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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ロストクライム 閃光」 2010

ロストクライム -閃光-

★★★☆☆

 

あらすじ

 ある殺人事件が、「三億円事件」とつながっていると気づいた定年間近の刑事とその相棒の若手刑事。

三億円事件 - Wikipedia

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感想

 そうそうたるベテラン俳優たちが、濡れ場も含めて熱演している。全共闘時代を振り返るような内容でもあるので、濡れ場は若かりし頃を思い出させるような役割があるのかもしれない。枯れた年寄りではなく、まだ情熱を秘めていることを表してもいて、皆に人間味を感じる。

 

 そんな大活躍するベテラン陣だったが、回想シーンでの夏八木勲の若作りの風貌は、コントじみていて笑ってしまった。

 

 一つの殺人事件をきっかけに、三億円事件の真相に迫る物語だ。ただ事件の大体の概要は割とあっさりと明かされる。その代わりにクローズアップされるのは、身内が関与していたため、事件の真相を闇に葬り去ろうとした警察の組織的な隠ぺい工作だ。真相を探ろうとする奥田瑛二演じる主人公らの前に立ちはだかり、捜査の邪魔をする。

 

 

 しかし、警察官本人が関わっていたならまだしも、その身内が関わっていただけで組織全体を挙げて揉み消そうとするのか、と思ってしまった。その当人は揉み消して欲しい気持ちで一杯だろうが、それ以外の全警察官は全く関係ない。粛々と捜査、逮捕をしてしまえばいいだけだ。

 

 全然納得できないが、こういった事は今でも普通に行われている事で、なんならそうした不正を告発することは悪、とまでみなされるような風潮もある。そんな話を耳にするたびに「組織を守る」ってなんだよ、と思ってしまう。

 

 その後、次々と殺人事件が起き、最初は仲間割れかと思われていたのだが、事件は意外な展開をみせる。それで盛り上がってもおかしくはないのだが、実際は三億円事件の真相を明らかにすることがメインで、現在進行形で起きている連続殺人事件に関してはどこかおざなりな印象になってしまっている。もうちょっとしっかり描いてくれていたら、真相に気付いた主人公のように驚くことができたかもしれない。

 

 どことなく昭和を感じる暗くじっとりとした人間模様で映画は締めくくられる。全編に監督の反権力の姿勢が強く感じられる映画だった。若手刑事を演じた渡辺大は、ベテラン俳優に囲まれて、どうもいまいちな演技だったが、ラストでとてもいい表情を見せていた。この顔を撮るために彼を使ったのなら正解だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 伊藤俊也

 

脚本 長坂秀佳

 

原作 閃光 (角川文庫)

 

出演 渡辺大/奥田瑛二/川村ゆきえ/武田真治/矢島健一/菅田俊/烏丸せつこ/熊谷真実/中田喜子/かたせ梨乃/宅麻伸/夏八木勲

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音楽 大島ミチル 

 

ロストクライム -閃光-

ロストクライム -閃光-

  • メディア: Prime Video
 

ロストクライム -閃光- - Wikipedia

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「パシフィック・リム」 2013

パシフィック・リム(字幕版) 

★★★★☆

 

あらすじ

 次第に強さを増していく海底から現れる怪獣たちに立ち向かう巨大ロボット。

 

感想

 映画内で怪獣を「KAIJU(カイジュー)」と呼んでいる事からも分かるが、日本のロボットアニメや怪獣映画への愛を感じる作品だ。映画の中には、かつて見てきたそれら日本のアニメや映画を想起させるシーンが散りばめられている。怪獣が海底から現れるのもゴジラっぽい。

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 特にこの映画が分かっている、と感じるのは、ロボットの描き方だ。ロボットの巨大さを感じさせるような構図でちゃんと撮っていて、巨大な鉄の塊が動くというロマンがちゃんと伝わってくる。 ハリウッドだとこの辺が良く分かっていなくて、すぐにスピード感を出そうとしたりする。そうじゃなくて、ドシン、ドシンと歩くのが良いのだ。

GODZILLA (字幕版)

GODZILLA (字幕版)

  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: Prime Video
 

 

 そういう意味では、ハリウッドでちゃんと分っている映画が作られたという事は感慨深い。本当は日本がこれをやって欲しかったというのはあるが、日本のSFアニメや特撮映画が世界に影響を与え続けて、世界中に良き理解者が増えた結果、ついにその一人がハリウッドで撮ることができた、という事なので、これはこれで喜ばしいことだ。

 

 ロボットが二人で動く仕組みや、菊地凛子演じるミステリアスな謎の女性キャラの存在、厳格な司令官の素顔など、物語を面白くする要素がちゃんと詰まっていて、そして上手くまとまっている。ラストも良かったが、これは地球と異世界をつなぐ通路を破壊したところでまた作り直されれるだけかも、と思わなくもなかった。

 

 

 うんうん、そうそう、よしよし、などとと頷きながら、ニコニコしながら観てしまうような映画だ。観終わった後にみんなで、あのシーンはあのアニメの引用かな?みたいな会話も弾みそうだ。

 

 ただ、上手くまとまった良い映画ではあるのだが、物足りなさがないわけでもない。パイロットそれぞれの物語やメカニック、科学者たちそれぞれの事ももっと知りたいし、ロボットたちにももっと活躍して欲しかったと思ってしまう。でも、そうすると時間が足りなくなってしまう。そう考えると、こういう巨大ロボットの物語は、2時間の映画では扱いにくい題材なのかもしれない。そういえば、人間が乗り込む人型巨大ロボットの映画というのはほとんどない。

 

