BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」 2019

ナイト・オブ・シャドー 魔法拳(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 妖怪ハンターの男はある女の妖怪を捕えようとするが、彼女に思いを寄せる男に阻止されてしまう。中国映画。

 

感想

 全編にCGを多用した作品。中国映画は、妙に赤や金を多用する賑やか過ぎるCGが多くてあまり好みではないのだが、この映画の色使いはわりと落ち着いていて悪くない。クオリティもかなり高くてハリウッド映画と比べても遜色はなく、その映像を見るだけでもそれなりに楽しめる。

 

 ジャッキー・チェン演じる妖怪ハンターを間に挟みながら、人間から妖怪になった女と妖怪から人間になった男の悲恋が描かれる。しかし中国人は蛇の妖怪の悲恋が本当に好きだ。このパターンの映画を何度も見ているような気がする。元々この映画も清の時代の怪異小説「聊斎志異」の中の一編をモチーフにしているし、「白蛇伝」なんかもあるので、昔からこのタイプの話は中国人の心の琴線に触れる何かがあるのだろう。

 

 

 ただこの手の昔話や伝承は世界各地にあるものなので、文化が成熟していく過程でよく取り上げられる時期があるだけのことなのかもしれない。日本も昔話を題材にした小説や映画がよく作られていた時期があった。より成熟するにつれて新しい物語が生み出されるようになり、段々と昔話や伝承話は取り上げられることがなくなって、やがては忘れ去られていく印象がある。

 

 とはいえ、古かろうがベタだろうが良く出来ていれば感情移入して気持ちが動かされるものだが、この映画は設定が分かりづらくてうまく映画の世界に入り込めなかった。この話の根本である悲恋の二人がどうやって妖怪から人間に、人間から妖怪になったのか、そのシステムが上手く飲み込めない。何やら魂がどうのこうのと言っているのだがぜんぜんピンとこなかった。男が女を救おうとしているのは分かるのだが、女を人間に戻すために何をしようとしているのかは分からず、ただ眺めるだけになってしまった。もしかしたら中国人はそのシステムを説明されるまでもなく理解しているのかもしれないが。

 

 わずかではあるがジャッキー・チェンの椅子を使ったいつものアクションが見れたり、鏡を使った面白いアイデアの演出があったり、男が空中で佇む様子はドラゴンボールぽくてカッコ良かったりと随所に見るべきところはあるし、大まかには悪くなかったのだが、細かい部分に詰めの甘さを感じてしまう映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督    ヴァッシュ・ヤン

 

出演

bookcites.hatenadiary.com

イーサン・ルアン/エレイン・チョン/リン・ボーホン/リン・ポン/パン・チャンジアン/キングダム・ユン

 

ナイト・オブ・シャドー 魔法拳 - Wikipedia

ナイト・オブ・シャドー 魔法拳 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

登場する作品

聊斎志異 (光文社古典新訳文庫)

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「イコライザー」 2014

イコライザー (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 娼婦の少女を助けた事をきっかけに、ロシアン・マフィアを壊滅に追い込もうとする元特殊工作員の男。米ドラマ「ザ・シークレット・ハンター」の劇場版。

 

感想

 最初の30分くらいは、デンゼル・ワシントン演じる主人公が何者なのかが分からないまま物語が進行する。素直に見るとホームセンターに勤める気のいいおじさんで、なんだか頼りがいがある人、といったところだろうか。多分、何か裏のあるすごい人なのだろうなとは予想できるのだが、何も起きないまま進む序盤には停滞感があった。ただこれは人気ドラマが原作なので、観客は彼が何者であるかを知っている前提なのだろう。その前提となる知識があるなら、そうそう、普段の彼はこんな感じ、と安心して見ていられるのかもしれない。

 

 何もない日々を過ごしていた主人公は、ある日、たまたま知り合った幼い娼婦を助けた事から巨大なロシアン・マフィアの組織と対峙することになる。ここでようやく物語が大きく動き出す。組織から派遣された主人公を追う男は何やら妙に存在感があり、これからこの二人のヒリヒリするような戦いが繰り広げられるのかとグッと期待が高まったのだが、その後はずっと主人公のターンだった。反撃を許すことなく、ずっと優位に立ち続ける。

 

 

 この映画は、主人公が巨悪に対して決死の戦いを挑むというよりも、悪い奴らを懲らしめていく物語と考えた方が良い。最初はそれに気づかず、強すぎる主人公に呆れる部分もあったのだが、段々と仕組みが分かって来ると逆にそれが気持ちよくなってきた。

 

 圧倒的な強さで敵を倒していく主人公の姿には爽快感があったが、主人公が戦いの度に必ずどこかに傷を負い、その後に治療を施すシーンがあるのは気になった。どうせなら傷ひとつ負わないくらいの無敵でいてほしいと思ってしまったが、もしかしたら正義をなすには無傷ではいられない事を示唆しているのかもしれない。昔も今も正義の名のもとに他国を侵略し、戦争を始める国があるように、正義とはそんなに分かりやすい絶対なものではない。

 

 クライマックスは敵勢力とのホームセンターでの対決となり、何でも揃っている店内でそれらを活用して戦う姿は面白かった。特に電動ドリルで敵の首にゆっくりと穴を空けるシーンは好きだった。主人公を慕っていたホームセンターの元同僚が一緒に勇敢に戦うのも熱い。そして敵役を気持ちよく倒してそれで終わりではなく、ちゃんと本丸まで切り込み「根治」しようとするのも安心感があって良かった。

 

 この戦いをきっかけに、これまでひっそりと生きてきた主人公が、世の中に貢献しようと動き始める所でエンディングを迎える。若干、バズって調子に乗ってしまった人のようにも見えなくはないが、圧倒的な能力があるのならそれを活かすべきだろう。水戸黄門的にいくらでも続編が作れそうな物語だ。だからこそドラマシリーズとしてやっていたのだろう。

