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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「カラーパープル」 1985

カラーパープル(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 父親に子供を産まされ、嫁ぎ先では召使いのような扱いを受けた黒人女性の半生。

 

感想

 人種問題を描く映画かと思っていたらそうではなく、女性問題を描いた物語だった。父親には酷い扱いを受け、勝手に決められた嫁ぎ先では召使いのようにこき使われる女性の物語。人種問題に関する話も少しは出てくるが、すでに奴隷制度は終わっている20世紀初頭の物語だ。

 

 主人公はつらい境遇に抗うのではなく、ただ流れに身を任せてひどい仕打ちに耐えている。彼女に対する扱いの悪さを見ていると、奴隷制度から解放された黒人男性は、今度は自分たちが黒人女性を奴隷にしてしまったのだなと暗澹たる気持ちになる。ただ主人公の周りの女性達の中には男と対等にやり合う女性もいたので、この時代の女性たちが皆ひどい扱いを受けていたというわけではないのかもしれない。色んな生き方をする女性たちが連帯し、助け合う姿が印象的だった。何をされても従順だった主人公も、彼女たちの影響を受けて少しずつ変わっていく。

 

 

 ただそうやって変わっていく前の、夫に殴られるのも当たり前のことだと思っていた主人公が、気の強い妻に頭を悩ませていた義理の息子に「殴って言うことを聞かせればいい」とアドバイスするシーンはショッキングだった。でも冷静になってよく考えてみると、案外こういう事は世の中で多く見られる事象なのかもしれない。経営陣を擁護するブラック会社の社員とか、圧政を敷く独裁者を熱狂的に支持する国民とか、肉屋を支持するブタとか。一種のストックホルム症候群みたいなものなのかもしれない。

 

 映画全体を通して、主人公と生き別れた妹の安否が最大の関心事として描かれているが、手紙のくだりは予想できたし、それを知った時の主人公のリアクションも物足りなかったし、その後の行動ものんびりしているように思えてしまったしで、あまり心が動くことはなかった。ただ、クライマックスでの主人公を演じるウーピー・ゴールドバーグの呆けたような表情を見せる演技は良かった。その他、笑いを取ろうとしていた白人の市長夫人とのエピソードは、笑えるというよりはただムカつくだけだったし、時間の端折り方が大雑把で、その間、主人公は何をしていたの?と思ってしまうような事も多く、いまいち気分が乗っていかなかった。

 

 そして何よりも、主人公が積極的に動くことがほとんど無く、ただ神さまを信じて祈って待ってろ、きっといいことがあるから、というようなメッセージが感じられて、あまり素直に頷くことが出来ない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作

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原作 カラーパープル (集英社文庫)

 

製作 キャスリーン・ケネディ/フランク・マーシャル

 

出演 ウーピー・ゴールドバーグ/ダニー・グローヴァー/マーガレット・エイヴリー /オプラ・ウィンフリー/ベン・ギロリ/ダナ・アイヴィ/レイ・ドーン・チョン/ローレンス・フィッシュバーン

 

製作/音楽 クインシー・ジョーンズ

 

カラーパープル(字幕版)

カラーパープル(字幕版)

  • ダニー・グローバー
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カラーパープル (映画) - Wikipedia

 

 

登場する作品

オリバー・ツイスト (光文社古典新訳文庫)

 

 

この作品が登場する作品

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「破門 ふたりのヤクビョーガミ」 2017

破門 ふたりのヤクビョーガミ

★★★★☆

 

あらすじ

 映画製作の出資金を持ち逃げされたヤクザの男は、建設コンサルタントの男を引き連れて、金を回収するために奔走する。

 

感想

 主人公のヤクザを演じる佐々木蔵之介が、振り切って演じていて面白い。ヤバい状況になればなるほど、なんだか楽しそうに目ん玉をひん剥きながら相手に向かっていく。それでいてちゃんと仁義のある有能さを持ち合わせていて、人間的魅力に満ちている。

 

 その一方で、主人公の相棒の建設コンサルタントを演じる横山裕の演技はだいぶ残念な感じになってしまっていた。多分演技はそんなに下手ではないと思うのだが、人を笑わせる演技が出来ていない。主人公との間で何度も面白いやりとりをしているのだが、テンションが低すぎて全然笑える雰囲気を作れていない。観ていても、ここは面白いシーンだなと真顔で思うだけで全然笑えない。元気なキャラではなく、ボソッと面白いことを言うキャラなので難しいのだと思うが。

 

 

 ただ、これでOKが出ている訳なので、監督がこれで十分笑いが取れるだろうと思っている可能性もある。それだったら可哀想だが、橋爪功ら他の役者陣がみな良い演技をしている中でだいぶ損をしてしまっている印象だ。

 

 とは言え、主人公のぐいぐい引っ張っていくキャラクターだけで全然楽しめる映画。ただもうちょっと設定が分かりやすいと良かったかなとも思うが、今どきの詐欺やヤクザのしのぎなんて、そんなにシンプルな仕組みのものなんてないのかもしれない。それから中途半端に登場する北川景子やマンハッタンズの曲などは、何だったのだ?と思わなくもないのだが、映画の賑やかしだと考えるべきか。曲に関しては、エンドロールでも流せばまとまりが出たと思うが、そう出来なかったのは大人の事情なのだろう。

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 十分満足できて面白かったのだが、もっと面白くなったはずなのに、と惜しむ気持ちにもなってしまう映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 小林聖太郎

 

原作 破門 「疫病神」シリーズ (角川文庫)

 

出演 佐々木蔵之介/横山裕/北川景子/橋爪功/濵田崇裕/矢本悠馬/橋本マナミ/宇崎竜童/キムラ緑子/木下ほうか/佐藤佐吉/勝矢/山本竜二/佐藤蛾次郎/月亭可朝

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音楽 後関好宏/會田茂一/きだしゅんすけ

 

