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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「戦狼 ウルフ・オブ・ウォー」 2017

戦狼 ウルフ・オブ・ウォー(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 恋人を殺した犯人を見つけるためにアフリカで暮らす男は、現地の内戦に巻き込まれてしまう。 

 

感想

 冒頭、アフリカの海賊に襲われた商船から一人の中国人が飛び出して、窮地を救うのだが、いきなりすぎて誰?みたいな状態になってしまった。あとで知ったのだが、これは続編ということなので、みなさんご存じ、あの主人公が現れた、みたいな演出は別に間違ってなかった。

 

 個人的に何でもかんでもセリフで説明しようとする喋り過ぎの映画は好きではないのだが、その意味ではこの映画は合格点を与えられる。ただその代わり、それを補おうとしてか、なんでもかんでも音楽で説明しようとし過ぎている。情感たっぷりに音楽が喜怒哀楽を表現していてうるさかった。嫌い。

 

 

 そして、それと同じくらい気になったのが政治臭。中国政府の意向が端々に感じられて気持ち悪かった。アフリカの内戦に関わり合いたくないとアメリカはじめ各国の艦隊が去ったとしても、中国軍はアフリカの人を見捨てませんよとか、国際法も守るし、人道的に正しい事をしますとか、まずそれ国内のチベットとかウイグルでやってから言えよ、とか思ってしまった。

 

 それから国として、アフリカでの影響力を強めたいという意向が強く感じられる。現地の子供を息子、娘と呼んだり、中国人とアフリカ人のカップルを多数登場させたり、我々は友人同士だアピール。実際にそういう事があるのかもしれないが、強調しすぎ。まずそれ国内のチベットとかウイグルで...と再度、というか何度も思ってしまった。

 

 肝心の物語は、そういった音楽のうるささや政治臭を抜きにすれば、平均的で悪くない内容。ただ圧倒的に強い主人公のアクションは一本調子。怒りで強さが増すとかそういった要素はないので、盛り上がりに欠ける。その中では、戦車での戦いのシーンは迫力があって良かった。

 

 最後は中国国旗が誇らしげにはためいてげんなり。中国国内でヒットしたのは分かるが、アジア歴代興行収入一位を獲得したというのはちょっと首を傾げたくなる。アジアの人間はこんな偽りの中国に熱狂できたのかと思ってしまうが、現地の中国系の人たちがこぞって観たという事なのかもしれない。

 

 ラストに「中国国民は海外で窮地に陥ってもあきらめないでください。あなたたちには強大な祖国がついています」みたいなメッセージ。海外で何かあったら自己責任、とか言ってしまう国とは大違いだな、と考え込まされる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ウー・ジン

 

出演 ウー・ジン/フランク・グリロ/セリーナ・ジェイド/オレッグ・プルディウス


音楽 ジョセフ・トラパニーズ

 

戦狼 ウルフ・オブ・ウォー(字幕版)

戦狼 ウルフ・オブ・ウォー(字幕版)

  • 発売日: 2019/07/01
  • メディア: Prime Video
 

戦狼 ウルフ・オブ・ウォー - Wikipedia

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関連する作品

前作 

  

 

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「ランボー 最後の戦場」 2008

ランボー 最後の戦場 (吹替版)

★★★★☆

 

あらすじ

 ミャンマーに案内した支援団体が現地で行方不明になり、救出のために傭兵と共に現地に赴くランボー。

 

感想

 ミャンマーに近いタイ北部でヘビ狩りなどをして暮らすランボー。そこにミャンマーで迫害を受ける少数民族を助けるための支援団体がやって来て、彼に現地への案内を依頼する。しかし相手にしないランボー。武器も持たずにきれい事ばかり言ってても仕方がないといったところか。

 

 しかし、団体の中の一人の女性の熱意に押され、結局は彼らを現地に連れていくことになる。この辺りはちょっとあっさりしてるなと思った。女性の言葉にもっと説得力があればよかったのだが、特に心に響くものはなかった。

 

 

 現地へのボートでの移動中にも危険な出来事に遭遇するのだが、支援団体一行はそれでも引き返そうとしない。彼らの行動は確かに理想主義的過ぎるのかもしれないが、ただそれを口にするだけでなく、実際に行動に移しているところはやはりすごい事だ。彼らの信念で実際に救われる人たちはたくさんいるわけで、全然笑うことなど出来ない。

 

 その後現地で消息を絶ってしまった彼らを救うために、送り込まれた傭兵らと共に現地に向かうランボー。彼らはランボーをただのボート乗りとしてしか見ていないのに、彼自身は到着後、全然皆と一緒に現地に向かって戦う気満々だったのが面白かった。ランボー可愛い。

 

 そしてここからは息つく暇もないほどの怒涛の展開。支援団体のメンバーを救出するも敵に見つかり追われることに。さらには激しい銃撃戦になる。顔や体の一部が吹き飛ぶ激しい描写が延々と続く。ただこれは過激な描写をしているというよりも、戦争の現実をそのまま映しただけと言えるかもしれない。それこそきれい事なしにそのまま撮ったというような。

