ばかり言っている厄介な人物。出会う人に嫌味を言っては疎まれていく。当然、霊能者を名乗る女にも痛烈な言葉を浴びせかけ、全く信用しない。しかし、女が次々と自分の事を言い当てるのを目の当たりにして、一気に態度が変わってしまうのが面白い。そして転向した彼が騙された間抜けな人間ではなくて、それはそれで新しく生まれ変わったような幸せな人間に見えるのが興味深い。

 

 当然そのまま終わるわけはなく、主人公は再び気づくのだが、その気付き方がいい。人が一番そういうものを信じてすがりたくなる瞬間に気づく。そしてどちらにしても一貫して面倒くさそうな人間性が滲み出てしまっている主人公にある意味では安心してしまう。

 

 

 20世紀初頭の富裕層の暮らしぶりや南仏の美しい景色も心に残る作品。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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出演 コリン・ファース/エマ・ストーン/サイモン・マクバーニー/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ジャッキー・ウィーヴァー/エリカ・リーセン/アイリーン・アトキンス

 

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「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」 2014

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 第2次世界大戦勃発直後のイギリスで、ナチスの暗号機エニグマの解読チームに加わることになった数学者アラン・チューリング。実話を基にした物語。

 

感想

 極秘任務の暗号解読チームに加わったベネディクト・カンバーバッチ演じる天才数学者アラン・チューリング。独りよがりで自分の世界に閉じ籠り、コミュニケーションもうまくとれず、仲間と協力しようともしないアスペルガーぽい雰囲気もある変人ぶり。

チューリング

チューリング

 

 

 一人で突っ走り、仲間からも疎んじられ孤立してしまった彼が、首相に直訴したらリーダーに任命され、膨大な金額の予算申請も通ってしまったのには、イギリスの懐の深さを感じずにはいられない。日本だったら言うことを聞くまで鉄拳制裁だろう。リーダーになった彼が、その場で二人にクビを言い渡したのは笑ってしまったが。

 

 リーダーにも関わらず、メンバーと協調することができない彼を助けたのが、キーラ・ナイトレイ演じる優秀な頭脳を持ったジョーン・クラーク。彼とメンバーの間の溝を埋め、チームワークを高めるためのアドバイスを行う。しかし彼女も優秀なのに、女性というだけで当然のように排除しようとした最初の試験のシーンは、当時でもまだそんな偏見があったのかと驚かされる。

 

 

 やがて暗号解読には成功するが、その後はなかなか辛い判断を下さなければならなくなる。暗号解読に成功したことをナチス側に気づかれない程度に、味方に被害を受けさせつつ、有利に展開していく必要がある。つまり攻撃を受けると分かっていながら味方をその地に赴かせなければならない。きっと多くの人がこの作戦で犠牲になったはずだ。その家族はこの事実を知ってどう思ったのだろう。

 

 戦争が終わりチームは解散する。極秘任務の暗号解読チームは戦後もその任務は極秘のままで、彼らが果たした功績に対する賞賛は得られること無かった。主人公の数学者もその理解されにくい性格と、戦時中の調査をしても謎のままの経歴のせいで、警察にマークされ、別件で逮捕されてしまう。ここでも戦後のこの時代でも、同性愛者は犯罪者扱いされていたことに驚く。

 

 映画は暗号解読に取り組んでいた時代を中心に、主人公の少年時代、戦後の警察に疑いの目を向けられている現在を行き来しながら進行していく。戦争の勝利に多大なる貢献をした主人公の、寂しい末路に悲しくなる。

 

スタッフ/キャスト

監督 モルテン・ティルドゥム

 

原作 Alan Turing: The Enigma

 

出演 ベネディクト・カンバーバッチ/キーラ・ナイトレイ/マシュー・グッド/ロリー・キニア/チャールズ・ダンス/マーク・ストロング/アレン・リーチ/タペンス・ミドルトン

 

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 - Wikipedia

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登場する人物

アラン・チューリング/ジョーン・クラーク/ヒュー・アレグザンダー/スチュアート・ミンギス

 

 

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「シューテム・アップ」 2007

シューテム・アップ(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 悪党に追われる妊婦を助けようとした男。

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感想

 一見、フランス語っぽいタイトルだが、英語表記すると「Shoot 'Em Up」で完全なる英語タイトルだった。その名の通り、ほぼ銃での撃ち合いばかりの映画だ。

 