 

スタッフ/キャスト

監督 アントワーン・フークア

 

製作/出演 デンゼル・ワシントン

出演 マートン・ソーカス/クロエ・グレース・モレッツ/デヴィッド・ハーバー/ビル・プルマン/メリッサ・レオ

 

音楽    ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

 

イコライザー (字幕版)

イコライザー (字幕版)

  • デンゼル・ワシントン
Amazon

イコライザー (映画) - Wikipedia

イコライザー 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

関連する作品

イコライザー2

イコライザー2

  • デンゼル・ワシントン
Amazon

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「Presents〜合い鍵〜」 2006

Presents 合い鍵

★★★☆☆

 

あらすじ

 長年付き合った男に別れを切り出された女。45分。

 

感想

 付き合いが長くなりマンネリの関係になっていた男に突然別れを切り出されてしまった女。この主演の女性を演じるのは広末涼子で、個人的にはこれまであまり彼女の演技が好きではなかったのだが、この映画の彼女は悪くない。特に、突然の別れ話に動揺しながらもなんとか平静を装おうとする様子を、微妙な表情の変化で表現する場面が良かった。この映画はほとんど他の人物は登場しないので、この彼女の演技だけで持っている映画と言ってもいいだろう。

 

 フラれた主人公はその後、部屋の掃除や整理をしたりして、気持ちを切り替えようと様々な行動を試みる。映画冒頭で広末涼子が登場した時、彼女のロングヘア―はイメージになかったので珍しいなとチラッと思ったのだが、それもここのシーンのためだった。女性がフラれた時にやるとされるベタな行動のひとつ。特に文句があるわけではないが、だからだったのかと納得した。

 

 そしてそんな行動の一環として、男に合い鍵を返そうと手紙を書く主人公。そこで主人公は合い鍵を貰った当時を振り返り、久しく感じた事のなかった恋の感情を思い出す。悲しい気持ちは当然あるが、またこんな気持ちを味わうのも悪くないかもと前向きな気持ちになれた。主人公の心情が明確に語られるわけではないが、汲み取るとこんな感じになるだろうか。合い鍵はそんな気持ちを思い出させてくれる、今でも大事なプレゼントのままだ。

 

 ところで男が主人公に合い鍵をプレゼントするときの演出はなかなか良かった。タイマーで音楽を鳴らし、それに気づいた主人公がラジカセの所に行くとそこにプレゼントが置いてある。自然とプレゼントまでたどり着いてしまう動線の設定で、しかも洒落ているので感心した。真似したくなるが、多分一生そんな機会はない。

 

 

 悪くない物語だったが、最後が少し分かりづらかったのが残念だ。彼女の一人語りから結局合い鍵を返すのは止めたのだと推測できるが、その映像がないので確信が持てない。そこはぼやかす必要はないはずなので、主人公が手紙に鍵を入れずに封をするシーンをちゃんと見せて欲しかった。

 

 しかし鍵を返さなかったのだとしたら、元彼女からただのクリスマスカードを突然送り付けられたことになる男は、気味が悪かっただろうなと同情してしまう。でもそれがきっかけで復縁することがあるかもしれないし、また新たなドラマが生まれるきっかけになるかもしれない。たとえそうならなかったとしても、彼にとってはいつまでも記憶に残るクリスマスプレゼントになったはずだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 日向朝子

 

原作 Presents (双葉文庫)


出演 広末涼子/玉山鉄二/安田顕

 

音楽 野崎美波

 

Presents (小説) - Wikipedia

Presents 合い鍵 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

関連する作品

同じ短編集が原作の映画

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「ライフ」 2017

ライフ (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 火星から回収した土の中にいた微生物がやがて成長し、宇宙ステーションのクルーを襲い始める。

 

感想

 地球外生命体の発見に沸くも、やがては襲撃されて恐怖に陥れられる物語。「エイリアン」のようなよくあるパターンのSF映画だが、もはやこれはサメ映画と同じで一つのジャンルと考えた方がいいのだろう。

 

 火星の土の中にいた未知の微生物を監視、観察する宇宙ステーションの乗組員たち。地球外生命の発見という世紀の出来事に興奮するのは分かるのだが、いささかその対応が軽率過ぎるような気がしないでもなかった。一応は隔離したゴム手袋越しではあるが、いきなり得体のしれない生き物を触るのはいくらなんでも楽観的過ぎるだろう。そこはまず棒のようなものでつついたりして反応を確認するべきだった。設備も何があるか分からないからと、万全の上にも万全の体制を取っているわけではなく、普通の一般的な設備でしかない。おかげで案の定、あっさりと隔離の外に逃げられてしまった。小さな生命体を勝手に擬人化して、赤ちゃんのようなものと思い込み、油断してしまったということなのだろう。こういう特殊な状況では一番やってはいけない事だ。

 

 やがて生命体は急速に成長し、遂にはクルーを襲い始める。襲われた隊員の血が無重力の中でゆらゆらと広がっていく描写は不気味で良かった。映画は全体を通して静かなテイストで、登場人物が過剰に振る舞ったり、大げさな音楽が流れたりするような派手な演出はない。だがその地味さのせいで眠くなったりするようなことはなく、むしろ静かに怖い。乗組員たちが生命体と激しくぶつかり合うような勇猛な対決を考えず、なるべく接触しないように距離を取ろうと努めているのもリアルだ。それでも一人また一人と襲われて、じわじわと恐怖が広がっていく。

 

 

 ちなみに乗組員のひとりとして真田広之も出演しているが、どうせ序盤であっさりといなくなっちゃうんだろうなと思っていたら、意外にもそこそこ粘っていたのは嬉しい誤算だった。なかなか悪くない役だった。