 

 最後は勿論ランボーの活躍もあって敵を打ち負かすのだが、スカッとするというよりも、もうただ圧倒されるというのが正直な感想だ。一つの物語というよりも一つの軍事衝突を描いただけのようにみえなくもないが、それでいて様々なメッセージが感じられるようになっていて、よく出来ている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/出演 シルヴェスター・スタローン

製作総指揮 ランドール・エメット/ジョージ・ファーラ/アンドレアス・ティースマイヤー/フロリアン・レクナー/ダニー・ディムボート/ボアズ・デヴィッドソン/トレヴァー・ショート


出演 ジュリー・ベンツ/マシュー・マースデン/グレアム・マクタヴィッシュ/ティム・カン/ポール・シュルツ/スパコン・ギッスワーン/ケン・ハワード/リチャード・クレンナ
 

ランボー 最後の戦場 (字幕版)

ランボー 最後の戦場 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

ランボー/最後の戦場 - Wikipedia

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関連する作品

前作

ランボー3 (字幕版)

ランボー3 (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

 

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「高台家の人々」 2016

高台家の人々

★★★☆☆

 

あらすじ

 妄想癖を持つ女と心を読める能力を持つ名家の男の恋物語。

 

感想

 序盤は綾瀬はるか演じる主人公の妄想が次々と映像化されていく。最初は綾瀬はるか得意のコメディアンヌぶりに普通に見ることが出来ていたのだが、何度も繰り返されるうちに段々つらくなってきた。この調子で最後までやられると、観客がどれだけ綾瀬はるかを好きか試される展開になってくるなとしんどさを感じてしまったが、中盤以降はなりを潜めたので安心した。

 

 妄想するのが好きで恋愛は苦手と言っていた女性が、名家の男に声をかけられて、デートしたりすること自体にはわちゃわちゃせず、普通に付き合えてしまっているのがちょっと首を傾げてしまうが、まあそこは綾瀬はるかなので、ということなのだろう。苦手とは言ったが恋愛してないとは言ってない、みたいなごはん論法か。

 

 

 人知れず妄想を楽しんでいた女性が、心を読める男性と付き合ったことで起きるドタバタコメディ。なのに、そこに普通に家柄の違いを理由にした両親の結婚反対のエピソードが入って来て、なんだか話がぶれるなと一瞬思ってしまったのだが、どちらかというと、家柄の違いによる両親の反対という良くある話に、妄想とテレパスの要素を加えたといった方が正しいのかもしれない。

 

 中盤は、主人公の綾瀬はるかが一旦引っ込んで、テレパス能力を持った高台家の三兄弟の話がメインになる。あれ?と思わないではないが、確かに心が読めてしまう苦悩というのもあるはずなので、そちら側も描いておくというのも大事か。その間の、主人公が心を読まれないように無にしている、という表現も良かった。

 

 全体的に少し長く感じる部分はあったが、うまくまとまって悪くない出来の映画。ただ主人公の同僚役の堀内敬子はミスキャスト感があった。引き立て役ではあるのだが、あからさまに引き立て役過ぎるというか。

 

スタッフ/キャスト

監督 土方政人

 

脚本 金子ありさ

 

原作 高台家の人々 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)


出演

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斎藤工/水原希子/間宮祥太朗/坂口健太郎/大野拓朗/塚地武雅/堀内敬子/夏帆/シャーロット・ケイト・フォックス/大地真央/市村正親

 

音楽 菅野祐悟
 

高台家の人々

高台家の人々

  • 発売日: 2016/12/21
  • メディア: Prime Video
 

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「ウインド・リバー」 2017

ウインド・リバー(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

  インディアン居住区で女性の遺体を発見した男は、駆け付けたFBI捜査官の女性に協力を要請される。

 

感想

 序盤の、遺体発見の報に駆け付けたFBIの女性捜査官の場違い感がコミカルで面白かったのだが、あれは後から考えると、インディアン居留地という特殊な場所がいかに世間に無視されているかを表してもいたことに気づいた。

 

 彼女の空気を読めない感はしばらく続くが、FBIは犯人の事ばかり考えて被害者の感情を無視しがちというのは良くある話ではある。そんな中で、ネイティブアメリカンの被害者の父親が何を考えているか分からないように一瞬描いておいて、その後に娘を殺されて悲しくない親なんていない、という描写をするのは巧みだった。見ているこちらも捜査官側に立っていて、彼らを理解できない別の世界の人間と突き放そうとしていたことに気付かせてくれる。

 

 

 ただ、捜査官と主人公の犯人探しの行方は意外とシンプルだった。雪の中に残されたスノーモービルの跡を辿ればいいだけという呆気なさ。もしかしたら、それぐらいの事で分かるのにちゃんと捜査しようとすらしない警察機構に対する批判がこめられているのかもしれないが、この程度であれば、主人公は過去の自身に関わる事件も一人で解決できたのでは?と思ってしまった。事件の捜査の主導権もほとんど主人公が握っている。

 