 巨大ロボットは、たくさんの人物が関わる事になるので、どうしても群像劇となる。そして限られた時間では、それを描くのが中途半端になってしまって、どこかに物足りなさが残ってしまう。続編が作られるほどヒットしたのは確かだが、空前の大ヒットとまではいかなかったのは、そのせいもあるかもしれない。

 

 皆が満足するものにするには、今だとネットフリックスの様な所が、ドラマシリーズとして作るのがいいのかもしれない。勿論、映画館の大きなスクリーンで観たい、というのはあるのだが。それに、それだったら予算的にアニメで良くない?となってしまいそうでもある。

Chapter.1

Chapter.1

  • メディア: Prime Video
 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ギレルモ・デル・トロ

 

出演 チャーリー・ハナム/菊地凛子/イドリス・エルバ/チャーリー・デイ/バーン・ゴーマン/クリフトン・コリンズ・Jr/ロバート・カジンスキー/マックス・マーティーニ/ロバート・マイエ/ディエゴ・クラテンホフ/ロン・パールマン/芦田愛菜

 

撮影 ギレルモ・ナヴァロ

 

パシフィック・リム(字幕版)

パシフィック・リム(字幕版)

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パシフィック・リム (映画) - Wikipedia

パシフィック・リム 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

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  • 発売日: 2018/07/20
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「白蛇伝説〜ホワイト・スネーク〜」 2011

白蛇伝説~ホワイト・スネーク~(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 人間に恋をしてしまった白蛇の精女。中国の古代伝説「白蛇伝」を題材にした作品。

白蛇伝 - Wikipedia

 

感想

 ジェット・リーが主演という事で、80年代くらいの古い映画かと思っていたら、割と最近の映画だった。なのでCGもなかなかのクオリティーで、ハリウッドのファンタジー映画と比べても遜色ないと思えるレベル。そしてジェット・リーは、主演というよりはサブキャラで、やはり白蛇役の女優が主演と言ったほうがいいだろう。

 

 中盤くらいまでは割といい感じのファンタジー映画。登場する女性陣は、化粧品のCMかと思うようなテカテカの画像処理が施されているが、皆美人なのでそれだけでも見ていられる。キャラクターの特徴なのか、中国の女性はやりがちなのか、美女が男性と肩を組むようなシーンがあって、自分もされてみたいとちょっと羨ましく思ってしまった。普通は、酔っぱらった女性の描写としてくらいで、他ではあまり見ないシーンの様な気がする。

 

 

 白蛇の精女が人間の男性に恋をするも、許されざる恋として引き離されてしまうという悲恋の物語。精女は蛇の妖怪という事で、人魚姫の下半身を蛇にしたような女体化した蛇は、どこか笑ってしまうようなクリーチャーだった。その後は完全な蛇になってしまう事もあって、造形に統一感がないというか、定まっていない感じががして、少しモヤっとしてしまった。

 

 許されざる恋をする二人の前に立ちふさがるのが、ジェット・リー演じる妖怪退治の僧侶。結局は悲しい結末を迎える事になると白蛇を説得し、それを聞かない白蛇を退治しようとするのだが、なんだか彼が二人の仲を引き裂く悪い奴みたいになっているのが可哀そうだ。でも現実世界にもこういう事はある。本当の優しさというのは、時に冷たく見えることがあるものだ。

 

 僧侶と白蛇の対決、そして引き裂かれる二人、と次第に映画はクライマックスへと向かっていくのだが、盛り上げようとする演出がすべて失敗してしまっている感じ。全画面がほぼCGとなって、ドラゴンボール的空中戦を繰り広げるシーンは、ここまでやってしまうとゲームの画面ぽくなってしまって、逆にしょぼく見える。

 

 二人が引き離されるシーンも、スローモーションを使ったりなんかしてベタ過ぎて、逆に冷めてしまう。壮大に、劇的に描こうとすればするほど、見ているこちらのテンションはだだ下がっていってしまうという結果に。冷静になってしまって、僧侶の弟子のように白蛇の恋人も妖怪化して、人間界から遠く離れて二人で幸せに暮らせば良かったのでは?と、元も子もないことを考えてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 チン・シウトン

 

出演 ジェット・リー/ホアン・シェンイー/レイモンド・ラム/シャーリーン・チョイ/ウェン・ジャン/ビビアン・スー

 

白蛇伝説~ホワイト・スネーク~(字幕版)

白蛇伝説~ホワイト・スネーク~(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

白蛇伝説〜ホワイト・スネーク〜 - Wikipedia

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「ベイブ」 1995

ベイブ [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 ひょんなことから養豚場から牧場にやってきた子豚は、母親代わりの牧羊犬の真似事をするようになる。

 

感想

 偶然の出来事から牧場にやって来た子豚ベイブが、周囲の動物たちから学び、立派な牧羊犬ならぬ牧羊”豚”として成長していく物語。動物が主役でもあり、子供向けの映画と言ってもいいと思うが、当時はアニメでやりそうな内容を実写でやったことがすごい、となったのだろう。アカデミー賞に7部門でノミネートされ、視覚効果賞を受賞している。

 

 

 ただ単なる子供向けの映画ではなく、ベイブを飼うことになった牧場主の老人の視点から見ると、また違った物語として見ることができる。勤勉で実直な、いかにも田舎の真面目な男といった老人が、豚らしからぬベイブの活躍に、自身も解き放たれていく物語だ。

 

 それまでは、自由なベイブに触発され、疑念を抱きながらも少しずつ恐る恐る踏み出していた老人が、ついに吹っ切れたように踊り出すシーンは印象的だった。誰だって何歳だって、枠にはまって生きる必要はない。子どもだけでなく、一緒に見ている大人たちにもメッセージを送っている。