 きっと監督はガン・アクションが大好きで、あんな使い方がある、こんな使い方があると日々妄想しているのだろう。スタントマンが作ったアクション映画みたいなもので、とにかくガン・アクションを見せるための映画となっている。ベッドシーンだろうが、スカイダイビング中だろうが、結局は銃撃戦になる。

 

 

 ガン・アクションがメインなのでストーリーはあまり重要ではないとも言えるのだが、その割には複雑に入り組み、意外と重めの話も含まれている。もっとシンプルな物語で単純に楽しませてくれればいいのに、その重めのテーマをそんなに軽く扱うのかと余計なことが気になってしまった。

 

 クライブ・オーウェン演じる男が無敵とも思えるくらい完璧なのに、後半急にあっさり敵に捕まりしおらしくなるという、見せたいアクション重視の展開も逆に潔くて良い。銃製造メーカーの社長に「銃って素晴らしいね」と言いながら、射殺してしまうシーンは皮肉が利いていた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 マイケル・デイヴィス

 

出演 クライヴ・オーウェン/ポール・ジアマッティ/モニカ・ベルッチ/スティーヴン・マクハティ/グレッグ・ブリック

 

シューテム・アップ(字幕版)

シューテム・アップ(字幕版)

  • クライヴ・オーウェン
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「エンド・オブ・ウォッチ」 2012

エンド・オブ・ウォッチ (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 LAの犯罪多発地域を担当する警官コンビの日常をドキュメンタリータッチで描く。

 

感想

 「密着!警視庁24時!」的な雰囲気の映像。なぜか警察も犯罪者も皆がカメラを持っていて、それぞれの行動を自ら撮影している。リアルな感じはあるが、若干慌ただしく落ち着かない印象も受ける。

 

 二人一組でコンビを組んで仕事をする警察官。冗談を言い合ったり、ふざけたりしながらも忠実に職務を遂行する。ただただ真面目に仕事をされてしまうと親近感など持てないが、こんな風に仕事をしていることが分かれば、彼らも同じ人間なんだと安心する。でも少し間違えれば簡単に悪徳警官になってしまいそうな際どさも漂っていて、それならば常に品行方正な態度を取るべきなのか?とも思わなくはない。

 

 

 しかし見ていて思うのは、どう考えても銃社会は間違ってる、という事だ。舞台が犯罪多発地域ということもあるが、アフリカの何処かの国を「リアル北斗の拳の世界」とか笑えないレベル。ギャング同士の対立も銃のせいでたくさんの死者が出るし、彼らを取り締まる警察官も、相手が銃を持っているせいでどちらかが死ぬ確率も高くなる。ギャングが警察官を襲おうと思ってしまうのも銃を持っているからこそだ。 

北斗の拳 1巻

北斗の拳 1巻

 

 

 これほど警察官が日々生死にさらされている国はそうそうないのではないだろうか。たまに無防備な人間を警官が射殺して問題となっているニュースを聞くが、日々そんなストレスの中にさらされていたら、過ちも起きてしまうのかも知れない。

 

 次第に厳しくなる状況のなかでも、主人公たちが私生活でつかの間の休息を得られていることに安心する。新婚の主人公が妻と旅行に出かけ、車の中で二人でCam'Ronの「Hey ma」を掛け合いで唄うシーンは微笑ましい。

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 ラストに観客を騙すようなちょっとしたサプライズがあるが、だからといって手放しでは喜べないような状況。複雑な思いが残る。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 デヴィッド・エアー

 

製作総指揮/出演 ジェイク・ジレンホール

 

出演 マイケル・ペーニャ/アナ・ケンドリック/デヴィッド・ハーバー/フランク・グリロ/アメリカ・フェレーラ/コディ・ホーン

 

エンド・オブ・ウォッチ (字幕版)
 

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「ONCE ダブリンの街角で」 2007

once ダブリンの街角で (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

  路上で歌っていたストリートミュージシャンの男が、一人の女に話しかけられる。アイルランド映画。

 

感想

 まるでミュージカルのように、主人公たちの唄う歌が過去の出来事や今の気持ちを説明しているのが面白い。音楽に溢れた映画で、使用される楽曲がどれもいい曲ばかり。

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 なかでも夜中にパジャマ姿で携帯CDプレーヤー用の電池を買いに行き、そのままプレーヤーの曲と作ったばかりの歌詞で歌いながら家へ帰るシーンは、どこか現実離れしたような、幻想的な雰囲気で非常に印象に残った。