破門 (小説) - Wikipedia

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「スーパーマン」 1978

スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 崩壊寸前のクリプトン星を脱出して地球にやって来たクリプトン星人の子供は、やがて成長し、スーパーマンとして人々を助けるようになる。

 

感想

 幼いスーパーマンが脱出する直前のクリプトン星から映画は始まる。古い映画だが、SF感あふれる星の様子を描いた特撮映像がなかなかよく出来ていて感心してしまう。特に彼らが着ているいかにも宇宙ぽい衣装の表現が良かった。

 

 地球にやって来て成長したスーパーマンは、普段はクラーク・ケントとして冴えない新聞記者をやっている。彼には空を飛べたり、怪力だったり、鋼の肉体だったりとすごい能力がたくさんあるが、もしかしたら一番すごい能力は冴えない男を演じ切る演技力なのかもしれない。このグダグダの駄目さ加減を常に出し続けるのは、並大抵の集中力ではできないはずだ。アドリブ力や演出力だっている。これに比べたら他の能力は、何の努力もいらないわけで、ただ持ってる力を出すだけの楽なものに思えてくる。

 

 

 やがてスーパーマンは、ジーン・ハックマン演じる悪玉と対峙することになる。ところで、いつも不思議に思っていたのだが、なぜ昔のアメコミの悪玉は、必ずコミカルさを出そうとするのだろう。しかも大抵全然面白くない。いつもこれで気持ちが冷めてしまうので、昔のアメコミ映画は苦手だった。

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 そしてそれはこの映画でも同様で、悪玉の部下たちが面白くもないコメディを演じている。またかと残念な気持ちになってしまった。ただこの悪玉は、ほとんど情報がないスーパーマンの事を一瞬で理解し、弱点も見抜いてしまって恐れる事はなく、しかも面識のない彼を一発で呼び出す事まで出来てしまうのだから凄すぎる。スーパーマンよりも全然凄いのでは?と思ってしまうぐらいだ。もしかしたらそんな男を普通に悪玉として描いてしまったら、あまりに完璧過ぎて子供が怖がってしまうので、安心させるために敢えてコミカルに描くようになったのかもしれない。

 

 この悪玉の無駄なコミカルさを除けば、プロットもしっかりしているし、爽快なアクションがあってユーモアもあり、さらにはヒロインとのロマンチックなシーンまであるので、きっと誰もが楽しめる娯楽映画となっている。ラストもスーパーマンが悲しみで自棄になって地球をグルグル回っているのかと思ったら、そんな事が出来ちゃうの?というような驚きの展開。それがありなら何でもありになっちゃうよと思ったのだが、でもなんだか笑って許せてしまうおおらかさのある作品だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 リチャード・ドナー

 

脚本/原案 マリオ・プーゾ

 

脚本 デイヴィッド・ニューマン/レスリー・ニューマン/ロバート・ベントン/*トム・マンキウィッツ

*クレジット無

 

出演 クリストファー・リーヴ/マーゴット・キダー/マーロン・ブランド

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ネッド・ビーティ/ヴァレリー・ペリン/ジャッキー・クーパー/グレン・フォード/スザンナ・ヨーク/トレヴァー・ハワード/マリア・シェル/テレンス・スタンプ/サラ・ダグラス/ジャック・オハローラン/ジェフ・イースト

 

音楽 ジョン・ウィリアムズ

 

編集 スチュワート・ベアード/マイケル・エリス

 

スーパーマン (1978年の映画) - Wikipedia

 

 

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「日本沈没」 1973

日本沈没

★★★☆☆

 

あらすじ

 日本近郊の海底調査を行っていた地質学者らは、異常な現象を目の当たりにして、日本に大災害が起きる可能性を危惧し始める。

 

感想

 学者らが海底調査を行うシーンから映画はスタートする。正直、どんな状況なのだかはよく分からないのだが、それでも彼らのただならぬリアクションを見ていると、異常で深刻な出来事が起きているのだという事は分かって、息を潜めるような緊張感がある。その後の首相らを前にして、何が起こっているのか、その状況が説明されるシーンでようやく事情が分かるのだが、この時のプレゼンがとても分かりやすく勉強になった。よく出来ているので、このシーンを見て興味を持ち、地質学者を目指した人がいるような気がする。

 

 やがて日本各地で頻発するようになる地震や災害。この特撮映像が非常によく出来ていて見ごたえがある。作り物であることは分かるのだが、なんとも言えず味わい深い映像だ。どうやって撮っているのだろうと、アート作品を鑑賞するかのようにじっくりと見てしまう。しかしこの頃はまだ時代劇で見られるような民家が残っていたり、関東大震災を経験した人がまだいたりと(一応今でもいるが)、なかなか感慨深いものがある。この映画を観た当時の人々の中には、その震災や戦時中の体験を思い出した人も多かったはずだ。

 

 

 誰が主役というわけではない群像劇だが、首相役の丹波哲郎がいい演技を見せている。特に最悪のシナリオを聞かせられた時の、微妙に表情を変化させるシーンは、この人はこういう繊細な演技も出来るのだなと見直した。ただ自分が丹波哲郎を見くびり過ぎていただけなのかもしれないが。それから、小林桂樹演じる学者がテレビに出演し、討論相手に向かって「この御用学者が!」と罵り殴りかかるシーンはワイルドすぎて笑えた。藤岡弘の劇画そのままといった濃い顔も良い。

 