 

  しかし、牧羊犬のコンテストに豚を出そうとする老人に対して、ふざけているのか、馬鹿にしているのかと怒っていた主催者側が、とはいえルール上は何も違反していないからと、渋々ながらもちゃんと出場を認めたのはすごいなと感心してしまった。日本だと最終的には謎の実力者の「ルールなんか知るか、わしは認めん。」の一言で出場を取り消されて、なんなら永久追放とかされてしまいそうだ。明文化されたルールを重んじる国は羨ましい。と言っても、それはほとんどの国がそうなわけだが。

 

 ところで、この映画をきっかけにベジタリアンになった人が多かったらしい。豚は知的な動物だと知ったからという事らしいが、クジラもそうだが知的な生物は食べてはいけないという考え方は昔からあったのだろうか。知的かどうかをどう判断しているのかも気になる。野生の動物は必ず知性の高い生物が知性の低い生物を捕食していて、その逆は絶対にないのか、とかも。 

 

 ベジタリアンやヴィーガンと言ってもいろいろ流派があるし、じゃあ猫食べる?と言われたら自分は拒否反応を示すだろうし、どんな理由で何を食べて何を食べるべきでないかというのは、ちゃんと考えようとすると難しい。などと映画に関係のないことをつらつらと考えてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 クリス・ヌーナン

 

原作 The Sheep-pig (English Edition)


製作 ジョージ・ミラー/ダグ・ミッチェル/ビル・ミラー

 

出演 (声)クリスティーン・カヴァナー/ジェームズ・クロムウェル/マグダ・ズバンスキー/(声)ミリアム・マーゴリーズ/(声)ヒューゴ・ウィーヴィング/(声)ダニー・マン/(声)ミリアム・フリン/(声)ルーシー・テイラー/(声)ロスコー・リー・ブラウン

 

ベイブ [DVD]

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  • 発売日: 2012/04/13
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ベイブ (映画) - Wikipedia

 

 

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「銀のエンゼル」 2004

銀のエンゼル

★★☆☆☆

 

あらすじ

 北海道の田舎町。経営するコンビニを妻に任せきりにしていたが、妻の入院により代わりに働かざるを得なくなった男。

 

感想

 突然店を任されてしまったオーナーの物語と、そのコンビニに集まる人たちの人間模様が描かれる。割とよくある設定でありながら、人間模様の描き方も浅いので面白みが薄く、取り止めのない時間が流れていく。これを見ているのは結構つらい。

 

 せめて核となる小日向文世演じるコンビニオーナーの主人公の物語は、しっかりと描いて欲しかったが、全然何も見えてこない。以前の農家時代を引きずり、コンビニの仕事に身が入らない主人公が、変わっていく姿を描いているつもりだろうが、ただ状況に流されているだけにしか見えなかった。

 

 

 それに進学を控えた娘との関係もなかなか歪で、あまりリアリティが感じられない。娘は父親が自分に関心がないことにいじけており、父親はそれが引け目となって強く言えない。それでも互いに気にかけているのだから、結局は衝突しそうなものなのに、それもなく、すっと娘は出て行ってしまう。それを行かせてしまう父親もどうかと思うが、最初から何も言おうとしなかった、そもそもの娘の行動も有り得ないなと思ってしまった。

 

 結局、主人公は最後まで受け身のまま。エンディングでは、主人公は変わった、という事になっているようだが、何も変わっていないように思える。それから「銀のエンゼル」というタイトルから、5枚集めればプレゼントがもらえるが、5枚集められることは稀、という誰もが共感できるあるあるに引っ掛けて、何かを示唆しようとしているのだろうが、それについて深く考察してみようという気にはならない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/原案 鈴井貴之

 

出演 小日向文世/佐藤めぐみ/山口もえ/峯村リエ/安田顕/斉藤ルミ子/戸次重幸/村上ショージ/輪島功一/浅田美代子/有安杏果/嶋田久作/大泉洋/西島秀俊

 

音楽 長嶌寛幸

 

銀のエンゼル

銀のエンゼル

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

銀のエンゼル (映画) - Wikipedia

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「スパイダーマン:ホームカミング」 2017

スパイダーマン:ホームカミング (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 ハイテク兵器を密売する男を追うスパイダーマン。「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」シリーズ 第16作目。

 

感想

 特殊能力はあるがまだ未熟な青年の冒険譚というか、成長譚。最初は子供らしい無邪気さで戦っているのだが、やがて責任感が芽生え、成熟した態度を身につけていく。悪役(ヴィラン)であるハイテク兵器を密売する男や、憧れであるアイアンマンが、主人公の前に立ちふさがる大人たちだ。ヴィランを乗り越え、アイアンマンに認められる事で成長していく。

 

 マイケル・キートンがヴィランのヴァルチャーを演じているのだが、鳥人間の様な容姿に、どうしても彼が主演した映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を思い出してしまう。この辺は洒落というか、小ネタ的な意味も含まれているのかもしれない。

 

 しかし、このマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の中ではもはや常識なのかもしれないが、ほとんど見てない自分にとっては、登場人物たちの徹底したダイバーシティ(多様性)っぷりに驚いてしまった。正直、最初は違和感があったのだが、あまりにも徹底しているので、途中くらいから全然気にならなくなった。一応そういう事気にしてます、というポーズだけの映画とは違うからだろう。言い訳みたいに対応している映画は、逆に悪目立ちしてしまう事が多い。

 

