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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「おもろい以外いらんねん」 2021

★★★☆☆ あらすじ 幼なじみの同級生に一緒に漫才をやろうと誘われるも、彼がネットで知り合った別の男とも漫才をやろうとしていることが判明し、釈然としないものを感じる高校生男子。 感想 お笑い好きの高校生が主人公だ。学校の人気者である幼なじみに漫才を…

「惑う星」 2021

★★★☆☆ あらすじ 妻を交通事故で亡くした科学者の男は、心の問題を抱える息子を懸命に育てようとする。 感想 地球以外の星に生命が存在する可能性を研究する科学者と、心の問題を抱える息子の物語だ。生命が存在する条件はとても幅広く、それぞれの惑星の多種…

「天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」 2013

★★★★☆ 内容 作家や音楽家、芸術家、映画監督などの「天才」たちが、日々どのような日課で暮らしていたのか、それぞれ調査したものが挙げられていく。 感想 作家や音楽家など、主に芸術分野で功績を残した人たちのルーティンがまとめられている。彼らの華やか…

「気狂いピエロ」 1962

★★★☆☆ あらすじ なかなか仕事が見つからず、妻や子供に対して肩身が狭い思いをしていた失業中の男は、ある日ベビーシッターの若い女と関係を持つが事件に巻き込まれてしまう。原題は「Obsession」。 感想 一夜の浮気ですべての人生が狂ってしまった男の物語…

「黒牢城」 2021

★★★★☆ あらすじ 1578年、織田信長に謀反を起こし伊丹有岡城に立てこもった荒木村重は、城内で起こった事件の謎を、地下牢に押し込めていた信長の使者で軍師である黒田官兵衛に解かせようとする。直木賞受賞作。 www.youtube.com 感想 戦国時代、織田信長に謀…

「ゴドーを待ちながら」 1952

★★★☆☆ あらすじ 「ゴドー」と呼ばれる人物を待ち続ける二人の男。戯曲。 感想 いつまで経ってもやって来ないゴドーを待ち続ける二人の男の物語だ。彼を待ちながら時間つぶしに二人で雑談し、通りすがった男らと交流する様子などが描かれる。一応、悲喜劇とあ…

「山椒魚」 1948

★★★☆☆ あらすじ 体が大きくなりすぎて、自分の住処から出られなくなった山椒魚の悲哀を描いた表題作他、全12編を収録した短編集。 感想 どの短編もちゃんとしたオチがある終わり方でなく、深く余韻を残すものとなっている。だがしっかりと考え抜かれたうえで…

「わたしを離さないで」 2005

★★★☆☆ あらすじ 「介護人」として「提供者」の世話を続ける女は、成人するまで暮らしていた全寮制の学校での思い出を振り返る。 感想 介護人である主人公が、成人するまでを過ごした全寮制の学校時代の暮らしや友人たちとの思い出を回想する物語だ。主人公の…

「性的人間」 1968

★★★★☆ あらすじ 裕福な家庭で育ち、仲間と怠惰な日々を過ごしていた男が、やがて痴漢を行なうようになる表題作のほか、「セヴンティーン」「共同生活」の3つの中編小説を収録。 感想 表題作は、退廃した生活を送っていた主人公が仲間から離れ、痴漢をするよ…

「モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた 進化心理学が教える最強の恋愛戦略」 2022

★★★★☆ 内容 進化論の観点から見たモテる方法を解説する。原題は「Mate: Become the Man Women Want」。 感想 世にはびこる間違った通説やマインドコントロール的な手法ではなく、進化論的にみたモテる方法が紹介されていく。ちなみにこの本で紹介されている…

「さようなら、私の本よ!」 2005

★★★★☆ あらすじ 別荘で怪我の静養をする老作家は、絶縁状態から再び交流を持つようになり、隣に住み始めた幼なじみが企てる活動に巻き込まれていく。「おかしな二人組」三部作の三作目。 感想 三部作の三作目とは知らずに読み始めてしまい、最初は登場人物ら…

「異常【アノマリー】」 2020

★★★★☆ あらすじ フランスからアメリカに向かった飛行機は着陸寸前にかつてない乱気流への突入を余儀なくされるが、その後、乗客たちの身に不思議なことが起きる。ゴンクール賞受賞作。 感想 序盤は多様な人物のそれぞれの日常が一人ずつ順番に描かれていく。…

「高瀬川」 2003

★★★★☆ 内容 作家の男が女性記者とホテルで一夜を過ごす様子を描いた表題作のほか、全4編の短編集。 感想 各ページに文字がまばらに並ぶ作品や、二段組と一段組が混じった構成の作品など、実験的な作品が並ぶ。内容も難解なものから読みやすいものまで多様だ…

「故郷/阿Q正伝」 2009

★★★☆☆ あらすじ 20年ぶりに故郷に戻り、少年時代のヒーローだった幼馴染と再会する「故郷」など、魯迅の代表的な作品を収めた作品集。 感想 魯迅の主要な作品が並ぶ作品集だ。だがいまいちピンと来ない作品もいくつかあった。ただ、激動の時代の中国で、著者…

「この人の閾」 1995

★★★☆☆ あらすじ 仕事で小田原を訪れるも空き時間を持て余すことになった男は、かつての大学の先輩でこの地に暮らす女性に会いに行く。芥川賞受賞作の表題作を含む4つの短編集。 感想 なにか劇的な出来事が起こるのではなく、主人公が内面で思考を巡らし、心…