 全体的には政府中枢部の人たちの動きばかりが描かれ、日本沈没を目前にした大衆の様子はあまり描かれない。元同僚に熱い思いをぶつける会社員とか、なぜか日本と運命を共にしようとする学者など、よく分からない人物描写も多く、ヒューマンドラマとしては大したことがない。これならその部分を大きく削って、2時間以内に収まる特撮推しのディザスター映画にした方が良かったような気もした。

 

 日本がなくなり、世界各地に散らばった日本人たちはその後どうなるのだろうか?というラストの問いかけは、色々な想像が出来そうで興味深い。でも多分、どんな環境でも逃亡しない、使い勝手の良い理想的な外国人技能実習生のような存在になっているような気がしないでもない。世界中で重宝されて、こき使われてしまいそうだ。

 

スタッフ/キャスト

監督 森谷司郎

 

脚本 橋本忍

 

原作 日本沈没 決定版【文春e-Books】

 

製作 田中友幸/田中収

 

出演

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小林桂樹/藤岡弘/いしだあゆみ/滝田裕介/中丸忠雄/村井国夫/夏八木勲/高橋昌也/神山繁/中村伸郎/二谷英明/島田正吾

 

撮影 村井博/木村大作/富岡素敬

 

日本沈没

日本沈没

  • 小林桂樹
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日本沈没 - Wikipedia

 

 

登場する作品

同じ原作の作品

 

 

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「アガサ・クリスティー ねじれた家」 2017

アガサ・クリスティー ねじれた家(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ある大富豪の殺人事件が発生し、犯人を探すために豪邸を訪れて家族に話を聞く私立探偵。原題は「Crooked House」。

 

感想

 古い大きな洋館で殺人事件が起き、そこに私立探偵がやって来て一筋縄ではいかない住人達に話を聞きながら真犯人を探す物語。いかにも古典的な推理ものといった感じで、演出も重厚感があって雰囲気が良く、とても期待をさせてくれる滑り出しだった。グレン・クローズ演じる大叔母をはじめ、登場人物たちが皆個性的なのも良い。

 

 ただ、当初の期待がどんどんと萎んでいくような内容になってしまっている。ミステリーものには、一番怪しそうにみえる人物は真犯人じゃない、という定番の決まり事があるが、この物語はなぜかその一番怪しそうに見える人物の話で終盤まで引っ張ってしまう。登場人物たちは皆、犯人はそいつだろうと決めつけて安心してしまっており、絶対犯人はそいつじゃないだろうと思っている観客との温度差が激しい。もしかしたら犯人はこいつなのか?と登場人物たちが互いに疑心暗鬼になるような展開がなく、盛り上がらない。

 

 

 それに大富豪が殺されたとなれば、犯人の目的は遺産だろうと思ってしまうのだが、親族たちがそれについては意外と淡白な反応しかみせないのも拍子抜けした。一応は相続の内容について嫌味を言ったりはしているのだが、大した執着はみせず、あっさりと受け入れてしまっている。皆お金には余裕がなさそうだったので、そこは醜い骨肉の争いを見せて欲しかった。遺産の行方にそんなに関心がなさそうだということは、富豪を殺す動機もそんなにないのだろうなと思ってしまって、真犯人を探すモチベーションが全然上がらない。

 

 そんな悪い意味で安定した状態で進んだ物語は、ラストに急展開で真犯人が明らかになる。それ自体はなかなかの驚きがあって面白かったのだが、そこに至るまでの経緯が全然ダメだった。もうちょっと観客が推理を楽しめるような状況を作って欲しかった。それからよく考えてみると、私立探偵は特に何もしていないので、彼のキレッキレの推理を楽しむというわけでもなく、ただ事件の経緯を眺めるだけだったような印象になってしまっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジル・パケ=ブランネール

 

脚本 ジュリアン・フェロウズ/ティム・ローズ・プライス

 

原作 ねじれた家 (クリスティー文庫)

 

出演 グレン・クローズ/テレンス・スタンプ/マックス・アイアンズ/ステファニー・マティーニ/ジュリアン・サンズ/オナー・ニーフシー/クリスチャン・マッケイ/アマンダ・アビントン/ジリアン・アンダーソン/クリスティーナ・ヘンドリックス

 

ねじれた家 - Wikipedia

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「オー・ルーシー!」 2018

オー・ルーシー!

★★★★☆

 

あらすじ

 ふとしたきっかけで英会話の体験教室に参加し「ルーシー」と名付けられた女は、帰国した英会話教師を追ってアメリカに向かう。

 

感想

 冷めた日常を過ごす40代独身女性の主人公が、たまたま訪れた英会話教室で、戸惑いつつも変わっていくというか、目覚めていく姿がリアルだった。外国語を話すときは別人格になったような感覚があるので、自分を変えたいと思っている時には手っ取り早くて良い手段なのかもしれない。英会話教室のいかがわしく不思議な空間も面白かった。

 

 そんな主人公が、英会話教師を追ってアメリカに向かう。これまたひょんなことから不仲な姉と一緒に行くことになるのだが、この姉がことあるごとに主人公の事をわがままだと非難していて、最初はそうかなと違和感があった。自分にはわがままというよりも世間に流されない、自分のやりたいことをやる自立した人間に見えた。ただ、どんどんと居場所を失っていく彼女を見ていると、自分らしさを大事にし過ぎてまわりと上手くやれない、やっぱりわがままな人間なのかも、と思い直した。

 

 

 おそらくきっと誰だってわがままな人間なのだが、多くの人はそれを取り繕いながら生きている。だけど主人公にはそれが出来ない。周囲の人々を気にしないで、思ったことを言ってしまうし、やりたいことをやってしまう。生きるのが下手くそだと言えるが、だからといって改善する気はなく、これでいいやと開き直っている。ただ、もし彼女が上手く生きられるようになったら、きっと彼女の姉のような嫌な奴になるのだろうなと思うと、色々と考えてしまうが。結局はバランスが必要だということなのだろう。