 こういう映画が増えていけば確かに世界は変わっていくだろうな、と実感させられた。実際、アメリカではこんな風に人種が多様化している学校の方が多いだろうから、それを映画に反映させただけと言えるかもしれないが、アファーマティブ・アクション(肯定的措置)というのは必要だなと、その実例を見せられた気分。今はなぜかマジョリティが被害者面で声高に叫ぶ時代ではあるが。

 

 

 最初は主人公がハイテク装備で身につけておきながら、クライマックスでは貧相な衣装と装備で戦わせる演出が上手い。十分な準備は大事だが、まずは本人がそれにふさわしい人間であることを証明しなければならない、と言っているかのようだった。

 

 MCUシリーズを最初からちゃんと見ている人も、そうでない人もちゃんと楽しめるように作られた、こなれ感のあるエンターテイメント作品。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジョン・ワッツ

 

脚本/原案 ジョナサン・ゴールドスタイン/ジョン・フランシス・デイリー


原作 Amazing Spider-Man Masterworks Vol. 1 (Marvel Masterworks) (English Edition)


製作総指揮/出演 スタン・リー


出演 トム・ホランド/マイケル・キートン/ジョン・ファヴロー/ジェイコブ・バタロン/ローラ・ハリアー/ゼンデイヤ/ドナルド・グローヴァー/タイン・デイリー/トニー・レヴォロリ/アンガーリー・ライス/ マーティン・スター/ケネス・チョイ/(声)ジェニファー・コネリー/マリサ・トメイ/ロバート・ダウニー・Jr/ボキーム・ウッドバイン/ローガン・マーシャル=グリーン/クリス・エヴァンス

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スパイダーマン:ホームカミング (字幕版)

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  • 発売日: 2017/11/15
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スパイダーマン:ホームカミング - Wikipedia

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「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」 2017

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 「マクドナルド」を世界的なハンバーガーチェーンにしたレイ・クロックの伝記映画。 

 

感想

  巨大なマクドナルド帝国を築き上げたレイ・クロックの物語。彼自身がハンバーガーショップを始めたわけではなく、繁盛していた人気店と契約を結んでフランチャイズ展開し、成功したというのは割と有名な話だ。これは、ビルゲイツがWindowsの元となったシステムを買い取って成功した話を連想させる。成功する方法は一つではなく、何通りもあるという事を教えてくれる。

 

 そのレイ・クロックとフランチャイズ権の契約をした、人気のバーガー屋「マクドナルド」を開いていたマクドナルド兄弟の話は面白かった。最初はドライブインを経営し繁盛していたが、客層が悪く人件費もかかって儲けが少ない。それで人気メニューの上位3品、ハンバーグ、ポテト、ソフトドリンクだけを売る新たな店を作ろうと思い立った事、そして高品質な商品を効率的に提供できる店舗にするために、まずは何度もシミュレーションを繰り返し、導線を確認してから店舗設計をした事など、出てくるエピソードがどれも興味深く、そして感心してしまった。

 

 主人公の創業者としての物語がメインなので端折ったのだとは思うが、彼らのその後の活躍ぶりも見てみたかった。いくらシステムが画期的だったとはいえ、同業他社も出てきただろうし、改善は行われていたはずだ。彼らが関わっていたかは忘れたが、マクドナルドとしては確かハンバーガー大学を作ったりしていたはず。

 

 

 それからレイ・クロックが、50歳を超えてからこの事業を始めたというのも有名な話。イケイケの若者ではないのだから人生の機微を理解した、温厚で誠実なカーネル・サンダースおじさんのようなキャラクターをイメージしてしまうが、全くそんなことはない。

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 本人が言っているが成功に必要なのは、天才でも学歴でもなく、信念と継続。普通の人ならとっくにあきらめてしまっていそうな50歳になってもそれを保ち続けた人なわけだから、考えてみれば若くして成功した人よりもかえってクセが強いのは当たり前かもしれない。50歳になってもギラギラしているわけだから。マクドナルド兄弟との確執や苦楽を共にした妻との離婚、そして別の女性との結婚と、典型的な成功者あるあるが展開されて、少々げんなりしてしまう。

 

 ただ、だからと言って彼ではなくマクドナルド兄弟がフランチャイズ展開をしていても、同じように成功していたかというとそうはならなかったはず。不動産を握るという発想にたどり着けなかっただろうし、強欲に次々と店舗を増やして世界展開までもっていけなかっただろうし、立ちふさがる障害を乗り越えていくタフさもなかっただろう。

 

 だからやっぱりレイ・クロックはすごかったという事になる。そのあたりがしっかりと描かれていて、「ビジネスは弱肉強食の世界なんだ」とかしたり顔で言っちゃう人には成功してもらいたくないよな、と心のどこかで思ってしまっている自分も認めざるを得なくなってしまう上手い構成となっている。映画としては面白いのだが、ビターな後味が残る。

 

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 ところで主人公がマクドナルド成功の要因として「McDonald's」という店名の語感の良さを挙げているが、この単語の正式な発音は日本人には難しいとされている。確かに、映画の中で当然頻出するこの店名の発音を何度聞いても、全くスッと言えるようになれる気がせず、情けない気分になる。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジョン・リー・ハンコック

 

製作 ドン・ハンドフィールド/ジェレミー・レナー/アーロン・ライダー

 

出演 マイケル・キートン/ニック・オファーマン/ジョン・キャロル・リンチ/リンダ・カーデリーニ/パトリック・ウィルソン/B・J・ノヴァク/ローラ・ダーン

 

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(字幕版)

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「眼の壁」 1958

眼の壁

★★★★☆

 

あらすじ

 経済犯罪に巻き込まれて自殺した上司のために、真相を追う会社員。  

 