 

 最後は、ありえない急成長を続ける生命体に対して、もはや太刀打ちできないと悟った生き残りの乗組員らが、せめて地球を侵略しないようにと自己犠牲の精神を発揮しようとする。この手の映画にありがちなベタで感動的な結末かと思っていたら、予想を裏切って後味の悪いエンディングが待ち受けていた。でもこの感じは嫌いじゃない。笑いがこみ上げてくるブラックジョークのような感触もあってなかなか良かった。

アルマゲドン (字幕版)

アルマゲドン (字幕版)

  • ブルース・ウィリス
Amazon

 

スタッフ/キャスト

監督 ダニエル・エスピノーサ

 

脚本 レット・リース/ポール・ワーニック

 

出演 ジェイク・ジレンホール/レベッカ・ファーガソン/ライアン・レイノルズ/真田広之/アリヨン・バカレ/オルガ・ディホヴィチナヤ

 

音楽 ヨン・エクストランド


編集 フランシス・パーカー/メアリー・ジョー・マーキー

 

ライフ (字幕版)

ライフ (字幕版)

  • ジェイク・ギレンホール
Amazon

ライフ (2017年の映画) - Wikipedia

ライフ 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「スリ」 2000

スリ

★★★☆☆

 

あらすじ

 アルコールに溺れ、スリの仕事がまともに出来なくなってしまった男の前に、弟子入りを志願する若い男が現れる。

 

感想

 中年のアル中でスリの男とその周囲の人物の物語。当然、話の中心はアル中とスリの話の2本立てで展開されるのだが、どちらも中途半端になってしまっている印象がある。アル中の禁断症状に苦しむ姿も手際のよいスリの手口も、もっとしっかり見たかった。それから、人のまばらな遊覧船でひとり佇む女性に異常に接近してスリを行なうのはさすがに不自然だったし、電車の中でしか仕事をしないのが主人公の誇りだったのに、その弟子が他の様々な場所で仕事をしていたことについてはどう思っていたのかも知りたかった。

 

 原田芳雄演じる主人公は、アル中で手が震え、まともに仕事が出来ないことに忸怩たる思いを抱えながらも、酒を止めることが出来ない。同居する娘同然に育てた若い女も、いざとなると気の毒になって酒を飲ませてしまう。主人公は警察に既にマークされているのだから、わざと捕まって服役すれば自動的に断酒できるのに、と思ってしまうが、そうは言っても一定の間完全に自由を奪われてしまうのは誰だって嫌だから当然か。それに警察に捕まるというのはスリとしての沽券にかかわることなのかもしれない。

 

 

 それから、娘同然の若い女が保健所の犬猫の殺処分を担当する仕事についているのは、社会に見捨てられた生き物を放っておけない優しさを示しているのだろう。その優しさは、同じように社会の片隅でひっそりと生き、消えていきそうになっている主人公に対しても向けられている。主人公が再起をはかれたのは、彼女のような存在があったからだろう。彼女だけでなく、弟子入り志願した男、彼を叱咤する刑事、断酒会の女など、彼を気遣う人間が周囲にたくさんいた。孤独な人間だとたった一人で立ち直るのは難しいし、そもそもそんな状況では立ち直ろうとすら思えないかもしれない。

 

 主人公の周囲の人間の中では、断酒会の女を演じる風吹ジュンが良かった。この時の彼女は40代後半と決して若くはないのだが、美しく可愛らしく、時には荒れたりブチ切れたりと、色んな女の表情を見せていて魅力的だった。

 

 主人公は一度は立ち直るも、弟子をめぐるいざこざから商売道具の右手を潰されてしまう。今度こそ再起不能かと思われたのに、それでも不屈の闘志で再び立ち上がる主人公の姿には胸が熱くなった。社会の片隅で生きている彼らにだって、プライドはある。

 

 それからまわりのサポートも大事だが、何よりも大事なのはまず本人に矜持があるかどうかなのだなと思い知らされた。それらが無くなってしまった時、すべてが一瞬で終わる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 黒木和雄

 

脚本 真辺克彦/堤泰之

 

出演

bookcites.hatenadiary.com

風吹ジュン/真野きりな/柏原収史/石橋蓮司/伊佐山ひろ子/平田満/香川照之/川島郭志/岸本祐二/すまけい/hal/真理明美/北見マキ/林千枝/松本修/青木和代/真実一路/本多晋/藤崎卓也/内藤忠司

 

スリ

スリ

  • 原田芳雄
Amazon

スリ | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「スパイ・ウルトラ」 2019

スパイ・ウルトラ(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 新しいゲームの発表会を行うためにニューメキシコに向かったはずがなぜかメキシコに到着してしまったゲームプログラマーの男は、現地で謎の集団に追い回されるようになる。メキシコ映画。原題は「Welcome to Acapulco」。

 

感想

 理由も分からず何者かに追われることになった主人公だが、何故だかのんきだ。何が起きているのか深く考えたり疑念を持ったりすることはなく、目の前に現れた人にそのままついて行ってしまうような、ただ流れに身を任せるだけのスタイルだ。単なる人違いで追われているだけだから、話せばきっとわかってくれるはず、という態度を終始貫いている。最初はそう考えてしまうのも仕方がないように思うが、相手が全然聞く耳を持たず、目の色を変えて迫って来るの見たら、普通は危機感を抱くはずだろう。

 

 それから彼は単なるプログラマーのはずなのに、なぜかアクション映画の主人公が持っていそうな能力をすべて持ち合わせているのも不思議だ。臨機応変に動じることなく対応し、壁をよじ登ったり高い所から飛び降りたりと運動能力も高く、さらには射撃の腕さえ持っている。しかも平気で敵を撃ち殺す。全然説得力がなくリアリティが感じられないのだが、彼はゲームプログラマーなので、ゲームのキャラクターになり切ってしまっているからということなのだろうか。