 

 ままならない主人公の姿に、何とも言えない人生の悲哀を感じてしまう映画。これは寺島しのぶ演じる主人公が40代だからこそという感じがする。もし彼女が20代や30代だったら、色々な出来事の意味合いが変わって見えるだろうし、何があったところできっとやり直せるしと思ってしまっていただろう。だが40代になると、本当にやり直せるのか?と疑いの気持ちも少し出てきて、それが人生を考えさせることにつながっていく。

 

 余談だが、今となっては冒頭の主人公のマスクの使い方にめちゃくちゃ違和感を感じてしまった。風邪気味だからマスクをしているのに、人と話すときにはマスクを外す。人と話すときは失礼にならないようにマスクを外して顔を見せるという風習、あったなーと懐かしい気分になってしまった。このマナーはいつか元に戻るのか、それとも今のマナーがそのまま定着していくのか気になる。そしてまたいつか、このマナーについての喧々諤々の議論が巻き起こるのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 平栁敦子

 

製作総指揮 メイリン・チュー/ラズミッグ・ホバギミアン/ウィル・フェレル/アダム・マッケイ

 

出演 寺島しのぶ/南果歩/忽那汐里/ジョシュ・ハートネット/大後寿々花

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「ボディ・バンク」 1996

ボディ・バンク【字幕版】 [VHS]

★★★★☆

 

あらすじ

 緊急搬送された患者の異常な容態に関心を持った医師は、詳細について独自に調査を始める。原題は「Extreme Measures」。

 

感想

 医師である主人公が、ある患者の異常な容態とその後の不可解な処置に関心を持った事から始まる物語。主人公は知らないうちにある組織の極秘計画の内情に迫っており、それを恐れた組織の策略により、自身のキャリアを台無しにされてしまう。観客はそんな背景に気づいているので、主人公が誰彼構わず気になっていることをペラペラしゃべる姿にハラハラしてしまうのだが、普通はまさか背後に巨大な陰謀が渦巻いているなんて思わないから仕方がない。

 

 それに、真相を探る主人公の行動もかなり脇が甘い。警戒心がほとんど無く、尾行や盗聴など周囲の目をほとんど気にしていない。これもまた、その手の特別な訓練を受けているわけではない普通の医者なので仕方がないか。クライマックスのエレベーター内の格闘から始まる一連の出来事も、相手のことを全然気にしていなかったのだから、そりゃそうなっちゃうよと思ってしまった。でもだからこそスリルがあるのだが。

 

 

 そして、主人公が迫るジーン・ハックマン演じる医師の率いる組織が、決して純粋なる悪の組織ではなく、彼らなりの善のためにやっているという設定なのが良い。彼らの言い分を聞いていると、完全には否定できないような気になってしまって動揺させられてしまう。こんな事なら躊躇なく叩ける完全な悪者であって欲しかったと思ってしまうのだが、世の中で起きている対立も大抵これで、正義対もう一つの正義という構図。だからこそ解決することは難しい。相手の説得に、自分は思わず丸め込まれそうになってしまったのだが、そこで主人公が迷いなくスパッと一刀両断してくれたのはカッコ良かった。頭の中のモヤモヤが一気に晴れた。

 

 エンディングでは、そんな高潔な主人公にある資料が手渡される。倫理的に問題のある方法で手に入れた有用な情報は活用してもいいのか?という難題をいきなり突き付けられて、色々と考えさせられてしまう。主人公は研究棟前の往来の激しい狭い門でこれを受取り逡巡するのだが、とりあえず通行の邪魔だからそこをどいた方がいいのでは?と気になって仕方がなかった。だがきっとこれは、その資料を門の内側に持ち込むのかどうかということを、視覚的に表現しているのだろう。

 

 緊張感が最後まで保たれる良質なサスペンス、そして深いテーマ。背後に流れる音楽もオーソドックスではあるが格調高く、映画的雰囲気を盛り上げてくれてとても良かった。かなり見ごたえのある映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督 マイケル・アプテッド

 

脚本 トニー・ギルロイ

 

原作 ボディ・バンク (福武文庫)


製作 エリザベス・ハーレイ

 

出演

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サラ・ジェシカ・パーカー/デヴィッド・モース/ビル・ナン/ポール・ギルフォイル/J・K・シモンズ/デヴィッド・クローネンバーグ

 

音楽 ダニー・エルフマン

 

撮影 ジョン・ベイリー

 

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「キスより簡単」 1989

キスより簡単

★★★☆☆

 

あらすじ

 母親の奔放な性格のおかげで自分の父親が誰か分からない女は、自身も奔放な生活を送るようになる。

 

感想

 母親が奔放で、すべて父親が違う四姉妹の三女が主人公。さらに、主人公の父親は母親が当時付き合っていた三人の男性のうちの誰か、というこれまた複雑な状況。なかなかすごいなと思ってしまうのだが、父親が複数という形式は意外とよく見るので、実はそんなに珍しくないパターンなのかもしれない。

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 母親からすれば、自分が父親かもしれないと思っている男が三人もいて、彼らがみな子育てに協力してくれたら色々と捗る。一人の男に頼るだけだと、万が一、男が非協力的だったり早くに死んでしまったりすると一気に詰んでしまうが、これならリスクを分散することが出来るので戦略としてはかなり有効だ。実際、若くして死んでしまった母親の代わりに三人の男が経済的に援助しているので、この姉妹たちが路頭に迷うことはないはずだ。

 