 

 冒頭のシーンもそうだが、まるで犬の散歩のように掃除機を転がしながら街なかを歩くシーンや、録音費用を借りるために銀行に行ったら逆に担当者が歌を披露し始めるシーンなど、時折り挟まれるコミカルなシーンも面白い。

 

 

 男女の物語ではあるが二人の家族や隣人、ミュージシャン達との交流も心温まる。特に父親の力強く息子の後押しをするシーンはジーンと来た。いい父親だ。

 

 ラストは期待していた通りにはならない少し残念な結末ではあったが、このほろ苦いような結末がとてもリアルな感じがして、逆に良かった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジョン・カーニー

 

出演 グレン・ハンサード/マルケタ・イルグロヴァ

 

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「0.5ミリ」 2014

0.5ミリ

★★★★☆

 

あらすじ

 ある事件をきっかけに介護ヘルパーの仕事をクビになり住む所も失った女が、町で出会った老人たちの家に無理やり上がり込み、介護ヘルパーを行うようになる。

 

感想

 老人の弱みを握って家に上がり込むと聞くと、どうしても家の乗っ取りとか財産の強奪とか暗い事件を想像してしまうが、この主人公は上がり込むのは強引だが介護ヘルパーの仕事はちゃんとする。しかも食費を抑えておいしい食事を作るし、真心を込めて介護をするしで、相当レベルが高い。

 

 登場する老人たちも様々だ。詐欺師を友人と思い込むことで孤独を紛らわそうとする老人、今も重要な人物であるかのように取り繕おうとする老人、戦争の思い出が溢れ出してしまう老人。それぞれがそれぞれの歴史を抱えて生きている。きっと監督は様々な老人達がいること、彼らを簡単に一括りにすることはできない、ということを描きたかったのだろう。

 

 

 老人たちの中では津川雅彦がいい演技をしていた。バレバレの虚勢を張ったり、ボケて何度も台詞がループしつつ戦争への思いを語ったり、煩悩に苦しんだり。中でもボケた妻の歌声に重ねるように口ずさむ場面は、「生きる」の志村喬を彷彿とさせた。その他、吉本興業の芸人たちもなかなか味のある演技だった。

 

 介護の仕事は、そんな様々な人生を歩んできた老人たちを相手にしなければいけないから大変だ。同じ対応をしても喜ぶ老人と怒る老人が出てきそうだ。主人公のような介護ができる人間じゃないと難しそうだが、きっとこんな人はそういない。逆に勝手に家に上がり込んで家を乗っ取ったり、財産を奪う事件が高齢化社会では増加しそうで暗澹たる気分になる。

 

 主人公を演じる安藤サクラの魅力的なキャラクターのおかげで基本的には面白く観ることはできたのだが、どう考えても三時間以上の上映時間は長すぎる。それから映画にするために最初と最後をつなげたのだろうが、ちょっとムリが生じている気がするし、エンディング後の主人公たちがどうするのか、全く想像できないのが苦しい。

 

 きっとお年寄りにこの映画を見せたら、安藤サクラは絶大な支持を得そうなので、NHKは彼女主演の朝ドラをやる前にこの映画を何回か放送したらいいんじゃないかと提案したくなる。

 

スタッフ/キャスト 

監督/脚本 安藤桃子

 

原作 0.5ミリ (幻冬舎文庫)

 

製作総指揮 奥田瑛二

 

出演 安藤サクラ/坂田利夫/草笛光子/木内みどり/織本順吉/角替和枝/浅田美代子/ベンガル/井上竜夫/東出昌大

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0.5ミリ

0.5ミリ

 

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「仁義」 1970

仁義 【ベスト・ライブラリー 1500円:隠れた名作特集】 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 刑務所を出所した男は、逃亡犯と偶然知り合い、看守に持ちかけられた情報を元に宝石店を襲う計画を立てる。

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感想

 ほとんど説明的なセリフはなく、青白い映像の中、男たちは笑顔を見せること無く、淡々と物語は進んでいく。

 