 

 それに彼を助けてくれるCIAの女性が自分に惚れていると、なんの根拠もなくなぜか思い込んでしまっている所にも、モテないオタクぽさがあるかもしれない。この映画は主人公が観客に語りかけるメタ的な演出が用いられているのだが、能天気でおめでたいこんな調子の主人公のたわ言を聞かされ続けるのは忍耐が必要で、イライラした。

 

 

 主人公は元CIAや政府などいくつかの集団から追われている。そのため登場人物は多く、それぞれの関係性も複雑で把握しにくい。それをその都度主人公が観客に説明してくれる親切設計なのは助かるのだが、その説明が微妙に知りたいポイントを外してくるので、逆にモヤモヤが募ってしまった。しかもその登場人物たちはほとんど見せ場がなく、何もしないうちに死んでいってしまう。こんな事ならわざわざたくさん登場させる意味はあるのか?と疑問に思ってしまった。

 

 CIAの女と敵の女との対決が妙にスローでもっさりしていたりするなどアクションシーンには迫力がなく、ストーリーも凡庸で、なんの盛り上がりもないまま、エンディングを迎えてしまった。クライマックスがどこだったのか全く不明だ。そして単なる主人公の妄想だと思っていたのに、当然のようにヒロインと結ばれたハッピーエンドには脱力してしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督    ギレルモ・イヴァン

 

出演 マイケル・キングスベイカー/アナ・セラディーリャ/マイケル・マドセン/ポール・ソルヴィノ/ウィリアム・ボールドウィン/ブラッドリー・グレッグ

 

スパイ・ウルトラ(字幕版)

スパイ・ウルトラ(字幕版)

  • アナ・セラディーリャ
Amazon

スパイ・ウルトラ - Wikipedia

スパイ・ウルトラ | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「チンピラ」 1996

チンピラ

★★★★☆

 

あらすじ

 ヤクザが運営する会社で働き始めた男は、先輩社員と仲良くなる。

 

感想

 主人公とその先輩の友情のようなものを描いた作品。終始主人公が何をやりたいのかがよく分からないのだが、描き方が悪いとかではなく、そもそも本人も何がやりたいのかが分かっていない、そういう性格の男という事なのだろう。だからこそ彼はヤクザにもならず、かといってカタギにもなれず、中途半端な「チンピラ」という立場にいる。

 

 主人公をそんな風にしてしまったのは、似たような立場にいたダンカン演じる先輩の男の影響が大きい。主人公を可愛がっていた男は、ヤクザなんていい時だけであとはろくでもない、だからなるもんじゃない、と諭す。それでも覚悟がある男ならそれを振り切ってヤクザの道を突き進むのだろうが、彼はそこで踏みとどまってしまう。そんな中途半端さがずっと二人の男に付きまとい、彼らは風見鶏のようにふらふらと流されていく。

 

 

  セリフも少なく、説明的なシーンも少なく、想像力を掻き立てられるような余白を残しつつ物語は進行していく。抗争シーンがあったりするわけでもなく、この手の映画らしくない映画ではあるが、抒情的で印象的なシーンもいくつかあって悪くない雰囲気だ。もうちょっと主人公と先輩との絆は伝わるように描いて欲しかったが。

 

 最後はカタルシスを得られる結末。だが主人公に最初からその覚悟があったなら、また違う物語になっていたのだろうなと少し切なくなってしまった。余韻に浸れる映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 青山真治

 

出演

bookcites.hatenadiary.com

ダンカン/片岡礼子/青山知可子/石橋凌/寺島進/光石研/斉藤陽一郎/諏訪太朗

 

音楽 鮎川誠

 

チンピラ

チンピラ

  • 大沢たかお
Amazon

チンピラ ~TWO PUNKS~ | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

関連する作品

同じ金子正次の遺稿を原作とした作品

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「クルックリン」 1994

クルックリン (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 ニューヨーク・ブルックリンで、両親と大勢の兄弟に囲まれて暮らす女の子。

 

感想

 ニューヨークの下町・ブルックリンが舞台。冒頭で子供たちが縄跳びやコマ回しをする様子は、昔の日本の子供たちの姿と大して変わらない。こんな光景は世界のどこでも見られたのだなと懐かしい気分になった。今や日本でこんな光景を見かけることはすっかりなくなってしまった。それに外で遊ぶ子供たちだけでなく、将棋などのゲームをする男たちやお喋りをする女たち、日向ぼっこをするお年寄りなど、特段大した理由もなく外で過ごしている大人たちも見なくなった。

 

 大家族の中で暮らす女の子が主人公だが、最初は大家族にありがちな、皆が好き勝手に動くわちゃわちゃとした状態が断片的に描かれていく。どこか雑然としたカオス状態が続くのだが、いつの間にか気付かないうちに主人公の話に焦点が絞られていて、この混沌からすっきりとした物語へとスムーズに移行していく演出は見事だった。

 

 

 中盤で主人公は、都会の騒々しい大家族の元を離れ、南部の田舎の裕福な親戚の家でしばらく暮らすことになる。そしてこの間だけ映像にゆがみが加えられ、すべてが横に細く縮んでみる演出が施される。猥雑ながらも伸び伸びと暮らしてた主人公にとって、穏やかで整然としたこの南部の暮らしは窮屈に感じるものだった、という事を表現しているのだと思うが、この歪んだ映像が結構な時間が続くので少し気持ち悪くなってしまった。あまりにも長く続くので、途中でこれは演出ではなく見ているソフトかハードに問題が生じたのでは、と不安になってしまった。当時アメリカで上映した時も、同じように疑う観客が多かったようで、「途中映像が乱れることがありますが、監督の意向による演出であって故障ではありません」と事前に注意を促していたそうだ。