 そんな環境で育ったせいか、主人公は自身も奔放な性格となり、誰とでも寝るような生活を送っている。そういう面で自由であろうとする女性は物語ではよく登場するのでさして珍しくはなく、人によって意見は様々だろうが、個人の自由だから好きにすればいいのではと思うだけで、特になんとも思わない。ただ、相手が兄かもしれない男や父親かもしれない男でも気にしないというのはさすがに突き抜けていて、観ていて少し気分がゾワゾワする。これも言ってしまえば個人の自由なのだが、さすがにこのハードルはなかなか超えられない。

 

 

 クライマックスは、主人公をめぐって父親かもしれない男に兄かもしれない若い男が対峙するシーン。だが、正直、若い男が何をしたくて男に挑んでいるのかよく分からなかった。「俺は血のつながりがあろうと気にせず彼女と付き合っていく覚悟がある」と宣言したかったということなのか。なんとなく雰囲気だけでそれっぽくやっているだけのようにも思えてしまった。

 

 最後は、なんだかんだでやっぱり血のつながりがある者同士はやめておいた方が良さそうだね、みたいな締まらない展開。そんな狭い世界でぬるい事やってないで、もっと広い世界に目を向けようというメッセージか。急に社会派風になるエンディングは、かなり強引に思えた。

 

スタッフ/キャスト

監督 若松孝二

 

脚本 小水一男

 

原作 キスより簡単(1) (ビッグコミックス)

 

出演

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早瀬優香子/石渡譲/小河麻衣子/杉浦幸/山迫亜美香/河原崎長一郎/室田日出男/石橋蓮司/篠原勝之/小林かおり/佐野史郎/田中みお/川上泳

 

音楽 ジョー山中

 

キスより簡単

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「黒猫・白猫」 1998

黒猫・白猫(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 列車強盗に失敗してしまった男は、借金を帳消しにしてもらうために息子をマフィアの妹と結婚させることにする。セルビア映画。

 

感想

 川辺で暮らす人々の姿を描いた物語。彼らはいわゆるジプシー(ロマ)なのだが、日本人にはそれが直感でピンとこないのが辛いところだ。一部の演者以外は現地の本物の人たちを使っているらしい。彼らは、歯並びだったり服装だったりの外見が色々とすごい。ただ主要人物たちもなかなかの外見なので、どこまでがプロの役者で、どこからがローカルの人たちなのかは全然区別がつかない。

 

 そんな場所で暮らすある男が列車強盗を企てるも失敗し、借金を帳消しにしてもらう代わりに、息子をマフィアの妹と結婚させることに合意したことから始まるコメディ。ただ、笑える映画というよりもユーモア溢れる陽気な映画と言った方がいいのかもしれない。人々は雑然とした暮らしの中でも楽観的で、人生を謳歌しようという気分に溢れている。背景には心が躍るような独特な民族音楽が常に流れており、観ているうちに次第にこちらまで愉快な気分になってくる。

 

 しかし無理やり結婚させられることになった息子とその相手は、渋々結婚を受け入れようとはしているが、内心ではもちろん嫌でたまらない。常に陽気な彼らではあるが、そうあるためには好きな相手と結婚し、家族を持つということが必要な条件なのだろう。逆に言えば、それさえ出来れば満足ということで、だから劇中の年寄りたちはみな口を揃えて「早く結婚しろ」と若者を見れば言っているのかもしれない。そんな妹の幸せを強く望むマフィアの気持ちが、今回の強引な結婚へとつながってしまったと言える。

 

 

 タイトルにもなっている黒猫・白猫は一匹ずつ登場するがほんの僅かだけ。それよりも大量に登場する白いガチョウの方がその何倍も目立っている。黒と白を悪い事・良い事の象徴だとするなら、人生は悪い事よりも良い事の方が圧倒的にたくさんあるのだから、前向きに大らかに楽しく生きようよというメッセージなのかもしれない。

 

 楽しい映画ではあるが、気軽に笑える感じではないので、体調が整っているときに観た方が良さそうな映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 エミール・クストリッツァ

 

出演 バイラム・セヴェルジャン/スルジャン・トドロヴィッチ

 

音楽 ネレ・カライリチ/ヴォイスラフ・アラリカ/デーシャン・スパラヴァロ

 

黒猫・白猫(字幕版)

黒猫・白猫(字幕版)

  • バイラム・セヴェルジャン
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「藏」 1995

藏

★★★☆☆

 

あらすじ

 新潟の大地主で、酒蔵の蔵元でもある一族の物語。

 

感想

 大正期に一族に娘が生まれたところから物語は始まる。しかしそれまで8回妊娠したのにすべて死なせてしまっているというのは色々とすごい。裕福な家庭なので健康状態自体は悪くないと思うのだが、もともとの母親の体の弱さに加えて、医療レベルや厳しい気候なども影響していたということなのだろうか。そしてそれでも何とか子供を産もうとトライするのもすごい。それだけ後継ぎを産むことを強く望まれていたという事だろう。本人も産まなきゃいけないと思っていたようで、プレッシャーがすごそうだ。

 

 そしてついに生まれ育った娘も、いつかは失明するという病気にかかってしまう。恵まれた境遇なのに気苦労の多い一族だ。そんな次々と襲い来る困難を大きな心で受け止める、松方弘樹演じる当主の人間の大きさが印象的だが、でも彼のそんな性格が様々な困難を呼び込んでいるような気がしないでもない。目の不自由な娘が学校へ行くのを嫌がったら、気の毒がってすぐにそれを取りやめさせていたが、それは無理にでも通学させるべきだった。なんだかんだで彼は娘に甘く、そのせいで娘は我がままで気の強い女に育ってしまった。終盤はそんな娘に皆が振り回されただけと言えなくもない。

 

 

