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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「服従」 2015

服従 (河出文庫 ウ 6-3)

★★★★☆

 

あらすじ

 イスラーム党が政権を握ったフランスで、大学教授の男が職を解かれる。

 

感想

 こういう話にリアリティを感じるほど欧州は切実なのかと、改めて認識させられた。確かに最近の欧州のニュースはきな臭いものが多い。自分たちは衰退の道を歩んでいると薄々感じているとしたら、新しい何かに希望を見ようとするのもわからないではない。

 

 ぼくは、自分のために生きることができなかったが、では、誰のために生きてきたというのだろう。

p218

 

 イスラムが政権を取ってイスラム的な政策を行い、重要な役職の人間たちがこれに従う社会になってしまったら、大抵の人は同じように従うしかない。それ以外の道は生き難い。こうやって社会は変わっていくのだろう。キリスト教的な世界からイスラム的な世界へ変わっただけと考えれば、そんなに驚くに値することでもないのかもしれない。

 

 主人公の男の、ためらいながらも一夫多妻制についての情報を聞き出そうとするところなどは非常にリアル。 女性はどう思うかわからないが。イスラムに改宗する女性ってどれくらいいるのだろうか。

 

 

 どこかジョージ・オーウェルの「1984年」を連想させるような結末だった。

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著者

ミシェル・ウエルベック

 

服従 (河出文庫 ウ 6-3)

服従 (河出文庫 ウ 6-3)

 

 

 

登場する作品

Le drageoir aux épices (French Edition)

レ・ブロンゼ?日焼けした連中?【字幕ワイド版】 [VHS]

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En Rade

彼方 (創元推理文庫)

出発

大伽藍―神秘と崇厳の聖堂讃歌 (平凡社ライブラリー)

L'oblat (French Edition)

En Ménage (French Edition)

MARTHE, HISTOIRE D’UNE FILLE et autres histoires (French Edition)

A Vau l'Eau (Litterature)

Beatrix (English Edition)

Eurabia: The Euro-Arab Axis

With the Flow: And M. Bougran's Retirement (Hesperus Classics)

ルルドの群集

ロランの歌 (岩波文庫 赤 501-1)

悲劇の誕生 (岩波文庫)

ニーチェ全集〈4〉反時代的考察 (ちくま学芸文庫)

O嬢の物語 (河出文庫)

ニーチェ全集〈14〉偶像の黄昏 反キリスト者 (ちくま学芸文庫)

「近代俗語辞典」 リゴー

 

 

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