 そして迎えたクライマックスの、犯人グループとの銃撃戦はかなりの迫力で見ごたえがあった。突発的に始まるのも良い。ただ、あの状況で撃ち合いを始めるのは、どう考えてもクレイジーすぎる。どうシミュレーションしても無傷ですむなんて絶対無理なのに。

 

 それでも、その前にちょっとした前振りを用意して、そんなことをするなんてあり得ない、と拒絶したくなるほどにはさせないのは見事。ラストもしっかりと伏線が効いていて、被害者と犯人の違いを際立たせている。単なる殺人事件ではなく、インディアン居留地の闇を描いた物語。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 テイラー・シェリダン

 

製作 ベイジル・イヴァニク/ピーター・バーグ/マシュー・ジョージ/ウェイン・L・ロジャーズ/エリザベス・A・ベル


出演 ジェレミー・レナー/エリザベス・オルセン/グラハム・グリーン/ケルシー・アスビル/ギル・バーミンガム/ジョン・バーンサル


音楽 ニック・ケイヴ/ウォーレン・エリス

 

ウインド・リバー(字幕版)

ウインド・リバー(字幕版)

  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: Prime Video
 

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「億万長者」 1954

億万長者 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

  人畜無害の税務署署員が、人が良すぎる上に不正をしてしまうが、開き直って世の悪事を暴こうとする。

 

感想

 冒頭は「日本新名所」として、戦後日本で見られるようになった光景を、小ネタを挟んで紹介していく。このまま最後までこんな調子かと少し不安になったが、そんな事はなく本編が始まり安心した。そして、この冒頭の短いシーンのつなぎ合わせが、本編の伏線になっていて上手い構成だ。

 

 しかし、取り扱っているテーマが政治の腐敗や貧困、人口増、原爆とかなり社会派。それをかなりきつめの笑いを取り入れて描いていてちょっと感心してしまった。今でも、なのか、今また、なのか分からないが、政治の腐敗や収賄、官民の癒着があるわけだから、こんな世相を斬るような強烈な作品が出てきてもおかしくはないはずなのだが、今はそういう環境が整っていないというのだったら劣化しているということなのだろう。

 

 

 登場人物たちは皆強烈だが、なかでも貧乏子だくさん一家の2階の下宿で、一人で原爆を製造する女がインパクトがあった。しかも、家族全員を広島の原爆で失った彼女の言い分が、平和を維持するために原爆をつくる、だからなかなか。今でもそういうことを言っている人は多いが。

 

 笑いを散りばめながらも、最後はうまくまとめていい話になるのかと思ったら、最後まで滅茶苦茶だったのが好感を持てる。なんなら終盤が一番暗くて酷い。貧乏過ぎて死ぬことも出来ないなんて、もはや皮肉過ぎて笑えないのだが、でもそれがグッとくる。

 

 終盤のマグロを食べたら死ぬ、のくだりが良く分からなくて、昔はマグロをあまり食べなかったと聞いたことがあるので、それに関連してそんな言い伝えがあるのかな、と思ったら、「原爆マグロ」というものがあったらしい。これも時事ネタだった。

築地市場に埋められた「原爆マグロ」を知っていますか?(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 市川崑

 

出演 木村功/久我美子/山田五十鈴


音楽 團伊玖磨
 

億万長者 [DVD]

億万長者 [DVD]

  • 発売日: 2001/04/25
  • メディア: DVD
 

億万長者 (映画) - Wikipedia

 

 

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「悲しみよこんにちは」 1958

悲しみよこんにちは (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 少女が父親とその恋人と共に過ごす避暑地に、死んだ母親の親友だった女性がやって来る。

 

感想

  主人公のセシールを演じるジーン・セバーグがなんと言っても魅力的。物憂げな現在を表した白黒映像でも、輝いていた昨年の夏を表すカラー映像でも、ショートカットでファッショナブルな彼女の姿が映える。とりあえず彼女を見ているだけで全然もつ。

Jean Seberg

Jean Seberg

  • 作者:Collectifs
  • 発売日: 2014/05/05
  • メディア: ペーパーバック
 

 

 そして、恋人を盗られる若い女、新しい母親として責任を感じる女性、そしてその間を飄々とした態度で切り抜ける男、と難しい役どころの他のキャスト達も、なかなかの演技。特に男に捨てられる若い女役のミレーヌ・ドモンジョの天真爛漫さが、意外と良かった。

 

 原作を読んだ後に見たこの映画は、ちょっと説明が足りない薄味になっているかなと思ったが、よく考えるとそれを役者陣の演技で補っているのかもしれない。彼らの視線や表情が心の動きを良く表していた。女中が頻繁に入れ替わったり、そのうちの一人が仕事中に皆の前で何度も横を向いて水を飲む仕草などは、物語の行く末を暗示しているようで、細かい部分までよく考えられている。これに主人公の魅力も計算していたとしたら、本当によく出来た映画だ。

 

 

 主人公のショートカットが「セシルカット」として流行した映画として知られるが、個人的には浅香唯が「映画で見たセシルのように…」と歌っていたのは彼女の事か、という意味で感慨深い。