 映画は、そんな娘をはじめとした一族に関わる女たちの生き様を描く群像劇となっている。だが、どの女性に関しても中途半端にしか描けていない消化不良感がある。あまり踏み込んで描いていないために、そんな女の人たちがいたのだなというような薄い印象しかなく、彼女たちの情念のようなものまでは浮かび上がってこなかった。浅野ゆう子演じる当主の妻の妹がメインで描かれているが、彼女ですら当主に対する淡い思いは曖昧にしか伝わってこない。見せ場は、肩透かしを食らった気合の入った入浴シーンぐらいか。

 

 ラストも、一色紗英が演じる娘の強引な行動は、もっとやりようがあったように思うし、彼女の気持ちを相手が当然受け入れる前提なのもよく分からなかった。彼は幼馴染なのでそれなりの気持ちはあったのかもしれないが、結婚まで考えていたかどうか。でも世話になっている当主に頭を下げられては断れなかったのかもしれない。もしそうだったとしたら傲慢な金持ちの横暴でしかないと思ってしまって、気持ちも盛り上がらなかった。全体的にいまひとつ何を描きたかったのかがよく分からない映画になってしまっている。

 

スタッフ/キャスト

監督

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原作 藏 (上) (角川文庫)

 

製作総指揮/出演 松方弘樹

 

出演 浅野ゆう子/一色紗英/夏川結衣/西島秀俊/江藤潤/川島なお美/石立鉄男/神山繁/船越栄一郎/長谷川初範/蟹江敬三/朝丘雪路/加藤治子

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音楽 さだまさし/服部隆之

 

藏

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「ベイビー・ドライバー」 2017

ベイビー・ドライバー (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 持病の耳鳴り対策として常に音楽を聴いている犯罪組織の凄腕ドライバー。

 

感想

 幼い頃の事故の後遺症である耳鳴りをかき消すために常に音楽を聴いている主人公。そのため映画も音楽が常に鳴り響き、それに合わせて物事が展開していく。特にオープニングでいきなり始まる、音楽に合わせて進行する銀行強盗の一連のシーンは、インパクトがあってぐっと物語に引き込まれた。これはかつて監督が手掛けたミュージックビデオのアイデアを発展させたものらしい。

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 それから銃撃戦ももちろん音楽に合わせて行われている。普通は予想外に発砲したりするから面白いのだが、この映画では音楽に乗せて発砲するのであらかじめなんとなく予想出来てしまう。だけど興醒めすることはなく、かえってそれが心地よく感じてしまうのは不思議な感覚だ。視覚的にも音楽を楽しんでいるような気分だ。

 

 そんな一連の映像は面白いのだが、ストーリーとしては若干消化不良に感じてしまうところがある。ジェイミー・フォックス演じる凶悪な男の身勝手な振る舞いに対しては皆基本的にスルーしていたのに、なぜか主人公のちょっとした不審な行動には皆が一丸となって責め立てていたのは納得がいかなかった。主人公の音楽を聴いてばかりであまり人と関わろうとしない態度が皆の反感を買っていたのかもしれないが。それから、仲間割れで敵対することになる相手は、ジェイミー・フォックス演じる男の方が良かったような気もするのだが、彼はただの傍若無人な男なので逆にベタ過ぎると踏んだのだろうか。

 

 

 時おり交えられるユーモアや後に主人公を窮地に陥れる変な趣味に興じるシーンも面白く、純粋に楽しめる娯楽映画だ。スバル、トヨタ、三菱と、序盤はなぜか日本車の登場率が高いのもなんだかちょっと嬉しい。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作総指揮 エドガー・ライト

 

出演 アンセル・エルゴート/ケヴィン・スペイシー/リリー・ジェームズ/エイザ・ゴンザレス/ジョン・ハム/ジョン・バーンサル/フリー/スカイ・フェレイラ/ビッグ・ボーイ/ポール・ウィリアムズ/ジョン・スペンサー/(声)ウォルター・ヒル

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音楽 スティーヴン・プライス

 

ベイビー・ドライバー (字幕版)

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「アキレスと亀」 2008

アキレスと亀 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 売れない画家の半生。

 

感想

 売れない画家の半生が幼少期から描かれていく。裕福な家庭の子供からスタートし、波乱の人生を送る主人公の幼少期を映し出す映像は、考え抜かれたような構図とセピア色のトーンが素晴らしい。一瞬、小津映画かと見まがうようなシーンもあった。昔らしさを演出するための舞台や小道具にもこだわりが感じられ、小手先でごかまそうとしていないことがよく分かる。このあたりは、芸術をテーマにしているので力が入っているのかもしれない。

 

 主人公の成人期を演じるのは柳憂怜。最初に彼が登場したときは、40歳ぐらいの中年かと思ったのだが、実際は20代の若者という設定だった。でも意外と違和感を感じなかったのは、昔の若者は今の若者よりも老けて見えるからだろうか。主人公は同じ志を持つ仲間と出会い、皆と新しいアートを試みる活動を行うようになる。やっていることは面白いが、どこにでもいるような仲間とわいわいやっている若者だ。でも、こういう時代があるという事は大事なことだ。

 

 

 そして老年期。画家として売れないままに老年期を迎えた主人公は、それでも創作活動を続けている。長年連れ添った妻を従えて、あうんの呼吸で行われる創作風景は、まるでベテランの夫婦漫才師を見ているかのようでめちゃくちゃ笑える。これは、演じるのがビートたけしだからというのもあるが、それまでアート活動をずっと続けてきた主人公の半生をずっと見てきたからこその面白さだろう。アートとは何か?を何度も繰り返し考え、そして実践してきた者にしか出せないトボけた味がある。もはや他人の評価がどうこうではなく、ただやり続けるんだよという境地。

 