感想

 詐欺に遭い、会社に損害を与えてしまったことを苦にして、自殺した上司が残した事件の概要をもとに、真相を探る主人公。しかし、そのために数か月も会社を休む彼も、それを許す会社もすごい。日本も昔は大らかだったという事か。でもその一方で、仕事の失敗で自殺する上司や、新婚旅行を取りやめてしまった新聞記者のような仕事人間もいるわけで、それがなんだか面白い。

 

 この事件の犯人は、政界ともつながりを持ち、裏の世界で暗躍する右翼の大物。こういう人間はいつの時代もいるということか。今は表の世界の「桜を見る会」とかにも参加しちゃうようだが。被害者が表沙汰に出来ないような犯罪は狙い目で、弱みも握れるのでおいしいという事なのだろう。今回も身内が殺人事件を起こさなければ安泰だったはずだ。

 

 

 しかし、世間に姿を現さないというこの大物の代わりに、主人公らに応対する男があまりにも態度がでかすぎて、ちょっと笑ってしまった。もうバレバレ、というか。でも大物の右腕であれば、そういう態度を取る人間もいるか。でも、映画「ユージュアル・サスペクツ」みたいに、え、この人が?みたいな、ギャップがあった方が驚きがあって良かったかもしれない。

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
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 主人公らが真相を追ううちに、松本清張の原作らしい、犯人の暗い過去が浮かび上がってくる。そんな苦境からのし上がり、身内も援助していた男。少し彼に対する見方が変わらないでもないが、元々は自分が直接関係ない殺人事件に、ジタバタし過ぎでは、と思わなくもない。ただ「ターミネーター2」の名シーンを彷彿とさせる最後は、得体の知れない怪物じみていて良かった。

 

  主人公に協力する高野眞二演じる新聞記者のキャラも良かったし、あまり美人とは思えなかったが、鳳八千代や梅井淳子演じる謎の美女も登場し、程よい緊張感が続くスリルとサスペンスの映画だった。

 

 タイトルの「眼の壁」とは何なのか良く分からないが、台風の目の周りの雲のことを「目の壁」「眼の壁雲」等と言うらしいので、そこから来ているのか。事件の中心のすぐ外側での人間模様、ということで、なんとなく話の内容とも合っているような気がする。

 

スタッフ/キャスト

監督 大庭秀雄

 

原作 眼の壁

 

出演

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鳳八千代/高野真二/朝丘雪路/西村晃/左卜全

 

音楽 池田正義
 

眼の壁

眼の壁

  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: Prime Video
 

眼の壁 - Wikipedia

 

 

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「キングダム/見えざる敵」 2007

キングダム (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 サウジアラビアの外国人居住区で起きたテロ事件を捜査するため、現地に向かったFBI捜査官のチーム。

 

感想

 最初にサウジアラビアの歴史を、アメリカとの関係を交えながら、サクッと紹介してくれる。駆け足の説明なので完璧に把握できるわけではないのだが、それでもその後に描かれる両国の微妙な関係を理解するための前提知識として非常に助かった。石油とアメリカとイスラム教が、サウジアラビアをややこしくしている。

 

 そして説明が終わった途端に始まるテロ攻撃。唐突感とあまりの激しさにぐったりしてしまうが、でもテロというのはこういうものだ。今日が人生最後の日だとは思いもしていない人たちの命を次々と奪っていく。

 

 

 しかしテロは相手に出来るだけダメージを与えるのが目的とは言え、手口が卑劣すぎる。まずは無差別に銃撃し、次は逃げ惑う人たちを誘導すると見せかけて一か所に集めてからの自爆攻撃、そして数時間後に関係者らが現場に集まって来るだろう頃合いに特大の爆弾で吹き飛ばす。しかも、爆弾にはより被害が大きくなるように釘などを混入させている。人間はここまで悪魔のようになれるのかと恐ろしくなる。

 

 事件に憤りを覚え、現地での捜査を望む主人公らFBI捜査官たち。自国で大量のアメリカ人犠牲者を出してしまったサウジアラビアは、それを望んでいなかったが、マスコミを使い、政治的な力を使って、なんとか承諾させる。そして乗り込んだ現場だが、今度は現地の警察の監視が厳しく、思うように捜査をすることができない。そしてここでも主人公は、うまく監視役の警察官を使って王に直談判をして、より大きな裁量を手に入れることに成功する。

 

 様々な利害関係がある中で、自分のやりたいことを出来るようにするには、こういうネゴシエーションの能力は重要だよなと思い知らされる。状況を把握し、使えるものは何でも使うしたたかさ。それらで障害となるものを一つずつ取り除いていく。他のメンバーたちもそれぞれの仕事をしっかりやっていて、プロフェッショナルな良いチームだ。しかも陽気でフランク、軽口を叩くことを忘れないところが頼もしい。クリス・クーパー演じる捜査官が、鼻歌を歌いながら楽しそうにドブさらいをする様子は面白かった。

  

 しかし、思ったような大きな成果は上げられず、帰国の途につくことになったチーム。しかし敵に襲撃されて、比較的おとなしく、静かだった捜査モードから一気に戦闘モードに切り替わる。そしてここからは、息つく暇もない怒涛の展開。

 

 拉致された味方を追って敵の本拠に乗り込んでしまった主人公たちは、敵の猛攻撃にあう。絶体絶命過ぎる状況にハラハラさせられてしまうが、それでも主人公たちは冷静に対応し、状況を打開していく。

 