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スタッフ/キャスト

監督 オットー・プレミンジャー


原作 

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出演 デボラ・カー/デヴィッド・ニーヴン/ジーン・セバーグ/ミレーヌ・ドモンジョ/ジェフリー・ホーン/ジュリエット・グレコ
 

悲しみよこんにちは (字幕版)

悲しみよこんにちは (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

悲しみよこんにちは (映画) - Wikipedia

 

 

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「二流小説家 シリアリスト」 2013

二流小説家 シリアリスト

★☆☆☆☆

 

あらすじ

 世を騒がした猟奇殺人事件の犯人である死刑囚に、告白本を書いて欲しいと依頼された売れない作家。

 

感想

 売れない作家が死刑囚に呼び出され、告白本を書かないか、と持ち掛けられて物語は始まる。なのだが、正直、何に関心を持ってこの映画を見続ければいいのか、全く良く分からなかった。事件の真相なのか、告白本の行方なのか。事件については犯人は捕まっているわけだし、無罪を訴えているわけでもない。告白本もどうなろうが知ったこっちゃない。どこにも引っかかるところがない。

 

 そして、クレイジーキャラの死刑囚とか、いい歳の主人公を叱咤激励するしっかり者の女子高生とか、どこかで見た事のあるようなキャラクター達を、鮮度ゼロのキャスト達でやっている。赤を強調した映像とか、手がかりの気づき方とかの演出もありきたりすぎる。「良いニュースと悪いニュースがある」とか邦画で言うのかよ、と思っていたら、「じゃあ、良いニュースからお願いします」とか普通に答えているし。寒すぎる。見る意欲をどんどんと奪っていくスタイル。

 

 

 というわけで、ほとんど白々とした気分でただ眺めていた。もう何が起きても知らないおじさんの身の上話を聞いてる時くらい興味がなかった。物語もキャストも演出もすべて駄目というのは逆にすごい。原作は「このミステリーがすごい」第一位になったらしいが、本当に?と疑いたくなるレベル。

 

 ただ冷静に考えると、面白くなる要素は多分たくさんあるのだろうなと思う。主人公を魅力的に描くとか、事件をもっと興味深く描くとか。この映画はそれらがすべて駄目。どこかで見た事のあるシーンの連続だった。劇中で、たくさん本を読むだけじゃなくて、それを取り込んで自分のものにしろ、みたいなセリフがあったが、その言葉をそっくりそのままこの映画の制作者に贈りたい。

 

 本当に何をしたい映画なのかさっぱりわからなかったが、もしかしたら「砂の器」的な事をしたかったのかな、とちょっとだけ思った。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 猪崎宣昭

 

脚本 尾西兼一/伊藤洋子/三島有紀子


原作 二流小説家


出演 上川隆也/武田真治/片瀬那奈/平山あや/小池里奈/黒谷友香/賀来千香子/でんでん/長嶋一茂/戸田恵子/中村嘉葎雄/佐々木すみ江/本田博太郎/伊武雅刀/高橋惠子

 

音楽 川井憲次

 

二流小説家 シリアリスト

二流小説家 シリアリスト

  • 発売日: 2014/04/07
  • メディア: Prime Video
 

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「カサンドラ・クロス」 1976

カサンドラ・クロス (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 危険な細菌に感染したテロリストが逃げ込んだ大陸横断列車。高名な医師を中心として乗客たちは対処にあたる。

 

感想

 列車内という密室で広がる謎の病気、というパンデミック物っぽい始まりだが、意外とそれは取っ掛かりにすぎない。離婚と結婚を繰り返す主人公の医師とソフィア・ローレン演じる女のカップルのちょっとした男女の関係や、怪しげな行動を見せる乗客のミステリー等、車内の人間模様を描く群像劇のようでもある。

 

 しかし、それらの描き方が時代を感じる情感たっぷりな演出。皆がまさに「演じている」といった感じで、少し大げさな印象を受ける。往年の名画のような雰囲気を湛えていて、パニック映画とは思えない冗長さがあり、若干だるくかんじてしまう。ただ、今のアクション映画と比較して、なぜのんびりしているようにみえるのか考えながら見ると、映画の進化を感じられて興味深いかもしれない。

 

 

 話の取っ掛かりとなった謎の細菌だが、この手の事に敏感になっている現在、いろいろと気になってしまう。予期していなかった事なのでしょうがないが、感染者と無防備で接しすぎだ。せめて口をハンカチで覆うとかしろよとか、もっと距離を取れよとか一言言いたくなってしまった。ただこうやって見ず知らずの人同士が乗り合わす列車内で、こんなに互いに言葉を交わしたり、握手をしたりと接触していれば、そりゃ感染は広がりやすいわな、とは思った。

 

 意外とあっさりと感染問題は解決に向かい、焦点は対策のために列車がルート変更した先にある橋「カサンドラ・クロス」に移る。老朽化で橋が崩落する危険があるため列車を止めるべきという乗客たちと、感染者を外に出したくない対策班との対立。物語の最初から考えると、なんだか話の流れがブレブレのような印象を受けてしまった。