 

 家族と離れた事により、彼らを愛しく思う気持ちに気付いた主人公。戻った後につらい出来事を体験したこともあり、短い間で大きく成長し、家族の一員としての自覚も芽生えた。まだ幼さが残る主人公が、小さな弟が遊びに出かけるのを見送った後、しばしブルックリンの街をしみじみと眺める姿に、じんわりと胸が熱くなった。映画の間ずっと流れ続けるクラシックなソウルミュージックの名曲たちも効果的で良かった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/出演 スパイク・リー

 

出演 アルフレ・ウッダード/デルロイ・リンドー/ゼルダ・ハリス/デヴィッド・パトリック・ケリー/ホセ・ズニーガ/イザイア・ワシントン/ヴォンディ・カーティス=ホール/マニー・ペレス

 

音楽    テレンス・ブランチャード

 

クルックリン (字幕版)

クルックリン (字幕版)

  • アルフレ・ウッダード
Amazon

クルックリン - Wikipedia

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「鯨と斗う男」 1957

鯨と斗う男

★★★☆☆

 

あらすじ

 有能だが傲慢な捕鯨船の船長と、そんな彼に反発する若き乗組員の男。

 

感想

 捕鯨船が題材になっていて、今同じような映画を撮ろうとすると色々とややこしい問題が起きるのだろうなと、なんだか少しドキドキしてしまう。だが当時は別に何のためらいもなく撮っていたのだろう。

 

 冒頭で、海上でクジラを獲る様子やその後の解体作業の様子などが詳しく映像で紹介されていく。これがなかなか迫力があり、興味深い。かつては映画が、今ではテレビや動画サイトがやっているような、こういう普通では見ることが出来ない光景を映像で紹介する役割を担っていた。

 

 それから捕鯨の様子だけでなく、舞台となっている仙台や松島あたりの絶景にも目を奪われてしまった。旅館はともかく、高倉健演じる主人公が住む下宿からの光景ですら絶景だ。昔はほとんど高い建物がなかったので割とどこからでも景色が良かったはずで、もしかしたらあまり絶景の価値が高くなかったのかも、と思ったりした。その他、(ちゃんとロケを行っているのであれば)昔の仙台の街の様子などが見られるのも面白い。昔の映画は単純に昔の光景が見られるので、それだけで楽しめたりする。

 

 物語は傍若無人で傲慢なベテラン船長と、血気盛んで正義感の強い若き主人公が対立する物語。主人公の兄はこのベテラン船長に殺されたようなものという噂があり、二人の間には因縁もある。さらにはその間を行き来する若い女の存在もあって、徐々に緊張感を高めながら物語が進んでいく。

 

 そして、その合間には謎のクジラ祭りがあったり、女同士の激しい取っ組み合いがあったりと飽きさせず、普通に娯楽映画として時間を忘れて楽しむことが出来た。メインのストーリーも、悪い奴にしか見えなかったベテラン船長だが、実はある理由から悪役に徹していただけ、という事が分かって大団円を迎える、ありがちではあるが悪くない展開だった。

 

 

 だが嫌われ役に徹していただけとは言いながら、船長がやっていた他の船の獲物を横取りするような身勝手な行為の数々に対しては、その言い訳は通用しないはずだ。最後はノーサイドみたいな感じになっていたが、それらまで全部水に流してしまうのはさすがにおかしいだろう。そこが引っかかって、もやもやした気持ちが残ったままになってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 津田不二夫

 

出演 

bookcites.hatenadiary.com

佐野周二/小宮光江/花沢徳衛/ディック・ミネ/坂本武/月丘千秋

 

鯨と斗う男

鯨と斗う男

  • 佐野周二
Amazon

【映画全編無料配信】鯨と斗う男 - YouTube

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「シャイニング」 1980

シャイニング (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 山中のホテルの冬季閉鎖期間中の管理人を引き受け、家族と共にやってきた男は、次第に心を病んでいく。

 

感想

 序盤のこれから何か不吉なことが起きそうな予感を高めていく演出が見事だ。子どもの不気味な振る舞いや、三輪車のタイヤの音やボールが弾む音など、どこか心を落ち着かない気分にさせる効果音など、映画のあちこちに不穏さが満ちていて、どんどんと不安な気持ちが高まっていく。

 

 中でも花柄の壁紙や幾何学模様のカーペットなどのちょっとうるさいインテリアが、妙に心をざわつかせた。情報量の多さが勝手に想像力をたくましくして、見えないものが見えてしまう幻覚のように、嫌な予感を増幅させるのかもしれない。おそらくこれは意図的にやっているはずで、惨劇が始まった後はシンプルなインテリアしか映し出されなくなった。

 

 誰もいない雪山の大きなホテルで、家族だけで暮らすことになった男が狂っていく物語。冬の間の数か月で徐々におかしくなっていくのかなと思っていたが、最初の1か月で直ぐにおかしくなってしまって案外と早かった。ただその過程をじっくり描こうとすると6時間くらいの映画になってしまいそうなので仕方がない。

 

 それから、様々な思わせぶりな描写がありながらも、実は男がどうして狂っってしまったのか、その原因ははっきりとは分からず、ボヤけたままだ。単純に個人の気質によるものから、過去に起きた事件の霊が引き起こしたものまで、様々な要因が考えられる。うまく整理されていないとも言えるが、いくらでも解釈の余地があるともいえる。その懐の深さがまた想像力を掻き立てて、映画を魅力的なものにしているのだろう。そう考えると、彼がひと月でおかしくなってしまうのも、何か意味があるように思えてくる。

