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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「横道世之介」 2009

横道世之介 (文春文庫)

★★★☆☆

 

 大学進学のために上京した男の一年。

 

 どこかとぼけた文章で、上京一年目の生活が綴られる。時代はバブル期前夜。バイトでチップを一万円もらったり、仲間とクルージングしたり、土地売買のきな臭い話が出てきたりと、当時の世相が反映されている。バブル期はなんだかんだで夢があった。この頃の学生たちもきっと、今の学生たちと全然気分が違ったのだろうな。

 

 バブルがはじけた後の長い停滞が、学生たちを慎重にさせてしまったというか。この頃学生だった大人たちには若者の何々離れとか勝手に嘆かれて。今の若者たちは出来るだけお金のかからない方法で、出来るだけ背伸びをしないで身の丈に合った生活を楽しむことに注力する。確かに賢い方法だとは思うけど、人間一度くらいは背伸びをしてみる時期も必要なんじゃないかなとも思わなくはない。他人がやっているのを見てくだらない、と思うか、自分でやってみてくだらないと思うかは全然違う。自分でいろいろやってみて、自分の一番しっくりくるポジションを見つける事も必要かなと。

 

 主人公、横道世之介は色々な人に出会い、いろいろな出来事に前向きに受け入れていく。この時期っていうのは受け入れるってことは大事だ。そんな彼とかかわった人たちの十数年後も時々挿入され、決して皆が十分に幸せではないが、それなりに前を向いて生きている事が分かる。ふとしたきっかけで彼を思い出し、束の間彼との思い出に浸り、当時の自分の気持ちも思い出す。

 

 彼の充実した学生生活。正直、自分にはピンと来なかった。確かにこの年代は、わずかな一年でも色々と心に残る出来事が起こる年代だが、自分としてはどちらかというと何かが起こるはずなのに何も起こらないことに悩んでいるような、そんな若者の方がピンとくる。

 

著者

bookcites.hatenadiary.com

 

横道世之介 (文春文庫)

横道世之介 (文春文庫)

 

横道世之介 - Wikipedia

 

登場する作品
好色一代男 (岩波文庫 黄 204-1)

好色一代男 (岩波文庫 黄 204-1)

 

 

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横道世之介

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