 この老年期は、幼少期とはうって変わって、カラフルで鮮烈な映像が多く、歳を重ねて円熟してきたということなのだろう。アキレスと亀のパラドックスで、アキレスは亀に永遠に追いつけないかもしれないが、近づき続けているのは間違いない。そう思ってあきらめずに続けたら、まかり間違って追いつくことだってあるかもしれない。そんな風に生きられたら、きっとそれは幸せな人生だ。

ゼノンのパラドックス - Wikipedia

 

 終盤が少し、自分の期待していた方向とは違う方にストーリーが進んでしまったが、総合的に満足度が高い映画だった。映画は芸術だということを再認識した。全て監督が描いたという劇中に登場するたくさんの絵画も興味深く、一枚一枚じっくりと見たくなる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/*出演/編集 北野武

*ビートたけし名義

 

出演 樋口可南子/柳憂怜/麻生久美子/中尾彬/大杉漣/伊武雅刀/大森南朋/筒井真理子/吉岡澪皇/徳永えり/仁科貴/寺島進/六平直政/ふせえり/不破万作/ビートきよし/大竹まこと/三又又三/お宮の松/風祭ゆき/ボビー・オロゴン/電撃ネットワーク/森下能幸

 

撮影 柳島克己

 

アキレスと亀 [DVD]

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  • ビートたけし
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アキレスと亀 (映画) - Wikipedia

 

 

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「ドッジボール」 2004

ドッジボール (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ライバルジムによる買収を阻止するために、ドッジボール大会に出場して賞金獲得を目指すスポーツジムオーナーとジムの会員たち。

 

感想

 ドッジボールを題材にした映画。ただ、ゲームのルールが自分が思っていたものとは全然違って戸惑った。6人編成のチーム同士で対決し、ボールも6つ使うというもの。ドッジボールは一応、国際団体が定める統一ルールはあるのだが、世界各地にローカルルールがあって、それぞれがそのローカルルールに則って試合を行っているというのが実情のようだ。しかしこの映画のボールを6つ使うバージョンのゲームは、審判だけでなく、やっているプレイヤーたちまで混乱しそうだが、ちゃんと適切に行えているのだろうかと心配になってしまう。基本的には自己申告をベースとする紳士(淑女)的なスポーツということなのかもしれない。

 

 肥満は本人の努力不足、という意識高い系のスポーツジムに買収されそうになったジムのオーナーである主人公が、自らのジムの会員らと共に、買収阻止のため賞金目当てでドッジボール大会に出場するという物語。まず主人公の経営するジムのメンバーたちが、自分を海賊と称する男や、ナヨナヨとしたモテない若者、中年太りの叔父さんと、皆独特なのが面白い。誰も決して男前でなく体格も良くないが個性的だ。そんなメンバーに囲まれる紅一点のクリスティン・テイラー演じる女性も魅力的。ライバルジムのメンバーたちの画一的な印象とは対照的で、実は多様性の重要性を示唆しているようにも思える。

 

 

 映画は、ライバルジムのオーナーの嫌がらせ、ドッジボール大会に向けた特訓、そして大会の試合の様子がコミカルさを交えて描かれていく。コメディ部分はどれもそれなりに面白く、特にベン・スティラー演じるライバルジムのオーナーが、主人公にマウントを取りたいのだが何を言っているのか自分でも訳が分からなくなってしまい、二人で困惑する、というシーンは笑えた。ベン・スティラーのギャグは大体ちゃんと面白い。ただ、ドッジボールを題材にしているのに、試合のシーンにあまりコミカルさがなく、かといってゲームとして盛り上がるような展開でもなく、中途半端だったのが残念だ。試合のシーンが、映画の良い流れに水を差しているようにも見えた。

 

 なぜか「ナイトライダー」のデビッド・ハッセルホムや自転車競技のランス・アームストロング、そしてチャック・ノリスといった有名人がチョイ役で登場しているのも見どころの一つ。無理して意識高く頑張らなくても、あるがままの自分でいいんだよ、やりたいようにやればいいんだよ、というラストのメッセージにも元気づけられる。気軽に楽しめるコメディ映画となっている。

ナイトライダー シーズン 2 バリューパック [DVD]

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  • デイヴィッド・ハッセルホフ(声:佐々木功)
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スタッフ/キャスト

監督/脚本 ローソン・マーシャル・サーバー

 

製作 スチュアート・コーンフェルド

 

製作/出演 ベン・スティラー

 

出演 ヴィンス・ヴォーン/クリスティン・テイラー/リップ・トーン/ジャスティン・ロング/スティーヴン・ルート/ジョエル・ムーア/アラン・テュディック/ミッシー・パイル/ジュリー・ゴンザロ/ゲイリー・コール/ジェイソン・ベイトマン/ハンク・アザリア/デビッド・ハッセルホフ/ウィリアム・シャトナー/ランス・アームストロング/チャック・ノリス

 

ドッジボール (映画) - Wikipedia

 

 

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「この子の七つのお祝いに」 1982

この子の七つのお祝いに

★★★☆☆

 

あらすじ

 自分たちを捨てた父親を恨み、復讐を果たすよう母親から言われて育った女と、彼女の存在を追うルポライター。

 

感想

 ある政治家秘書の内情を探っていた記者が、情報提供者の殺人事件に遭遇した事から始まる物語。岩下志麻が主演のはずなのに、本筋とは関係なさそうなところでいきなり登場して訝しんでしまったが、どうやらこれは偶然だったという設定のようだ。でも、真相を追うライターの後輩が通っていたバーのママがその張本人だった、というのは、偶然と呼ぶにはあまりに出来過ぎていて、それはもはや奇跡だろうというレベルだ。それでかなり冷めてしまった部分はある。

 