 そしてクライマックスのジェニファー・ガーナ―演じる捜査官の敵との戦いはまさに死闘だった。パンチやキックできれいに倒すのではなく、使えるものは何でも使って死に物狂いで食らいついていく姿はとてもリアル。まさに生死を分ける闘いなわけで、正々堂々とか言っていられない。現実はこんなもので、これを美化したがる人間は想像力が足りないと言わざるを得ない。

 

 この映画は、アメリカ人対サウジアラビア人ではなく、ちゃんとテロリスト対反テロの構図に持っていこうとしているのはさすが。サウジアラビア人の警官との友情も良かった。ただ、今後も報復の連鎖は止まらないという事を示唆していて、それを考えるとしんどい気分になってしまう。今後もどれだけの人間がテロの犠牲となってしまうのだろう。

 

 激しい戦闘の後には、緊迫のサスペンスが待ち受けていて、最後まで緊張感のある見ごたえのある映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 ピーター・バーグ

 

製作 マイケル・マン/スコット・ステューバー

出演

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ジェニファー・ガーナー/クリス・クーパー/ジェイソン・ベイトマン/アシュラフ・バルフム/アリ・スリマン/ジェレミー・ピヴェン/リチャード・ジェンキンス/フランシス・フィッシャー/ダニー・ヒューストン/カイル・チャンドラー 

 

音楽 ダニー・エルフマン

 

キングダム (字幕版)

キングダム (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

キングダム/見えざる敵 - Wikipedia

 

 

 

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「劇場版「お前はまだグンマを知らない」」 2017

劇場版「お前はまだグンマを知らない」

★★★☆☆

 

あらすじ

  チバからグンマにやってきた転校生。

  

感想

 序盤はずっとテンションが高すぎて、このままこれが続くのだったらきついなと思っていたのだが、時間が経つにつれてしだいに落ち着いてきて、ホッとした。慣れてくればそれなりに楽しめる。

 

 しかし、群馬の自虐ネタばかりなのかと思っていたのだがそんな事はなく、素直に郷土愛を語っているのがほとんどで、それが微笑ましかった。正直、だから何?とか知らんがな、と言いたくなることばかりなのだが、彼らの誇らしげな姿を見ていると笑えてきてしまう。

上毛かるた

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  • メディア: 単行本
 

 

 そして、彼らが栃木、茨城と張り合っているというの面白い。これも正直、当事者じゃない人間にとっては、どっちもどっちというか、どうでもいい、というのが本音なのだが、本人たちにとっては捨ててはおけない事なのだろう。でもよく考えれば、こんな事は国同士でもやっているわけで、この北関東の小競り合いのように、自分たちの争いは他のほとんどの国は興味がないと気づけたら、馬鹿らしくなって無駄な争いはやめ、世界は少し平和になるかもしれない。

 

 それなりに面白かったが、それよりも勉強になったというのが素直な感想。自分は群馬について何も知らないという事すら知らなかったことに気付いた。自分の中で群馬と栃木がごっちゃになっているというのは内緒の話だが、そこにぼんやりとながらこの二つの県を分ける境界線が見えてきたので、群馬を啓蒙するという意味では良い映画だったと言える。

 

 

 主演の間宮祥太朗のコテコテの顔芸と演技がちょっとしんどかった。他の登場人物たちが良い意味で変なキャラぞろいだったので、彼らが引き立つように主人公は普通でいる方が良かったのかも、と思ったのだが、それだと映画のテンションが保てなくなってしまうような気もする。なので映画のテイスト的に、これが正解じゃないにしても、方向性は間違っていなかったのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督 水野格

 

脚本 樫田正剛

 

原作 お前はまだグンマを知らない 1巻 (バンチコミックス)

 

出演 間宮祥太朗/吉村界人/馬場ふみか/入江甚儀/加治将樹/山本博/椿鬼奴/ほんこん
 

劇場版「お前はまだグンマを知らない」

劇場版「お前はまだグンマを知らない」

  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: Prime Video
 

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「コードネーム U.N.C.L.E.」 2015

コードネームU.N.C.L.E.(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 冷戦時代のヨーロッパで、ソ連KGBのスパイと手を組んで、謎の犯罪組織に潜入することになったCIAのスパイ。60年代にテレビ放送されたドラマ「0011ナポレオン・ソロ」のリメイク。 

0011ナポレオン・ソロ2 [DVD]

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  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: DVD
 

 

感想

 オリジナルのドラマは何となく存在を知っていた程度だったので、アメリカ人CIAのナポレオン・ソロひとりがメインで活躍する映画かと思っていたのだが、実際は彼とKGBのイリヤ・クリヤキンのコンビが活躍する物語だった。オリジナルのドラマもそんな形であったようだ。

 

 とにかく映像やセリフがスタイリッシュで、エンターテイメント感あふれる映画。音楽も良く、字幕の使い方も洒落ていた。そして、スパイ映画ではよくあるようなシーンを、印象的で面白いシーンに仕立てる監督の手腕が際立っている。ボートで追われるシーンや拷問シーンの見せ方は面白かった。短い期間の出来事を、時間を入れ替えて見せる演出も効果的だった。

 

 コメディ部分は分かりやすいドタバタとした笑いではなく、小粋でとぼけた感じのオフビートな笑いが中心。そのせいか、登場人物たちが皆、気取り過ぎに見えてしまわなくもない。気づかないと笑えないタイプのジョークが多いが、個人的には十分に楽しめた。

 

 正直、ストーリーはちょっと分かりづらいところがなかったわけではないのだが、そんな様々な演出のおかげで、あまり気にせず楽しめた。登場人物たちも皆が魅力的に描かれていて、もう少し皆の事を知りたくなるような、続編を期待したくなるような映画だった。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ガイ・リッチー