 

 そしてクライマックス。情感たっぷりに描いていたくせに、なかなかの悲惨な描写。今なら悲惨に見えるように撮り方を工夫するが、昔は単純に悲惨な出来事をエスカレートさせるだけだ。人も結構簡単に死んでしまう。昔の方が残酷さに対する人々の許容度が高かったのかもしれない。まだ戦争を体験した人が多いせいもあるだろう。

 

 話もブレブレで登場人物の描写も中途半端だったが、ソフィア・ローレンやO.Jシンプソンなど色々な人が出ていてるのは面白い。特に息子のチャーリー・シーンにそっくりな若いマーティン・シーンは、他の若い役者とは別格の存在感だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 ジョルジュ・パン・コスマトス

 

脚本 トム・マンキーウィッツ/ロバート・カッツ

出演 ソフィア・ローレン/リチャード・ハリス/バート・ランカスター/イングリッド・チューリン/エヴァ・ガードナー/ジョン・フィリップ・ロー/マーティン・シーン/リー・ストラスバーグ/ライオネル・スタンダー/O・J・シンプソン/レイモンド・ラブロック/アリダ・ヴァリ

 

音楽 ジェリー・ゴールドスミス

 

カサンドラ・クロス (字幕版)

カサンドラ・クロス (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

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「こおろぎ」 2006

こおろぎ

★★★☆☆

 

あらすじ

 盲目で口の利けない老人と暮らす若い女。一部の映画祭のみで上映された劇場未公開作。

 

感想

 若い女と盲目の老人の奇妙な関係。そして、そこに若い男が現れて、という話。ただ分かりやすい男女の物語ではなく、抽象的な内容となっている。

 

 良く分からなかったというのが正直なところだが、冒頭に隠れキリシタンの話が語られることからも、信仰だとか信じることだとか、そういった大きなものを描こうとしているのだろう。

 

 

 助けがないと生きていけない山崎努演じる盲目の老人に献身的に仕える鈴木京香演じる女。しかし女の心にやがて邪心が生まれてしまう。それを象徴するのが安藤政信演じる男の存在だろう。宣教師をかくまっていた隠れキリシタンたちが、処罰を恐れて彼らを見捨ててしまったのとも重なる。それでも神は人々を見捨てて去ることはないように、老人もそうだということか。無理やり解釈するとこんな感じ。

 

 二人の間に割って入る若い男は、安藤政信だから成立していると言っても過言ではない。ただ無言で近づいてきただけでも何か吸い込まれてしまいそうな力を持っている。説得力のある存在感だ。

 

 そして、主演の鈴木京香がこの映画では異様にいい女に見えた。今から14年前だから当然若いというのもあるが、ショートカットだからというのもあるかもしれない。こんないい女だったっけと思ってしまうほど。この映画は彼女のいい女っぷりと山崎努の狂気じみた演技を楽しむ映画なのかもしれない。

 

 タイトルの「こおろぎ」が、どこから来ているのかが気になった。隠れキリシタンの隠語かとも思ったが、そうでもないようだ。

 

スタッフ/キャスト

監督 青山真治

 

脚本 岩松了

 

出演 鈴木京香/山崎努/安藤政信/伊藤歩

 

こおろぎ

こおろぎ

  • 発売日: 2020/04/08
  • メディア: Prime Video
 

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「ディファイアンス」 2008

ディファイアンス プレミアム・エディション [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

  第2次世界大戦のナチス・ドイツ占領下のポーランド。迫害から逃れたユダヤ人の兄弟は、同胞を受け入れながら森の中で隠れ住むようになる。実話を基にした物語。

 

感想

 ある日突然、親兄弟を殺されたりするとか、辛すぎる。そして自分も何をしたわけでもないのに、命を狙われているとか訳が分からない。そんな状況で、現実を受け入れてそれでも生き抜こうとするのはなかなか出来る事ではない。

 

 しかし、森の中に逃げ込んだだけでそれなりに安全だというのは意外だった。想像している森の規模が違うのだろうし、相手も数人の民間人を捕まえるために労力をかけることはないと考えていたのかもしれない。

 

 

 ただ、ダニエル・クレイグ演じる主人公らは、ナチス・ドイツやその協力者を攻撃したり、別の場所のユダヤ人たちを救い出したりしているので、ただ隠れて暮らしている、というわけでもない。義侠心があるというか、反抗心があるというか。人数が増えれば見つかる危険も高くなるのに、それでも助けを求めてやってくる人たちを拒まなかったのは、そんな思いがあったからだろう。

 

 それにしても、そんな主人公はそもそも何者なのだ?というのはある。敵とは怯むことなく堂々と対峙し、老若男女の集団をまとめ上げてうまく統率するなんて、相当の人物じゃないと無理だと思うのだが。戦前、戦中は色々とあるということなのか、この森での集団生活を含めて、詳細を曖昧にした感じの描写も多いように感じた。

 