「私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか」 2022

★★★★☆ 内容 作家・町田康が、自身の文学のルーツや創作の裏側、書くことに対する思いなどを語り尽くす。 感想 自分語りなどしなさそうな著者が自身のことを語る。単純にそれだけで面白い。青年期には北杜夫や筒井康隆を読んでいたことも分かり、なんだか意外…

「魯迅評論集」 1953

★★★☆☆ 内容 中国の小説家・思想家、魯迅が残した評論や随筆、講演録などを収録。 感想 皮肉や風刺、警句などが詰め込まれた随筆や評論が並んでいる。欧米の人が書いたものよりもスッと頭に入ってくるような気がするのは、やはり日本と同じアジアで、似た文化…

「ザ・ロード」 2006

★★★★☆ あらすじ 灰が降り積もり、動植物が死滅した荒廃した世界で、南に向かう男と幼い息子。 感想 人類のほとんどが死んでしまい、生き残った者たちが生存競争を繰り広げる世界を旅する親子が主人公だ。ゾンビ映画や「マッドマックス」などで見られる、よく…

「女のいない男たち」 2014

★★★★☆ あらすじ かつて付き合っていた女性の死を告げる電話が深夜にかかって来る表題作、映画化された「ドライブ・マイ・カー」を含む全6編収録の短編集。 感想 久しぶりに村上春樹を読んだらそのすごさを実感した。まず読みやすい。これは本当に重要で、評…

「文化大革命」 1989

★★★☆☆ 内容 中国で1966年から10年続いた「文化大革命」について解説する。 感想 文化大革命とその前後に起きた出来事が説明され、それがもたらしたものについてまとめられている。また、毛沢東や鄧小平、周恩来らの当時の主要人物が何をしたかについての詳述…

「シーソーモンスター」 2019

★★★★☆ あらすじ バブル時代の嫁姑問題を描いた表題作と郵便配達人が巨大な陰謀に巻き込まれる「スピンモンスター」の2つの中篇を収録。 共通する世界観で8人の作家がそれぞれ異なる時代の物語を描く「螺旋プロジェクト」の作品のひとつ。本書の二つの物語は…

「グッバイ、コロンバス」 1959

★★★★☆ あらすじ プールで知り合った女子大生と付き合い始めた図書館員の若者。別邦題は「さよならコロンバス」。 感想 漫然と日々を過ごす図書館員の主人公が、裕福な会社社長の娘と付き合い始める物語だ。やがて住む世界の違いが二人に影響を与えていく。た…

「嘘と正典」 2019

★★★☆☆ あらすじ マルクスと共に「共産党宣言」を著したエンゲルスの運命を変え、共産主義の誕生を阻止しようとするCIAを描いた表題作他、全6篇のSF短編集。 感想 全6編の中で一番面白かったのは、表題作の「嘘と正典」だ。歴史改変ものだが、最初に少し前振…

「記憶の盆をどり」 2019

★★★☆☆ 内容 時々記憶があやふやになってしまう物書きの男の家に謎の女がやって来る表題作他、全9編の短編集。 感想 収められた短編9編がどれも毛並みの違う物語に仕上がっており、まずそれに感心する。妖怪モノや時代劇ミステリ風、説話調など、各短編ごと…

「推し、燃ゆ」 2020

★★★☆☆ あらすじ アイドルの推し活に全力を傾け、その他がすべて疎かになってしまった女子高生。芥川受賞作。 感想 序盤は何気ない主人公らの会話や行動がリアルに描かれて、なんとなく女子高生の日記を隠し読みしているような後ろめたさがあった。ただ主人公…

「三体」 2008

★★★★☆ あらすじ 高名な科学者の自殺が相次ぎ、科学界に不穏な空気が漂う中、突然訪れた警察に各国の軍や学者からなる会議に連れていかれた科学者の男。 「地球往事」三部作の第一作。 感想 どんなSFが繰り広げられるのだろうかと期待しながら読み始めたら…

「繁花」 2012

★★★☆☆ あらすじ 中国激動の時代を生きる上海の人々の様子が、三人の男性を通して描かれる。 感想 中国・上海の現在(90年代頃?)と過去(60~70年代)が交互に描かれていく。三人の男がメインとなっているが、全体を貫く物語があるわけではなく、彼らの周辺…

「残像に口紅を」 1989

★★★☆☆ あらすじ 章が進むごとに使えない文字が一つずつ増えていき、同時にその文字を含む名前を持つ存在も消えていく世界で、主人公である小説家が何とか作品を成立させようと奮闘する。 感想 小説から使える文字を一文字ずつ減らしていくとどうなるのかを試…

「生物学的に、しょうがない!」 2021

★★★☆☆ 内容 駄目だと分かっていてもついやってしまうことや、やるべきだと分かっているのについ疎かにしてしまうことなど、自己嫌悪に陥りがちな良くない習慣や思考法が、生物学的に見れば理に適っており、仕方がないことであることを紹介していく。 感想 多…

「リバタリアンが社会実験してみた町の話 自由至上主義者のユートピアは実現できたのか」 2020

★★★☆☆ 内容 全米各地のリバタリアン(自由至上主義者)が片田舎の町に一斉に移住し、彼らの理想の街を作ろうとした顛末。原題は「A Libertarian Walks Into a Bear. The Utopian Plot to Liberate an American Town (And Some Bears)」。 感想 リバタリアン…