 

原作 「0011ナポレオン・ソロ」

 

出演 ヘンリー・カヴィル/アーミー・ハマー/アリシア・ヴィキャンデル/エリザベス・デビッキ/ジャレッド・ハリス/シルヴェスター・グロート/クリスチャン・ベルケル/デヴィッド・ベッカム

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音楽 ダニエル・ペンバートン

 

コードネームU.N.C.L.E.(字幕版)

コードネームU.N.C.L.E.(字幕版)

  • 発売日: 2016/01/20
  • メディア: Prime Video
 

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「ザ・コード/THE CODE・暗号」 2009

ザ・コード/THE CODE・暗号 [DVD]

★★☆☆☆

 

あらすじ

 上海の謎の中国人女性に依頼され、現地に向かった探偵事務所の暗号解読の天才。

 

感想

 暗号解読や謎解きが面白いというのは分かるが、この映画で登場する暗号は難解すぎて、主人公と一緒にそれを解いていくという楽しみはない。ただ、天才がなにやら謎を解いているのを眺めるだけだ。

 

 そして、この暗号解読の天才という主人公がまったくもって魅力的でない。賢そうで真面目そうな予想通りのキャラクター。そこになんの味付けもないので意外性がなく、典型的過ぎて逆に人間味を感じない。

 

 

 途中で主人公が、稲森いずみ演ずる謎の中国人女に誘惑されるシーンがあるのだが、全く何も起きる気がしなかった。そして予想通り何も起きない。この面白みのないキャラクターを主人公にしている時点で、なかなか辛いものがある。これはキャラクター造形とともに、演ずる尾上菊之助にも問題はあると思うが。

 

 互いにコード名で呼び合ったり、秘密道具を駆使するという探偵映画。敢えてオールドスタイルをやっているのだろうし、そのレトロ感が逆にカッコいいというのを狙っているのも理解できて、ある程度は成功している。それに敵か味方か?騙し騙され、みたいな冒険活劇の面白さもある。

 

 ただ、そもそも主人公に関心が持てないのに、その上、この監督の作風と言えるのかもしれないが、テンポもあまりよくないし、一部のキャストの微妙な演技もあって、これを2時間以上も見続けるのはしんどかった。90分ぐらいだったら、そこそこ楽しめたのだろうなとは思う。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 林海象

 

出演 尾上菊之助/稲森いずみ/上原歩/貫地谷しほり/成宮寛貴/松岡俊介/松方弘樹/宍戸錠/テイ龍進/佐野史郎/斉藤洋介/佐野史郎/柏原収史/津田寛治/宮迫博之/加勢大周/原田喧太/吹越満/坂井真紀/窪塚俊介

 

音楽 めいなCo.
 

THE CODE ザ・コード 暗号 [レンタル落ち]

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  • 発売日: 2009/01/01
  • メディア: DVD
 

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関連する作品

前作 別の探偵を主人公にした作品 

 

 

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「秘密と嘘」 1996

秘密と嘘 ニューマスター版 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 弟夫妻が新居の披露を兼ねて娘の誕生パーティを開いてくれることになり、喜ぶ姉。

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 カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。

 

感想

 娘と二人で暮らし、段ボール工場で働く主人公。年頃の娘についつい口うるさく言ってしまう。娘が男と出かければ心配だし、かといって週末ずっと家にいるのもそれはそれで心配で、どちらにしても余計な一言を言ってしまう。気持ちは分かるが、それでは娘に疎ましがられるのも当然だろうと笑ってしまう。

 

 ただ、本当に娘の事を考えているのが良く分かり、あまり頭は良さそうではないが、善人であることは伝わってくる。そんな性格が災いするのか、主人公はすることもなく、寂しい日々を送る毎日だ。それもあって、ますます娘に口うるさくなってしまうという悪循環。精神的にも不安定になってしまっている。

 

 

 しかしこの母娘は、いかにもイギリスの労働者階級といった生活ぶりだ。言葉のなまりはひどいし、ファッションもそう。そして常に煙草を離さない。ずっと煙草を手にしたままのシーンが多くて、別に吸うのはいいけど今は一旦火を消そうか、と思う事が度々あった。

 

 そんな主人公には、実は少女の頃に出産し、その赤ちゃんを養子に出したという娘の知らない秘密があった。ある日、その養子に出された娘から連絡が来て、主人公は取り乱してしまう。その取り乱し方が尋常じゃなく引いてしまうほどだったが、養子に出された娘は、忍耐強くコミュニケーションを取ろうとして、その姿に感心してしまった。

 

 彼女は、自分を捨てた母親を恨んでいてもおかしくないように思うのだが、育ての親に恵まれた環境で育てられ、しかも養子である事実も幼い頃に告げられていたという事で、すでに心の準備が出来ていたのだろう。会いに行っても迷惑がられるかもしれない可能性も含めて。やがて主人公は、こちらの娘とは良好な関係を築き始める。これはひとえに養子の女性に心の余裕があるからだと言える。

 

 主人公とは違い、写真館を営み、妻と共に新居で幸せに暮らす弟。姉ももちろんだがその姪の事も気にかけている。20歳ぐらいの姪になんて会いたいと思うものかなと思ったが、高校生ぐらいの時に姉を手伝って赤ちゃんだった姪の面倒を見ていたら、娘みたいに思っていても不思議はないか。

 

 この弟が非常に心の優しい男で、妻が機嫌が悪ければそっと受け止め、姉の事も常に気にかけている。経営する写真館に写真を撮りにやって来る、ちっとも言うことを聞かない客への対応の仕方を見ていれば、彼の誠実さが良く伝わってくる。客の意思を尊重しながらもベストな写真を撮ろうとする。