 困窮を極めるキャンプ生活や、兄弟の確執、一部の反乱など、しんどい描写が続く。でも、これでも収容所送りにされたりするよりは全然まし、という事実が、更にしんどい気持ちにさせられる。耐えるしかない。捕まえたドイツ兵に対して、善良そうだったメンバーの怒りや憎しみの感情が止まらなくなるシーンは印象的だった。

 

 そして、ラストのモーゼが海を割ったエピソードを思わせる大移動からの激しい戦闘、そしてエンディングの流れは胸が熱くなった。リーヴ・シュレイバー演じる弟がカッコ良すぎだった。

 

 ポーランドでは彼らの事を、同じポーランド人から略奪して生き延びた、ただの山賊集団だったという評価もあるようだが、じゃあ何もしないで死ねば良かったのか?と思ってしまう。とはいえ、彼らのせいで死んだ人もいるかもしれないので、難しいところだ。

 

 終戦時にはこの集団の規模が1200人になっていた、というのもすごい。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 エドワード・ズウィック

 

原作 ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟

 

製作総指揮 マーシャル・ハースコヴィッツ

 

出演 ダニエル・クレイグ/リーヴ・シュレイバー/ジェイミー・ベル
 

ディファイアンス プレミアム・エディション [DVD]
 

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「弓」 2005

弓(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 漁船で海上生活を送る老人と少女は、数か月後に結婚することになっている。

 

感想

 海上に停泊した漁船に、釣り客をボートで送迎をして生計を立てる老人と少女。少女は船から一切降りないという独特な生活だが、韓国ではわりと良くあるスタイルなのだろうか。

 

 しかし、少女にちょっかいを出す釣り客たちを、老人が弓矢で脅すとはなかなか過激だ。警察沙汰になって一瞬で終わりそうなものだが、まあそこは映画なので。 少女と老人の不思議な関係が描かれていく。この二人は、映画の中で一切言葉を発しないのに、それでも絆のようなものが表現されているのはすごい。

 

 

 それにしても、老人が少女が17歳の誕生日を迎える日まで結婚を待つ、というのは真面目というか健気というか。基本的に誰もいない海の上なのだから、好きにすればいいのに、と思ってしまった。一日終わるごとに毎晩カレンダーに印をつけて、結婚までの日々をカウントダウンする老人の姿がいじましい。

 

 そんな結婚までの日にちを数える日々の中で、釣り客として訪れた青年の一人に少女が恋をしてしまったことで、少女と老人の関係に亀裂が入ってしまう。しかし、少女が幼い頃に行方不明になった女児だったとは意外。大勢の釣り客に不審がられていたのだからすぐに気付かれそうなものだが、皆にとってはしょせん他人事だったということか。

 

 そんな少女と結婚しようとしている老人に対して、無垢な少女を汚い欲望の対象にするな、と非難していた青年が、自身も少女に手を出そうとしたのは驚いた。老人は駄目だが若者はいいということか。互いに気があるからという言い訳が出来るかもしれないが、でもそれは老人と少女の間にもあったとはいえる。

 

 さらには青年が少女を船から連れ去ろうとやって来たのに、乗って来たボートをすぐに返してしまったのも謎だった。普通はすぐに少女をボートに乗せて引き返すだろう。なぜか居残り、その後をすべて見守ることに。

 

 そしてクライマックス。老人が空へ矢を放ち、それが甲板に突き刺さる。監督はきっとこのシーンをやりたくて映画を撮ったのだな、と察してしまうような象徴的なシーンだった。そう考えると、このシーンへ導くための逆算としては悪くなかった。

 

 幻想的でどこかおとぎ話のような物語。ハン・ヨルムがそんな物語に登場しそうな不思議な少女を魅力的に演じていた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/編集 キム・ギドク

 

製作総指揮 鈴木径男/池田史昭

 

出演 チョン・ソンファン/ハン・ヨルム/ソ・ジソク/チョン・ゴクファン

 

弓(字幕版)

弓(字幕版)

  • 発売日: 2014/08/01
  • メディア: Prime Video
 

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「ベスト・バディ」 2017

ベスト・バディ(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 高齢者が暮らすリゾート村の人気者の総支配人は、新たに入居してきた謎の男にライバル心を燃やす。

 

感想

  これは続編?と思うくらい、最初から置いてけぼりを喰らう。登場人物たちがどんな人物か紹介するような描写もなく、いきなり皆が自由に動き回っている。どんなシチュエーションで、それぞれがどんな人物なのだろうと一生懸命見ているうちにも、どんどんと物語は進行していってしまう。

 

 リゾート村の人気者の総支配人として君臨していた男が、新しくやって来た皆の注目を浴びる入居人に嫉妬してライバル心を燃やす、という話。なのだが、そのライバル心が一方的過ぎて、なんだか相手が可哀そうに感じてしまった。そもそも相手が張り合う理由がないものだから、ただの新人いびりに見えてしまった。

 

 

