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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「小さいおうち」 2010

小さいおうち (文春文庫)

★★★★☆

 

 一人余生を過ごす老婆が、かつて女中として働いていた戦前の思い出を綴る。

 

 戦争中の様子を綴る元女中。しかし、そこで描かれる生活はこの時代を歴史の教科書で学んだ人間の想像とは全く違うものだ。立て続けに戦争を繰り広げていたこの時代はきっと人々は暗く重い空気の中で生活していたのだろうと思ってしまうが、実際は博覧会だのオリンピックなどで人々はウキウキし、町にショッピングに出かけたりと、思っていたよりも雰囲気は明るい。主人公の甥の息子が現代人が想像する当時の様子を代弁してくれている。この甥の息子がちょっと当時の様子に詳しすぎるきらいはあるが。

 

 まぁ確かに考えてみれば人はそう何年も暗い顔して生きていられない。戦地は海外だし、ちゃんとした情報は伝えられて無いし。映画に出かけたり、外食したりと普通に生活している。主人公が奉公する奥さん一家の暮らしぶりを通して当時の雰囲気がよく伝わってくる。

 

 それでも日米開戦に向けて次第に物資が不足し、節制を求められ、一家の生活にも息苦しさが覆い出す。アメリカとの戦争が始まった途端にパッと雰囲気が明るくなったという記述も意外だった。なんとも無邪気だと思ってしまうが、様々な事態を想定して対処していたのが、方針が決まったので吹っ切れたってことなのかもしれない。そこからの展開は、本土決戦とか何で勝てると思っているの、って感想だが、まぁ当時は負けることなんて想像できなかったんだろうな。

 

 そして主人公は読者である甥の息子を意識してしまって、自分を良く見せたいという欲が出てしまったということなのか。あの行いは奥さんのためだったのか、もしかして自分のためでは無かったのかと苦悩している。度々出てくる「ある種の頭の良い女中」なら本当はこうしたんじゃないか、という後悔なのかもしれない。

 

小さいおうち (文春文庫)

小さいおうち (文春文庫)

 

小さいおうち - Wikipedia

 

登場する作品

良人の貞操〈上〉 (毎日20世紀メモリアル図書館)

「良人の貞操」 映画

新しき土 [DVD]

オーケストラの少女 [DVD]

「女中さん讀本」

エノケン孫悟空

火星探険

R. Strauss: Japanische Festmusik op.84 Festive Music in Celebration of the 2,600th Anniversary of the - Allegro moderato - Allegro - Allegro maestoso

紀元二千六百年奉祝祝典序曲―Ouverture de F^ete (1940年)

「昨日消えた男」 1941

「待ちぼうけの人々」

黒薔薇

加藤隼戦闘隊

The Little House

ちいさいおうち (岩波の子どもの本)

せいめいのれきし―地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし (大型絵本)

 

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