感想
著者が言うように、日本人は金融に関するしっかりとした知識は持っていないように思う。確かに学校でお金に関することは習った覚えは無い。お金の計算は出来るが、複利のマジックは習っていないというか。なので日本では、金融リテラシーに目覚めた者勝ちというところがある。目覚めた気がして中途半端な知識で投資をしたりして、大損こく人間もいるが。
ただ体系的な金融リテラシーを身につけるには相当な勉強が必要だ。怠け者の人間は事をシンプルにしたがる。為替がどうで国債の金利がどうで世界情勢がどうだとこうなる、みたいな事よりも、あの株を買えば間違いないとか、今FXが儲かるというシンプルな情報に飛びついてしまう。もっと怠け者は、働いた分だけお金が口座に振り込まれるというシンプルなことだけにしか関心が無い。
しかし、なんでも自己責任とか言われてしまう世の中では、自分の身は自分で守るしかない。いつリストラされても、急な出費が必要になっても。そういうときのための備えとして投資をしておくというのは必要なことなのかもしれない。やはり人間はお金に余裕があるほうが生き方にも余裕が出てくるし。
この本はそう考える人にとってはいい入り口になる。金融の概要について述べているだけなので、それぞれの詳細については各自で勉強するしかないが。この本のとおりにやれば、というよりも、いいきっかけ作りをしてくれている。
それから投資するとそのお金を受け取る相手がいるわけで、個人投資家が増えれば世の中を変えることも出来る。それぞれが考える理想の社会にふさわしいと思う相手に投資し、そうではない相手には投資しないという行動をとり続けたならば、選挙と同じように、全体の理想の最大公約数的な社会が形成されていくはずだ。
著者
勝間和代
参考文献
「On the Differential in Risky Assets Shares between the United States and Japan」 大阪大学ディスカッション・ペーバー 木成勇介
国民生活白書〈平成18年版〉多様な可能性に挑める社会に向けて (「暮らしと社会」シリーズ)
「資金循環統計の国際比較」 日本銀行
「資金循環統計」 日本銀行
「金融に関する消費者教育の実情と今後の進め方」 日本銀行 金融広報中央委員会
「金融に関する消費者アンケート調査<第1回><第2回>」 日本銀行 金融広報中央委員会
「家計の金融資産に関する世論調査」 日本銀行 金融広報中央委員会
「日本銀行の広報活動と金融教育分野での取り組み」 日本銀行
「統計」 総務省統計局
「株式と債券のリスクとリターンおよびアセット・アロケーションの基本」 山口勝業
「『貯蓄から投資へ』に関する特別世論調査」 内閣府
階層化日本と教育危機―不平等再生産から意欲格差社会(インセンティブ・ディバイド)へ
登場する作品
10万円から始める投資信託入門―初心者のための買い方・売り方ガイド
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