★★★☆☆
タヌキと天狗と人間の話。それだけ聞くとなんだか馬鹿げた話のように思えるが、舞台が京都となると話は変わってくる。タヌキも天狗もいるような気になってくる。まぁ、タヌキはいるんだろうが。人間じゃないものが普通に人間のような格好をして暮らしているようなイメージ。そう考えると京都は不思議なところだ。歴史があるってこういうことなのかも。
力は失ったが尊大さだけは失わない天狗や、カエルに化けて元に戻れないタヌキなど、登場するキャラクターたちが面白い。そして、師匠である天狗と、それに対する弟子のタヌキの互いにとぼけた予定調和のやりとりなどの各エピソードも面白い。
本筋の物語はさして重要じゃないと思えるくらいで、全体通して伝わるのは愉快に暮らそうってこと。きっと何でも愉快に思えるようになるには才能や努力が必要なんだろうけど。
雷嫌いの母タヌキのために、雷が鳴るとその子供たちが一斉に母親の元に駆け戻り、皆で丸くなるという一家の決まりはなんとも微笑ましい。
著者