★★★★☆
あらすじ
黒人街にすむ少年が、ふとした事から知り合った伝説の小説家と交流を持つこととなる。
感想
サリンジャーみたいに、ほぼ一冊だけで名声を得てその後は姿を消してしまった小説家には、その実績とその謎めいた暮らしぶりにとても興味がそそられる。もしかしたらあまりにも評価されすぎてプレッシャーで次作が書けなかったのかもしれないし、自分の思いとは別の形で評価されてしまって、世の中が嫌になってしまったのかもしれないし、何もしないでも十分な収入を得られることに満足してしまったのかもしれない。実際はどうだったのだろう。世間に顔を出さないことからも、世の中が嫌になってしまったと考えるのが自然なのかもしれない。
この映画の中の小説家もその一人。しかし、ふとした事から知り合った黒人少年と交流を持つようになる。文学に興味のある少年は彼から多くを学ぶ。そして、小説家も彼との交流で次第に頑なだった心が開かれていく。こういった老人と若者の交流は心が温まる。多くの経験をしている老人はそこから得た知識を伝え、逆に若者のその若さゆえの好奇心や野心に触発されて、いつの間にか失っていたものを蘇らせる。見事にギブアンドテイク。
でもそのためにはきっと若者は若者らしく、老人は老人らしくしていないと難しいのだろうなとも思う。妙に訳知り顔の若者と、自分を脅かすものとして若者を見ている老人では成立しない。役割をこなすことが大事だ。
物語はなんとなく想像のつく展開となったが、心温まるいい作品だった。
スタッフ/キャスト
監督 ガス・ヴァン・サント
製作/出演 ショーン・コネリー
出演 ロブ・ブラウン/F・マーリー・エイブラハム/アンナ・パキン/バスタ・ライムス/マット・デイモン/マイケル・ヌーリー/マイケル・ピット