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BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「陰徳を積む―銀行王・安田善次郎伝」 2010

★★★★☆

 

著者 北康利

 

 安田財閥を築いた安田善次郎の伝記。

 

 とんでもない財産を築いた人だというのにあまりその業績を知らない、もっと言えばその名前を憶えているかも怪しいっていうのは彼が金融の世界で成功をおさめたからなのかもしれない。金融の世界は分かりづらい。その世界でこんな風に財産を築いたと言われても正直半分もそれを理解できていない。よく考えれば身近で誰にとっても大事なお金なのにそれの事がよく分からないっていうのも不思議な話だ。

 

 金持ちの務めとも考えられている慈善活動に対する彼の考え方はなかなか勇気のあるものだ。適当に頼まれるままに寄付してれば普通に世間から好意的に受け入れられただろうにそれをしなかった。もっと大局的に本当に効果が見込まれるものにしかそれをしようとしなかった。金融の世界で成功した人ならではの考え方なのかもしれない。だけど大局的なものの見方には普通の人には簡単に理解できないところもある。政治家からあてにされてお国のためにとリスクを承知で引き受けた仕事にすら世間からは冷たい目で見られてしまう。だけどそれを恐れないところが凄い人だなと感心する。

 

 彼の最後が殺害されたっていうのも驚きだった。そんな大金持ちでもそんな最後が待っているのだなと。だけどそれもどんな人も拒まなかった彼の性格から来るものだろう。それがあったから金持ちになることが出来たともいえる。そして何よりも驚くのが彼のそんな悲惨な最期を世間は冷ややかに見ていたって事。酷い話だ。いつの時代も庶民は金持ちを妬むものだなと。情けないけど仕方ないのかもしれない。

銀行王 安田善次郎: 陰徳を積む (新潮文庫)

銀行王 安田善次郎: 陰徳を積む (新潮文庫)

 

 

登場する人物

安田善次郎 / 高橋是清