 

 

 終盤は、正気を失ったかのようなジャック・ニコルソンの鬼気迫る演技に魅せられる。彼は本当に自分の活かし方をよく理解している。そして、その陰に隠れがちだが、彼に追われる息子と妻の二人も実は良い演技を見せている。これらが相乗効果となって映画はめちゃくちゃ盛り上がっていく。ラストの主人公の最期も最高だった。

 

 

 そして意味深な写真で終わるエンディング。主人公はその生まれ変わりなのか、似ているから過去の亡霊たちが勘違いして近づいてきてしまったのか、これもまた様々な解釈ができる演出だ。合理的でなかったり、現実的でないように思える出来事も多いが、超常的な事が起きても不思議でない空気が醸成されているので全然気にならず、それも含めて楽しめる映画だった。また、映画全体を通してこだわりが感じられる構図の映像が続くので、怖いだけでなく、どこか心地よさもあった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作

bookcites.hatenadiary.com

 

原作

bookcites.hatenadiary.com

 

出演

bookcites.hatenadiary.com

シェリー・デュヴァル/スキャットマン・クローザース/ダニー・ロイド/バリー・ネルソン/フィリップ・ストーン/ジョー・ターケル

 

音楽 バルトーク・ベーラ/クシシュトフ・ペンデレツキ/リゲティ・ジェルジュ/ウェンディ・カルロス/アル・ボウリー

 

撮影 ジョン・オルコット

 

シャイニング (字幕版)

シャイニング (字幕版)

  • ジャック・ニコルソン
Amazon

シャイニング (映画) - Wikipedia

 

 

関連する作品

続編

 

 

この作品が登場する作品

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「インターミッション」 2013

インターミッション [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 閉館間際の映画館にやってきた観客たちが幕間に繰り広げる群像劇。老舗映画館「銀座シネパトス」の閉館をきっかけに作られた映画。

 

感想

 上映されている映画の幕間ごとに、様々な登場人物たちがちょっとした物語を繰り広げる。それぞれの物語はショートショートの小話みたいなものが多い。その時上映された映画のタイトルが挙げられてから各物語が始まるのだが、そこで挙げられる映画がどれも知らない映画ばかり。おそらくその映画を見た事がある人は、その後始まる幕間の物語をより楽しめるようになっているのだろう。

 

 それから登場人物たちの平均年齢が高めなのが印象的な映画でもある。特にこれだけ年齢層が高めの女性達がメイン的扱いで出てくる映画は珍しいのではないだろうか。自分にとっては、名前は聞いたことがあるような気がしないでもないような、でも顔は分からない、という女優たちばかりだったが、いわゆる日本映画を支えてきた往年の名女優たちと言ったところなのだろうか。こちらも彼女たちの事を詳しく知っていればいるほどより楽しめそうだ。

 

 途中で月光仮面とウルトラマンの話が出てくるパートがあったが、そこで演じていたのはそれぞれにゆかりの役者だったようだ。

 

 各話の内容は震災や原発に触れるものが多く、震災直後に撮られた映画なのかと思っていたら、13年上映の少し時間が経った後の作品だった。だがまだこの時期はその余韻が色濃く残っていたかもしれない。またこの映画制作のきっかけとなった映画館の閉館も、震災が影響していたことも関係しているのだろう。ただ、まだこの頃は皆原発や震災について真剣に考え、熱い気持ちを持っていたのだなと驚いてしまうほどの熱量だった。あれから何も変わらずいつものようにグダグダなままだが、そんな熱も今やすっかり冷めきってしまった。考えて見ればコロナ禍が始まった時も皆が熱かったような気がするが、これまた同じようにすっかり冷めきってしまった。あれから大した進展もなく、ただ時が過ぎただけなのだが。

 

 

 あまり知識がなくても見られるようにはなっているとは思うが、話がマニアックすぎて正直ポカンとしている間に見終わってしまうような映画だ。だがこれくらいの方が、この名画座に足繁く通っていたような映画好きには喜ばれ、そして楽しんでもらえるのだろう。キレイに美しくまとめるのではなく、劇中で語っていたように「映画は何でもありだ」の精神を見せているところは共感できた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 樋口尚文

 

出演 秋吉久美子/染谷将太/香川京子/小山明子/佐伯日菜子/中川安奈/竹中直人/佐野史郎/門脇麦/奥野瑛太/玄里/夏樹陽子/畑中葉子/大島葉子/中丸シオン/森下悠里/森下くるみ/古谷敏/大野しげひさ/中丸新将/利重剛/岡山天音/樋口真嗣

 

音楽    菅野祐悟

 

インターミッション (2013年の映画) - Wikipedia

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「SEXエド チェリー先生の白熱性教育」 2015

SEXエド チェリー先生の白熱性教育 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 臨時教師として採用された主人公は、子供たちに性教育の授業を行うことにする。原題は「Sex Ed」。

 

感想

 女性経験のない男性が、性教育の授業を担当することになってしまって大慌て、みたいなコメディかと思っていたら全然違った。むしろ主人公は、性の知識がほぼない子供たちを危惧し、積極的に性教育をしていこうとする側だ。演じるのは「シック・センス」で有名な元子役で、今やすっかり大人となったハーレイ・ジョエル・オスメント。童顔なのに小太りなおじさん体形で、この役にぴったりだ。演技も相変わらず普通にうまい。

シックス・センス (字幕版)

シックス・センス (字幕版)

  • ブルース・ウィリス
Amazon

 