 みんなの人気者だがどこか抜けたところもあるという総支配人に対して、相手の男はスポーツも出来て文化的素養もあり、人格者で頼もしさもあってと完璧すぎる。そんなことまで?と何でもできてしまう面白さはあるとは思うが、それよりもめちゃくちゃ二人のバランスが悪い方が気になった。

 

 コメディ映画ということで当然コミカルなシーンはたくさんあるのだが、それが普通の事なのか、可笑しな事なのかの事前情報が不十分なために全然笑えない。しかも、笑えるための状況設定に失敗しているのに、モーガン・フリーマンやトミー・リー・ジョーンズ、レネ・ルッソといった名優たちが、さも傑作大爆笑シーンのように演じてしまうものだから、余計にイライラしてくる。

 

 いがみ合う二人があることをきっかけに協力し合い、最終的には絆を深めてほっこりする楽しいクリスマス映画、というものにしたかったのだろうなということは分かるが、どれもすべてうまくいっていない映画。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ロン・シェルトン

 

出演

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トミー・リー・ジョーンズ/レネ・ルッソ/ジョー・パントリアーノ/グレン・ヘドリー/シェリル・リー・ラルフ/ジェーン・シーモア/ジョニー・マティス 

 

ベスト・バディ(字幕版)

ベスト・バディ(字幕版)

  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: Prime Video
 

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「縁 The Bride of Izumo」 2016

縁 The Bride of Izumo

★★☆☆☆

 

あらすじ

 亡くなった祖母の遺品の中に婚姻届がみつかり、そこに名前が記載されている男性を探すために出身地の島根にやって来た若い女性。

 

感想

 東京からやって来た主人公を車で案内することになった地元の漁師を演じる井坂俊哉がいい。服装に無頓着で、腕力がありそうな中肉中背のむさくるしい男といった外見が、いかにも田舎によくいるタイプのおじさんだ。最初は地元のエキストラの人かと勘違いしたほど。無口でぶっきらぼうで、タバコを吸いまくる感じもリアリティがある。ただ、さすがにぶっきらぼうすぎるが。

 

 それに対する佐々木希演じる主人公は、まったくキャラクターが見えてこない。シャイで大人しい女性かと思っていたら、突然、挑発的な物言いをしたり、泣き言を言ったり。表情も乏しく何を考えているのか分からない。男が言っていたように確かにめんどくさそうだ。

 

 

 そして主人公もそうだが、他の登場人物たちもどこかよく分からない感じの挙動が多い。さらには突然、ポップな感じでショッピングモールでチラシをばらまいたり、撮影がクリストファー・ドイルだからか、急に手持ちカメラの映像が挿入されたりと、時々、それまでの映画のテイストとは違う感じになったりして、全体的に情緒不安定な映画といった印象。特に前半はその傾向が強い。

 

  中盤以降は少し落ち着くのだが、だからと言って面白くなるわけではない。祖母が持っていた婚姻届の夫欄に書かれていた男性の事が徐々に分かっていくのだが、その調査の仕方が納得いかない。古い住所を辿るよりも、親族や知り合いにその人の事を知らないか聞く方が効率的だと思うのだが。それにそもそも「ご縁」とか言ってないで、周囲が主人公に大事なことはちゃんと伝えておくべきだったのでは、と。なんだか「ご縁」という言葉を都合よく利用しているだけのように見えてしまった。

 

 この映画は、島根県をアピールするご当地映画という側面があると思うが、出てくる島根の人物たちが皆、どこか嫌な感じなのは大丈夫なのだろうか。佐野史郎演じる観光案内所の男はずけずけと土足で踏み込んでくる感じだし、男を探して訪れたワイナリーの社長は愛想が悪い。井坂俊哉演じる男も、出雲大社では上から目線でしきたり警察になってしまう。なんだかあまり関わり合いたくない人たちばかりだった。もしかしたら、素朴で率直、これが田舎の良さ、みたいに思っているのかもしれない。うちらはうちらでやるんで、みたいな閉鎖的な印象も受けた。

 

 唯一伝わってきた映画のメッセージは、出雲大社で結婚式をあげましょう、ということだけだった。でもそれならもっと明るい話にしても良かったのでは。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 堀内博志

 

脚本 川原田サキ/樋口隆則/佐藤智恵


出演 佐々木希/井坂俊哉/平岡祐太/りりィ/藤本敏史(FUJIWARA)/根岸季衣/いしだ壱成/佐野史郎/国広富之

撮影 クリストファー・ドイル 

 

縁 The Bride of Izumo

縁 The Bride of Izumo

  • 発売日: 2017/11/02
  • メディア: Prime Video
 

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「THE FORGER 天才贋作画家 最後のミッション」 2014

ザ・フォージャー 天才贋作作家 最後のミッション(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 不治の病に罹った息子のために、マフィアのボスに頼んで刑務所から出た男は、見返りにモネの名画「散歩、日傘をさす女性」を盗み出すよう脅される。

 

感想

 末期のがんにかかった息子のために、借りをつくってはいけない相手に頼み込んで、刑務所を出所した主人公。気持ちは分かるが、裁判官を買収してそんなことが簡単にできてしまう事が結構すごい。