 正直、アラン・ドロン以外の登場人物たちの顔が覚えられなくて話についていけていなかった。なぜだろう。見慣れない役者陣だったからなのか、髪型や服装が似通っていたからなのか、彼らの表情が乏しかったからなのか、単純に集中力を欠いていたからなのか。

 

 

 おかげで見終わった後にネットであらすじを検索して、再度早送りしながら見る羽目になってしまった。最初は、アラン・ドロンのかつての仲間がそこまで追い詰めているとか、刑事が囮となっていることに直前まで気づかなかったりと、全然理解していなかった。

 

 ちゃんと登場人物の顔と名前が一致していれば当然、映画の印象は違っていたはずだ。だが、大事なところの台詞、「仁義だから」はきっとそれでも意味不明だったと思う。なかなかの唐突感があった。タイトルだから無理やりねじ込んだのだと思うが、翻訳に問題を感じた。

 

 これに便乗して、物語をうまく捉えられなかったのは字幕翻訳のせいだと、責任をなすりつけたくなってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル

 

出演

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イヴ・モンタン/ジャン・マリア・ヴォロンテ/ブールヴィル/フランソワ・ペリエ

 

仁義 (映画) - Wikipedia

 

 

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「セッション」 2014

セッション(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 偉大なジャズドラマーを目指す音楽学校に通う青年は、名高い指揮者のバンドに加わることになる。

 

感想

 威圧的な態度をとるJ・K・シモンズの存在感が圧倒的。この風貌でこの態度を取られたら、ただもう従うしかない。そしてただの変人かと思いきや、幼い少女には優しく話しかけたりして普段はまとも。なので指導の方針として何らかの矜持を持って、このような態度を取っているということがわかる。だが、こんな極端な指導方針を持ってしまうのだから、どこかおかしいのは間違いないわけだが。

 

 そんな彼に打ちのめされる純朴な青年という構図になるのかと思っていたのだが、青年もヤバい奴だった。自分は偉大なミュージシャンになるからと他人を見下すような発言をしたり、独りよがりな理論で突然彼女を振ったりする。口だけでなくちゃんとそのために文字通り血の滲む努力をしているのは凄いが。途中で彼の執念が指揮者を凌駕してしまい、指揮者が引いてしまっていたのはちょっと面白かった。

 

 

 両者のやり取りはその殆どが他のメンバーがいる場所で行われているのだが、他に誰もいないような、まるで二人だけの世界に入り込んでしまっているような、そんな印象を与える。二人が良くも悪くも互いに共鳴してエスカレートさせている。まぁでもこんなの教育の場でやっちゃいけない。師弟関係なら分かるが。指揮者のようなやり方でチャーリー・パーカーが生まれたのかもしれないが、それ以外の方法では偉大なミュージシャンは生まれないというわけではない。

バード チャーリー・パーカーの人生と音楽

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 二人が和解し、心が通じ合えたように思えてからのラスト。ここで指揮者が隠していた本性を露わにし、どうなることかとハラハラさせるが、なんだよ結局二人共ただの変態やん、と思わせるような二人だけの世界を見せつける展開で、こちらも気持ち良くなってしまう結末だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 デミアン・チャゼル

 

製作総指揮 ジェイソン・ライトマン/コウパー・サミュエルソン/ゲイリー・マイケル・ウォルターズ 

 

出演 マイルズ・テラー/J・K・シモンズ/メリッサ・ブノワ/ポール・ライザー/オースティン・ストウェル/クリス・マルケイ/スアンヌ・スポーク

 

セッション(字幕版)

セッション(字幕版)

 

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「セルラー」 2004

セルラー(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 何者かに突然誘拐された女が、壊れた電話機の回線を直し、なんとか繋がった見知らぬ若者に助けを求める。

 

感想

 冒頭に何の前触れもなく、突然事件が起こる。普通に驚いてしまった。そしてわけもよくわからないまま事件が進む。この辺りはまるで主人公と同じ心境を味わっているということになる。事件が起こるまでは犯人たちの目的や行動を一切描かないというのは、なかなか効果的な表現だ。

 

 主人公は壊れた電話で無理やり電話をかけて、偶然繋がった若者と協力しながら事件を解決しようとする。この辺りもたまたま繋がっただけなので、一旦電話が切れてしまうとまた同じ相手に電話をかけることは出来ないという緊張感がある。建物の中やトンネルなど電波の状況が悪いところに行くと冷や冷やしてしまう。携帯電話のバッテリー容量も問題だ。