 邦題通り、性教育の授業は確かに白熱している。子どもたちが無邪気に率直な疑問をぶつけ、主人公が真摯に答えていく。こういう授業は照れや気まずさから妙に堅苦しくなったり、逆に下品になったりしてしまいそうなものだが、ちゃんと授業で使う言葉や扱う範囲を規定して、一定の基準を保っている。この授業風景を見ていると、アメリカは日本がまだ超えていない壁をいくつも越えてきたのだろうなと、彼我の差に呆然としてしまう。

 

 日本だとまだ、大人が急に秘め事を大っぴらに語りだした、と皆で顔を合わせてニヤニヤしたり下を向いたりしてしまうレベルだろう。タブー視することなく、大人も子供もそれを語ることができない。そして、そんな日本のはるか先を行くアメリカでも、まだ超えなければいけない壁は幾つもある。

 

 

 この取り組みに反対する理由として、そんな教育をしなくても人類は子孫を残し続けて今までやって来たのだから必要がない、というのがあって、種を残すという意味では確かにその通りではある。だが子孫は残せたかもしれないが、ちゃんとした知識がなかったせいで思うような人生を送れなかった人は山ほどいるだろう。ただ子孫を残すためではなく、より良い人生を送るためにそういう知識は必要だ。主人公の友人で性に奔放に見えたカップルが、生徒たちとの対話では彼らのために真摯に答えていたのが印象的だった。流されて望まない人生を送らないためにも、しっかりと自分を持っていないといけない。

 

 ところでその授業シーンで、教材の一部にモザイクをかけていたのが気になった。オリジナルからなのか、日本版だけなのか分からないが、この学術的なシーンでモザイクいるか?と思ってしまった。とはいえ、モザイクがなかったら直視できなかったとは思うが。昨今は表現の自由に敏感な人が多いらしいので、モザイク撤廃についてもついでに議論してほしいところだ。もはやネットでいくらでも見られるのだからモザイクなんて意味がない。ただモザイクに興奮する変な性癖の人間を量産するだけになっている。

 

 物語は最初学校の話が中心だったのに、途中から急に主人公の恋愛話に移行してしまって戸惑ったが、最後はちゃんと学校の話に戻ってきた。主人公と神父の対立があっさりと解消してしまった印象はあるが、悪くないストーリーだった。それから未経験の男が主人公という事で、安易な終わり方を予想してしまったが、そうしなかった事にも好感が持てた。コメディ映画でそれなりには面白いが、それよりも感心してしまう方が大きい映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 アイザック・フェダー

 

出演 ハーレイ・ジョエル・オスメント/ロレンツァ・イッツォ

 

SEXエド チェリー先生の白熱性教育 (字幕版)

SEXエド チェリー先生の白熱性教育 (字幕版)

  • ハーレイ・ジョエル・オスメント
Amazon

SEXエド チェリー先生の白熱性教育 - Wikipedia

SEXエド チェリー先生の白熱性教育 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「ガンマー第3号 宇宙大作戦」 1968

ガンマー第3号 宇宙大作戦(吹替版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 遊星の地球衝突を回避する作戦を実行するために、宇宙ステーション「ガンマー第3号」に向かった主人公。

 

感想

 遊星爆破のためにまずは宇宙ステーションに向かった主人公。50年以上前の作品なので、宇宙の映像は今と比べたら全然ショボいのだが、手作り感のある特撮映像は味があってなんかいい。宇宙ステーションや宇宙船の丸みのある造形も、なんとも言えず可愛らしい。道具でも何でも最初はボテっとしたしたデザインで、そこから少しずつ洗練してシュッとした形となっていくものだが、この初期のナチュラルなデザインというものは、何でも自分で作っていた人間に眠る原始の記憶を刺激して、案外いつの時代でも人の心の琴線に触れるものなのかもしれない。

 

 宇宙ステーションから遊星に向かった一行は、意外とあっさりとミッションを完遂させてしまう。まだ時間もたくさん残っているしこの後どうなるのだ?と思っていたら、ここからが本番で、遊星から連れ帰ってしまった謎の生命体との戦いが始まる。この生命体の造形もまた、宇宙人というよりは怪人風で、いかにも中に人が入っていますというちゃちな姿をしているのだが、どこかゆるキャラ風でもあって愛らしさがある。

 

 生命体との戦いは、今だと時代を感じてしまって、プロットも映像も大したことがないのだが、外にうようよいる生命体たちの様子や、宇宙を遊泳するというよりも飛んでいる乗組員たちの姿、そして落下する宇宙ステーションなど、時々ハッとするような美しい映像があって悪くない。最後は何度も衝突を繰り返していた乗組員との胸アツの展開があったりして、それなりに楽しめた。

 

 

 当時の観客はおそらくこの映画をドキドキしながら見ていたのだろうが、当時とはまた違った味わい方のある、なんだか憎めない映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 深作欣二/田口勝彦

 

出演 ロバート・ホートン/リチャード・ジャッケル/ルチアナ・パルッツィ/エンバー・アルテンバイ/リンダ・ハウゼスティ 

 

音楽    津島利章

 

ガンマー第3号 宇宙大作戦 - Wikipedia

【映画全編無料配信】ガンマー第3号 宇宙大作戦 - YouTube

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「ジョナサン ふたつの顔の男」 2018

ジョナサン ふたつの顔の男(日本語字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 もう一つの人格と一つの体を共有しながら問題なく過ごしていた男は、あることがきっかけとなり、歯車が狂い出す。

 

感想

 多重人格の男の話で、最初に設定をすべて説明してしまうのではなく、途中まではそれを曖昧にしたまま物語が進んでいく。なんとなく二つの人格があるようだという事は分かるのだが、具体的にはどうなっているのかはよく分からず、おかげで色々考えながら注意深く見ることになる。この観客の興味を惹きつけ続ける構成は見事だ。

 