 

 しかし、絵画をめぐるクライムアクション映画かと思っていたので、最初は様相が違って少し戸惑った。死期の近い息子と主人公、そして主人公と父親、親子三代のヒューマンドラマ。

 

 

 ただ、妙に泣ける話にも良い話にもしようとしていなくて悪くない。息子は末期のガンとはいえ、親をウザがったり時々子供っぽかったりと、思春期の少年らしさがある。対する主人公も祖父も深い愛情のまなざしを注ぎながらも、哀れみや同情を表に出さず、普通に接しようとしている。

 

 少年が主人公にする3つの願いも、その年頃の男子がいかにも考えていそうな事で、とてもリアリティがあった。そのうちの一つとして、実の母親と会うのだが、この母親を演じたジェニファー・イーリーが良い演技だった。息子を失望させないために、ニューヨークでいい暮らしをしていると偽るのだが、どう見てもそうは見えない立ち居振る舞い。ちょっとした仕草や姿勢が、その人の見え方に大きく影響を与えている事が良く分かる。

 

 息子との心の交流を深めながらも、マフィアのボスへの借りを返すための絵画窃盗の準備も着々と進んでいく。しかし、贋作をつくるだけかと思ったら、実物とすり替える事までやらされるとは。どちらも出来るなんて、スーパー過ぎる。そして意外とあっさりと成功するのだが。

 

 この映画では出てくる役者がみな良い演技を披露している。祖父役のクリストファー・プラマーは、正直、主人公以上に活躍していた。そして、主人公を演じるジョン・トラボルタは、息子を見守る目が良かった。さらに、常に程よく前髪がぱらりと垂れたパーフェクトなヘアスタイル。朝起きたときからこんな髪型だったら最高だ。

 

 絵画をめぐるクライムサスペンスも、スリルのある展開で楽しませてくれた。最後も、ハッピーではあるがどこか儚さも感じる何とも言えないエンディングで、深く余韻に浸れる。見る前に想像していたよりも、中身の濃い良い映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 フィリップ・マーティン


出演 ジョン・トラボルタ/クリストファー・プラマー/タイ・シェリダン/アビゲイル・スペンサー/アンソン・マウント/ジェニファー・イーリー

 

撮影 ジョン・ベイリー
 

ザ・フォージャー 天才贋作作家 最後のミッション(字幕版)
 

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「とんかつ大将」 1952

とんかつ大将 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 東京の下町、長屋に住み「とんかつ大将」と慕われる医師は、近くの病院が拡張計画のために近隣の立ち退きを求めていることを知り、反対運動を始める。

 

感想

  近所の病人は勿論、喧嘩の仲裁から子供たちの面倒まで見てやる医師の主人公。近所の人から頼りにされるのは納得なのだが、病院をやっているわけでも勤めに出ているわけでもなく、どんな生活をしているのか、結構不思議。今の感覚だとそう感じるだけで、当時だとそうでもないのか。医者なのだから、その気になれば貧しい長屋で暮らす必要もないはずだから、ちょっと変わった人なのは間違いないだろう。

 

 勝手に他人の病院に上がり込んで手術をしたり、一般人である家族が手術に立ち会うとか、当時のおおらかさというかワイルドさにもちょっと驚いてしまった。

 

 

 立ち退きを求める病院とそれに反対する近隣住民、主人公に惹かれるも反発を感じる女医、病院拡張の裏で画策される陰謀、などをメインで描きつつ、そこに主人公が想い続けてきた女性との再会やかつての親友との対立なども絡めた人情劇となっている。いろんな要素を上手くまとめていて、さすがの手腕。

 

 主人公へ恋心を抱きながらも、それが叶えられないことを知って静かに身を引くとんかつ屋の女将や、その女将に叶わぬ想いを寄せる中年男のしみじみとした姿など、まわりの人物たちもしっかりと描かれている。

 

 主人公の出自に絡めた新聞のデマ記事に、あっさりと住人たちの結束力が瓦解するシーンは切なかった。人々を結束させるのも、その結束を維持するのも本当に難しい。その反対に人々を対立させ、争わせることのなんて簡単な事か。

 

 立ち退きの件は何とか話がうまく収まって大団円。ただ、こういう立ち退きが各地で行われて、江戸時代から続くような、他人同士が肩寄せ合って暮らす庶民の生活は解体されていったのだなと思うと、少し感傷的な気分になる。

 

 そして主人公の恋愛話は曖昧なままエンディング。善良である人が聖人である必要はないんだけどな、と思わないでもないが、でもこの手の人情劇の定番の型ではあるので仕方がない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚色 川島雄三 

 

原作 とんかつ大将 (1961年)

 

出演  佐野周二/津島恵子/三井弘次/角梨枝子/長尾敏之助/高橋貞二/徳大寺伸/幾野道子/設楽幸嗣/坂本武/小園蓉子/北竜二/美山悦子

 

とんかつ大将 [DVD]

とんかつ大将 [DVD]

  • 発売日: 2012/03/01
  • メディア: DVD
 

 

 

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