 

 

 主人公を助けようとする若者が最初以外は警察を頼ろうとしなかったのは少し疑問が残るが、それ以外はほとんどちゃんと伏線が張られていて感心する。疑問に思う部分があったとしても、それまでのシーンを思い返してみると理由が見つかる。警察を頼らなかったというのも、切羽詰まってそんな時間がなかったから自分でやるしかなかったと言うことが出来る。さらに言えば、結果的に警察に相談しなかったことは正解だったわけだし。

 

 少し頼りにならなそうな若者と、奥さんに頭の上がらない風采の上がらなそうな警官が活躍するのがグッとくる。そしてキム・ベイシンガー演じる誘拐された女が、単なる怯える被害者ではなく、勇敢に立ち向かってなかなかの活躍をしているのも面白い。この感じだと誰かの助けが無くても、案外なんとかなっていたんじゃないかという気すらしてしまった。泣きわめきながら気がつくと全員倒してしまっている、みたいな。関係ないけど、キム・ベイシンガーはいつも泣き濡れたような顔をしている。

 

 香港でこの映画のリメイクが作られたようだが、リメイクしたくなるのもよく分かる良くできた映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 デイヴィッド・R・エリス

 

製作 ディーン・デヴリン/ローレン・ロイド

 

出演 キム・ベイシンガー/クリス・エヴァンス/リチャード・バージ/エリック・クリスチャン・オルセン/ノア・エメリッヒ/ウィリアム・H・メイシー/ジェシカ・ビール/リック・ホフマン

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音楽 ジョン・オットマン

 

セルラー(字幕版)

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「ダラス・バイヤーズクラブ」 2013

ダラス・バイヤーズクラブ(字幕版) 

★★★★☆

 

あらすじ

 アメリカ南部の保守的な土地で暮らす男が、エイズで余命30日と診断される。

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 実話を基にした物語。

 

感想 

 とりあえずガリガリで登場したマシュー・マコノヒー演じる主人公にゾッとしてしまう。この時点ではまだエイズとは判明していないわけだが、もう見るからにヤバい。ただし最初にこのヴィジュアルを見ておくことで、その後はフラットな感覚でいられる。

 

 やがて医者にエイズで余命30日と宣告されるが、当時は同性愛者の病気という偏見があり、南部の男である主人公は誤診だとして信用しない。普通の人間ならそのまま30日後に死んでしまうのだろうが、この男は図書館で病気について調べ、事実を受け入れ、さらに治療法も詳しく調べ、医者に頼らない自分なりの薬の摂取を行い、宣告された余命通りに死ぬのを免れる。誰かが言っていた「人は無知で死ぬことがある」という言葉は本当なのだなと身に沁みて実感する。

 

 

 やがては自分の経験を基にして、製薬会社の食い物にならない治療方法を他者にも提供するようになる主人公。なんならエイズの診断を受ける前より羽振りがよくなって、生き生きとしているのが面白い。薬を売ると犯罪だから、売るのではなく配る会員制にするアイデアだとか、世界中に薬を買いに出かける行動力とか、誰でも出来るわけではない主人公の能力の高さが窺い知れる。

 

 主人公は商売を通して同性愛者たちと交流していくことで、彼らへの偏見を取り除いていく。ただこのあたりは単純に美しい話というよりも、エイズの人間は同性愛者、という偏見によって同じくくりにされてしまったからという面もあるので複雑だ。エイズにかかることで同じ側に立ったからこそ、彼らへの理解が深まっただけとも言える。

 

 エイズという病気を題材としていながらも、ジメジメとした暗さはなく、どこかカラッとした明るさすら感じられる。運命だと受け入れるのではなく、生きることに執着してあらゆる情報を入手し、出来ることを出来る限りやるというその姿勢に感動させられた。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジャン=マルク・ヴァレ

 

出演 マシュー・マコノヒー/ジェニファー・ガーナー/ジャレッド・レト/スティーヴ・ザーン/ダラス・ロバーツ/マイケル・オニール/デニス・オヘア/グリフィン・ダン/ケヴィン・ランキン/アダム・ダン

 

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この作品が登場する作品

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「ブルーバレンタイン」 2010

ブルーバレンタイン (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 心がすれ違う夫婦の2日間。

 