 主人公はもう一つの人格であるジョンと一つの体を12時間ずつ交代で使っている。主人公は朝7時から夜7時まで、ジョンはその残りの時間という割り当てだ。映画の中でも触れられているが、なかなか太陽が見られない夜の部担当のジョンは辛いかもしれない。自分もどちらかを選べと言われれば迷うがそれでも日中の時間帯を選ぶような気がする。ジョンが途中で心を病んでしまうのはそのせいもあったのだろう。それぞれが4時間ほどのパートの仕事をしながら、それぞれの人生を生きているというのも面白い。終始徹底して主人公の視点だけで描かれ、ジョンはビデオレターで登場するのみなので、見ているこちらも多重人格者の気持ちを追体験できる。

 

 

 ただそんな一つの体を上手く使い分けていた生活も、二人で取り決めていたルールを破り、ジョンが恋人を作ったことが発覚してからおかしくなり始める。確かに12時間以上も一緒にいることがある恋人を作ってしまうと厄介なことになりそうだ。事情を話せば気味悪がられるだろうし。それを咎められたジョンは怒り、二人の仲は険悪なものとなってしまう。だがジョンが自棄になって喧嘩をしたりドラッグをやれば、同じ体を持つ主人公自身も被害を受ける。ましてや自殺などされてしまえば主人公も一緒に死んでしまうわけで、当たり前だがそれでも二人は共存していくしかない。

 

 だが実はもう一つ解決法がある。それはどちらか一つの人格を消し去ってしまう事だ。よくよく考えればこれが普通の解決策だろう。詳しくは知らないが実際の多重人格者の治療も、元の人格以外の人格を消し去ってしまうのが一般的なのではないだろうか。逆に彼らのように上手く共存しようとしていることの方が異常かもしれない。ただ彼らの場合は生まれた時から多重人格だったようなので、どちらが元の人格なのか判断が難しいのだろう。

 

 狂い出した共存生活は、やがて二つの人格のせめぎあいに発展していく。そして迎えたラスト。ドラマティックではあるが割と普通の展開だなと思ってしまった。でも自然とそうなってしまったわけではなく、博士によって人為的に一つの人格を消し去られてしまったという見方も出来るのか。主人公はジョンの恋人を取ってしまったりと、元々もう一つの人格を利用しているというか、乗っかっているような部分があったので、この結末は必然だったのかもしれない。

 

 それに完全に消え去ってしまったわけではなく、ジョンの一部となって今も残っているようにも感じられた。今までビデオレターの中でしか見られなかったジョンがラストで遂に観客の前に姿を現したことが、それを示しているようにも思える。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ビル・オリヴァー

 

出演 アンセル・エルゴート/パトリシア・クラークソン/スキ・ウォーターハウス/マット・ボマー

 

ジョナサン -ふたつの顔の男- - Wikipedia

ジョナサン 二つの顔を持つ男 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com

「エロチックな関係」 1978

エロチックな関係

★★★☆☆

 

あらすじ

 ある会社社長から愛人の素行調査を依頼された探偵は、いつしかその女と関係を持つようになり、事件に巻き込まれていく。

 

感想

 冒頭の探偵の主人公と秘書の女の会話シーンでの、加山麗子演じる秘書の食べながら喋る姿が汚くて引いてしまった。普通は話し終えてから食べ物を口に運ぶものなのに、なぜか喋る直前にわざわざ食べ物を放り込む。会話のタイミングによってはそうなってしまう事があるかもしれないが、話の主導権があるのにわざわざそんな食べ方をするのが不自然だった。マナーよりも欲望を優先する女だという暗示だったのかもしれないが、こんなに不快感を覚えるシーンは稀だ。

 

 主人公はヒロインを尾行しているうちにいつの間にか関係を持つようになる。そして彼女が苦境にあることを知り、助け出そうとする。しかしそのためには大金が必要だと主人公が必死に恐喝しているのに、その横でパニックになったヒロインが毎回相手を殺してしまうという繰り返しには苦笑してしまった。いやいや、殺してしまったらお金が手に入らないだろうと。学べよと。

 

 

 ただヒロインの暴走があまりにも続くと、さすがに何か裏がありそうだなとは気づく。だけど主人公は気づかない。やさぐれているように見えて案外と主人公は純情だ。その点、冒頭で食べ方が汚かった秘書の女は頼もしかった。まだヒロインを信じたくてナヨナヨする主人公を横目に、荒々しい言葉遣いで女を問い詰めながらボコボコにする。彼女の方が断然男らしく、そして主人公よりも主人公ぽかった。

 

 ラストは純情な主人公のために美しく哀しい結末が用意されていたが、騙していたくせに本当に愛していたの、とか言うのは卑怯だよなと思ってしまった。悪人は悪人らしくしていて欲しかったが、でも主人公がそれで少し幸せになるのならそれはそれでいいのかもしれない。しかし、一連の事件は一応犯人の理に適っているとは思うのだが、なんか回りくどいことをやっていたような気がしないでもない。もっとスマートなやり方があったのではと考えてしまった。

 

 それから終盤ちょっとだけあった残虐描写が見ているだけで痛く、短い時間だったがかなりのインパクトがあった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 長谷部安春

 

原作 春の自殺者 (Hayakawa pocket mystery books)

 

出演 内田裕也/加山麗子/牧ひとみ/田中浩/花上晃/西村昭五郎/井上博一/江角英明/梓ようこ/岡尚美/恵千比絽/日野繭子/田島はるか/八代康二/雪丘恵介/小泉郁之助/伊豆見英輔/富田雅美/森みどり/南條マキ/中平哲仟/大平忠行/佐藤了一/賀川修嗣/ジョー・山中/安岡力也/田畑善彦  

 

エロチックな関係(R15+) | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

関連する作品

リメイク作品

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com