感想
「田舎にはヤンキーとファンシーだけが残る」というのは、まさにその通り。ジャージ姿で町をうろついたりキャラクターのぬいぐるみを満載した車に乗ったり。有りか無しかかでいったら有り、という奴だけが田舎に残り、それは無しという人間は都会に出て行ってしまう。おまけにヤンキーとファンシーは出生率の低下が問題になっているとは思えないぐらい、子供作るの早いし。おかげで田舎はヤンキーとファンシーの拡大再生産でかなり勢いがある。
ある意味過疎化に陥っている田舎なんかよりはいいのかもしれないが、そこに文明はない。どうしようもないぐらい。その脳みそは飛んでいってしまわないための重石じゃないんだよ、引力があるんだから。少しは頭を使って考えろよ。と言いたくなるくらい。
なんて思いつつここに登場するヤンキーの力強さ、たくましさはいい。やっぱり何でもいいが、本物じゃないと。
この小説集に登場する主人公たちはみんなやわらかそうでいてしっかりと芯があり、こんな世界三大美徳をいつも心がけているような人間ばっかりだったら田舎にも文明が栄えるのに、と。
著者
- 作者: 中村航,宮尾和孝
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/01/23
- メディア: 文庫
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