感想

 二人の間にどこか冷ややかな空気が流れる夫婦。どちらも互いにやり切れない思いを抱えている。この二人を不幸にしているのが、互いへの思いやりだというのが切ない。女は後ろめたさもあって決して男に強く当たろうとはしないし、男は怒りに任せて暴力を振るったり出ていったりする事もない。そのおかげで二人共、常にストレスがマックスに近いレベルで高止まりしている。

 

 きっと軽い喧嘩をしたり、互いに少し距離を置いて、一旦ガス抜きをしてストレスのレベルを下げることができていれば、こんな状況にはなっていなかったはずだ。二人は我慢を重ねすぎて、もう二人の間の溝を埋められない所までやって来てしまった。もうここまで来てしまったら、些細なきっかけでも決定的な瞬間を迎えてしまう。

 

 

 終わりゆく愛と同時にその愛の始まりをオーバーラップさせるように描いていて、それが余計、現在の二人の姿を切ないものにさせる。なかなか心にこたえる映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 デレク・シアンフランス

 

製作総指揮/出演 ライアン・ゴズリング/ミシェル・ウィリアムズ

 

出演 フェイス・ワディッカ/マイク・ヴォーゲル

 

ブルーバレンタイン (字幕版)

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  • ライアン・ゴズリング
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「闇の子供たち」 2008

闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 日本の新聞社のタイ支局に勤める男は、現地で行われる日本人の心臓移植手術についての情報を得て、取材をはじめる。

 

感想

 フィクションではあるが、ゾッとするような出来事が次々と起こる。すべてが事実ではないにしても、ほぼ同じようなことはきっと起きているのだろう。この映画では、ゾッとするような出来事は徹底して醜く描いている。登場するのは、醜い体型で醜い言動の人物ばかり。

 

 こういう社会の暗部というものは、かつてはどこの社会にもあったが、法整備や取り締まりで一掃されつつある。だけども、まだその法整備や取り締まりの甘い社会が目を付けられ、人々を吸い寄せる。結果としてその社会が、他の社会の暗部の役割を引き受けることになってしまっている。

 

 

 それに関わる人達も複雑な事情を抱えている。単純に金儲けのためという人間だけではなく、なんとか生き残るためだったり、そうするしか生きていくことができない状況にいるからという人間もいる。それぞれの役割を分担することで、関わる人々は淡々と自分の仕事をこなすだけで、大きな罪の意識を感じなくても済むようなシステムとなっている。

 

 もはや問題解決のためにどこから手を付けて良いかもわからないほど複雑になってしまっている中で、宮崎あおい演じるNGOの女のように誰か一人をつかまえて責め立てた所で何も状況は変わらない。しかし、悲惨な状況を目の前にしてどうすることも出来ないというのも、なかなか精神的に辛いものがある。

 

 最後は江口洋介演じる主人公の意外な真実が明かされるというサスペンス的な展開が待ち受けていて、ドキュメンタリー調だったのが急に映画的になった印象。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 阪本順治

 

原作 闇の子供たち (幻冬舎文庫)

 

出演 江口洋介

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鈴木砂羽/豊原功補/塩見三省

 

音楽 岩代太郎

 

闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD]

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「イル・ポスティーノ」 1994

イル・ポスティーノ(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 チリからイタリアの小島に亡命してきた世界的な詩人と、彼に郵便を運ぶ青年との交流。

 

感想

 主人公の青年が、いかにも片田舎の素朴な青年といった立ち居振る舞い。遠慮がちに相手の様子を窺いながら、ためらいがちに詩人に好奇心を示していく。

 

 詩人との交流、そして詩に対する関心を持つことで青年は変わっていく。詩人はモテるからと青年が想いを寄せる女性に近づくために協力を求め、彼女の母親や牧師を巻き込んだちょっとした騒動が起きてしまうシーンは、面白く微笑ましい。

 

 

 そして、監督がこの女性の魅力を胸の谷間を強調することで表現しているのは、単純で笑ってしまうが、非常に説得力があるなと妙に感心する。無駄に説明を重ねる必要がない。

 