 ただそれを除けば、なかなか見ごたえのある映画だった。まずは岩下志麻演じる女の狂気。彼女は、幼い頃から母親にマインド・コントロールされており、その呪縛に囚われている。それまでも何度かおかしな素振りは見せていたのだが、彼女に協力している昔からの親友を、話しているうちに感極まって殺してしまい、すぐに罪の意識に襲われて泣き崩れるシーンは、唐突に訪れた不条理過ぎるシーンの連続で思わず爆笑してしまった。意図的ではないだろうが、この映画の彼女はどこかコミカルだ。

 

 

 それから、劇中に登場する彼女の学生時代のセーラー服姿の写真もインパクトがすごかった。幼さを表現するなら無難に控えめな髪型でいいのに、なぜか攻めたボリュームのある髪型で写真に納まっていて、違和感が半端なかった。

 

 そして、彼女と両親の過去が明らかになっていく過程もよく出来ていて引きつけられる。ラストには予想外の展開も待ち受けていて、最後まで面白く楽しませてくれる。それらを観ているうちにひしひしと感じてくるのは、昭和のワイルドさだ。戦時中や戦後の人々の壮絶な人生が見えてくる。生き延びるために偽装結婚したり、戦争から戻っても家族の消息が不明のまま何年も暮らしたり、子供がさらわれたりと、ハードな出来事が普通のこととして語られている。

 

 特に、寝てたらネズミに齧られたという話は、そんなことが本当に現実にあるのかと驚いてしまった。ドラえもんの耳が齧られたというエピソードも、当時の人たちにはあるあるな話だったという事なのか?と思ったりした。

 

 この映画は、事件の全容を明らかにするというだけではなく、その背後にあった昭和の過酷だった時代を描こうとしているように感じられる。そんな時代を象徴するような母親から負の遺伝子を引き継いで、今を生きてしまっているのが彼女だということなのだろう。こうやって過去は、なかなか純粋な過去にはなってくれない。

 

 今だって、これは遠い昔のことのように感じてしまっているが、この戦後間もない時代に生まれた世代が今まさに日本の中枢にいて、物心ついた時に身に付けたこの頃の感覚で現代を生きているわけで、まだまだ昭和の残滓はあちこちに残っている。今だに「昭和かよ!」と思うような出来事に何度も遭遇してしまうのはきっとそのせいだろう。昭和が本当に過去のものとなるのは、まだまだ遠い先の事になりそうだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 増村保造

 

原作 この子の七つのお祝いに (角川文庫 (5890))

 

製作 角川春樹

 

出演 岩下志麻/岸田今日子/根津甚八/杉浦直樹/辺見マリ/村井国夫/芦田伸介/畑中葉子/室田日出男/小林稔侍/神山繁/名古屋章/坂上二郎

 

音楽    大野雄二

 

この子の七つのお祝いに - Wikipedia

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「スペシャリスト」 1994

スペシャリスト (字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 両親を殺したマフィアたちへ復讐を誓う女から、協力を依頼された元CIAの爆弾物のスペシャリスト。

 

感想

 幼い頃にマフィアに両親を殺されてその復讐に燃える女が、爆発物のスペシャリストに協力を依頼するところから物語は始まる。前半はマフィア組織に近づこうとするシャロン・ストーン演じる女と、そんな彼女を遠くから見守る主演のスタローン演じるスペシャリストの姿が描かれていく。一応、主人公はまだ依頼を引き受けておらず、依頼者の素性を確かめているのだという名目はあるのだが、やってることはほぼストーカーと変わらない。時おり、女に意味深な電話をかけたりして、若干、気持ち悪い。

 

 そして、必死に敵に近づく女の姿を見て、依頼を引き受けることにした主人公。思いのほかあっさりと、テンポよく次々と敵を倒していく。その方法はもちろん爆弾によるもの。他人に被害が及ばないようにちゃんと対策はしてあるのだが、それでも爆破の後の光景は、まるでテロにでもあったかのようであまり後味は良くない。敵と直接対峙することなく遠隔で爆弾を使用するという方法は、どこか卑怯というか、男らしくない感じがして、なんだか悪役感がある。ここまでで主人公は、ストーカーでテロリストというイメージになってしまっている。見ていてもあまり気分が盛り上がらない。

 

 

 ただ、直接対決で爆弾を使われるのはなんだか嫌だが、敵の攻撃を防ぐためなど、それ以外の時に爆弾を使うシーンは、見ごたえがあってなかなか良かった。特に、敵に急襲されて、ホテルの部屋全体を爆破で切り離したシーンは面白かった。それだけに主要な敵キャラのほとんどとしっかり対峙することなく、思ったよりも簡単に爆弾で倒していってしまったのには物足りなさがあった。

 

 そして、おそらく主演二人の濡れ場をやりたかったためだと思うが、映画全体にどこか物憂げで気怠い雰囲気が漂っている。二人の間に恋愛感情のようなものがあるので、割り切って仕事が出来ない戸惑いが常にあるんですよとでも言いたげに、やたらゆっくりと、じっくりとしたテンポで物語が進み、結構かったるい。当時勢いのあったセックスシンボル女優と肉体派スタローンの濡れ場なので、それなりの需要はあったのだろうが、その要素を組み込もうとしたことでかえって映画が退屈になってしまっているように感じられる。そもそも依頼人に手を出してしまうようでは、スペシャリストとは言えないわけで。

 

スタッフ/キャスト

監督    ルイス・ロッサ

 

出演 シルヴェスター・スタローン/シャロン・ストーン/ジェームズ・ウッズ/ロッド・スタイガー/エリック・ロバーツ

 

音楽    ジョン・バリー

 

スペシャリスト (字幕版)

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スペシャリスト (1994年の映画) - Wikipedia

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