 やがて詩人は祖国への帰国を果たす。その後音信不通だったが、数年後に再び島を訪れた詩人は意外な事実を知ることになる。このラストの詩人が本当にいい表情をしている。どこが複雑な表情。青年は、詩を学ぶことを通して様々な知識を身につけ、小さな島で暮らすのは窮屈に感じるようになってしまったのだろう。切ないラストシーンだった。

 

 この主人公の青年を演じたマッシモ・トロイージは、この映画の撮影終了の数時間後に、持病の心臓病が原因で41歳の若さで亡くなった。もしかしたらこれがこの映画の物語に影響を与えているのかもしれないが、それにしても彼のこの映画にかけた執念には驚くしかない。なんせ文字通り命を賭けたのだから。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 マイケル・ラドフォード

 

脚本/出演 マッシモ・トロイージ

 

出演 フィリップ・ノワレ/ マリア・グラツィア・クチノッタ

 

イル・ポスティーノ(字幕版)

イル・ポスティーノ(字幕版)

 

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「アンナ・カレーニナ」 2012

アンナ・カレーニナ (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 兄夫婦に会うためににモスクワにやって来た政府高官の夫人が、青年将校と出会い恋に落ちる。

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感想

 物語自体はありがちなメロドラマだが、見事なセットや衣装、主演のキーラ・ナイトレイの美しさで、映像に引き込まれていく。

 

 夫がいるにも関わらず別の男に惹かれ、欲望に身を任す女。浮気相手の子供を出産し、それでも許した夫の優しさに苛立って出ていってしまうというわがままぶりだ。こういう女にハッピーエンドが待っているはずもなく、やがて疑心暗鬼に陥って自ら泥沼に入り込んでいく。大体彼女の行く末が分かり始めた所からラストまでが、間延びしてしまって長く感じた。

 

 

 それから主人公の義理の妹が、誠実な夫と出会い堅実に生きる女として対照的に描かれているが、あまりに紋切り型な気もする。随所に見られる演劇の舞台風な演出も中途半端な印象を受けた。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジョー・ライト

 

脚本 トム・ストッパード

 

原作 アンナ・カレーニナ 1 (光文社古典新訳文庫)

 

出演 キーラ・ナイトレイ

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アーロン・テイラー=ジョンソン/ケリー・マクドナルド/マシュー・マクファディン/ドーナル・グリーソン/アリシア・ヴィキャンデル/ルース・ウィルソン/オリヴィア・ウィリアムズ/エミリー・ワトソン/ラファエル・ペルソナ/カーラ・デルヴィーニュ

 

アンナ・カレーニナ (字幕版)

アンナ・カレーニナ (字幕版)

  • キーラ・ナイトレイ
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アンナ・カレーニナ (2012年の映画) - Wikipedia

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「私の男」 2014

私の男

★★★☆☆

 

あらすじ

 震災で家族を失い、親戚の男に引き取られた少女。

 

感想

 流氷から少女が這い上がるシーンから始まる。ここから物語の全貌が掴めるまでが辛かった。浅野忠信はじめキャスト陣が皆ぼそぼそと喋り、雰囲気はあるのだが物語の理解のためには辛かった。

 

 濡れ場が多い映画だが、序盤に大胆に演じる河井青葉がその後の二階堂ふみのための前座感があった。最初に十分見せておけば、たとえ真打ちが物足りなくてもお客さんはそれなりに満足して帰るでしょ、みたいな。とは言え、二階堂ふみもそこまでやるかというくらい、演じてはいたが。

 

 

 禁断の関係に陥った2人。藤竜也演じる老人にその関係を知られることになったことから事態は転がっていく。しかしこれは場所が雪国だからバレたのかなと思ってしまった。寒いから誰も外を歩いていないので人目がなく、警戒心が緩くなる、2人はますます大胆になる、みたいな。逆に極寒の中で頻繁に出歩いている老人には不気味さすら感じてしまった。

 

 物語は二人の関係を断片的に描きながら進行する。各エピソード自体も断片的に描いていて、全容は観客それぞれに想像させるタイプの映画。

 

スタッフ/キャスト

監督 熊切和嘉

 

原作 私の男 (文春文庫)

 

出演

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二階堂ふみ/山田望叶/モロ師岡/高良健吾/藤竜也/河井青葉/三浦誠己/安藤玉恵/竹原ピストル/太賀/相楽樹/康すおん/三浦貴大

 

音楽 ジム・オルーク

 

私の男

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私の男 - Wikipedia

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