 

 そんな弟の家で開かれた主人公の娘の誕生パーティ。主人公母娘と弟夫婦の4人の参加者のはずが、娘の恋人、弟の職場の女性、そして主人公の職場の友人と偽り、養子に出された娘もが参加して、にぎやかなパーティに。しかし、挨拶を交わし家を案内して回る主人公と弟の妻の間のぎこちないやりとりに、二人の間のわだかまりが垣間見える。

 

 このパーティの中で、家を案内する弟の妻が、トイレを紹介するたびに便器の蓋が開いていて、毎回きまり悪そうに蓋を閉じるシーンや、弟の職場の女性が食事中に汚れた手を拭くものが用意されてなくて困惑しているシーンは面白かった。素敵な家、素敵なパーティと、どんなに体裁よく見せようとしてもボロは出てしまうものだ。

 

 雨が降り、室内に場所を移しての娘の誕生日ケーキのシーン。何となく嫌な予感がしていたが、案の定、修羅場が訪れる。しかし、主人公は何で今それを言うのかなと、弟と同じことを思い、呆れてしまった。でも、こんな風にタイミング悪く余計なことを言い出す人はいる。彼女としては職場の同僚と偽る養子に出した娘が、つじつま合わせの嘘をつかなければいけない事に耐えられなかったのだろう。

 

 主人公の告白をきっかけに、その場の勢いで皆の心のわだかまりも吐き出され、状況は悪化していく。こんな状況に居合わせることになってしまった部外者には同情しかない。これをどうやって収拾させるつもりだ?と思っていたが、ここでの弟の頑張りに胸が熱くなった。これがなければ悲惨な結末が待ち構えていたかもしれない。

 

 そして、逆にこれが結果的に功を奏し、雨降って地固まるという事となった。やはり秘密や嘘は良くないという事だろう。養子に出された娘が、早い段階で育ての親にその事実を知らされていたおかげで心の余裕が出来ていた、というのが示唆的だ。どんなに隠そうとしても、また取り繕おうとしても、主人公の弟の写真館の客たちのように、その本当の素顔や関係性は他者になんとなく伝わってしまうものだ。

 

 序盤は全く幸せそうには見えなかった主人公の、ラストシーンでの本当に幸せそうな一言にグッと来た。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 マイク・リー

 

出演 ブレンダ・ブレッシン/ティモシー・スポール/マリアンヌ・ジャン=バプティスト/クレア・ラッシュブルック
 

秘密と嘘 ニューマスター版 [DVD]

秘密と嘘 ニューマスター版 [DVD]

  • 発売日: 2010/04/23
  • メディア: DVD
 

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「始皇帝暗殺」 1998

始皇帝暗殺 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 紀元前3世紀・戦国時代の中国。自身への暗殺を企てさせ、燕国に攻め入る口実を作ろうと、幼馴染の女性を送り込んだのちの秦の始皇帝・政。

 

感想

 ごりごりのCGをふんだんに使って、テカテカの映像を見せつけがちの昨今の中国映画に辟易していた自分にとっては、この20年前の人海戦術でアナログに作り上げた少々粗い画質の大作は、泥臭さを感じてグッとくるものがあった。この感じをデジタルで出すのは大変そうだ。最近のスターウォーズはそれに近いものが出来ていると思うが。

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 のちの秦の始皇帝が、怒り方だったり幼馴染の女性に会う時だったりに、とても子供っぽい行動をするのが意外だった。中国を統一した人物だからもっと堂々としたつけいる隙のないような男だろうと勝手にイメージしてしまうが、きっと最初からそんな男だったわけではない、という事なのだろう。数々の修羅場をくぐり抜け、様々な経験を通して次第に風格を身につけていったはずだ。映画でもそんな風に少しずつ変化していく始皇帝の姿が描かれている。

 

 さらには幼少期に人質として暮らした屈辱と根強い恨み、身勝手な母親の行動に対する複雑な思い、自分の出自に関する疑念など、始皇帝の人柄を浮かび上がらせるような様々なドラマが描かれていて、見ごたえがある。ただ鑑賞中に、時間と共に徐々に一点に集中していく最大の関心事は、これいつ終わるの?という事。途中からは、たびたび残り時間を見ては、え、まだ1時間以上もあるの?とため息をついていた。心が折れそうになるくらい長い。166分。

 

 

 ただ、映像もストーリーもしっかりとしていて、つまらないというわけではないので、きっと問題は「キングダム」程度の歴史知識しか持ち合わせていない自分にあるのだろう。暗殺を描くだけだったら反乱だったり、出自の話はいらないのではと思ってしまったが、これらは史実に基づいた話。

キングダム 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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  • 作者:原泰久
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: Kindle版
 

 

 この始皇帝に関する様々な話は、中国では常識のようなので、中国人やこの辺りに詳しい人の中には、これでも十分に描けていない、時間が足りないと思う人がいるのかもしれない。きっと大河ドラマと同じように、歴史に詳しければ詳しいほど楽しめる映画なのだろう。あのエピソードをそういう解釈で描くのか、とニヤリとしたりして。

 

 実際に、あとで映画の中の人物や出来事を調べてみたら、確かになかなか面白くて、興味が出てきた。「傍若無人」の語源は、この映画で出てくる暗殺者「荊軻」から来ているとか、始皇帝の母親の話とか。

傍若無人 - Wikipedia

 

 もうちょっと中国の歴史に詳しくなってから見ると、また感想も変わりそうだ。ただ最後の暗殺シーンは、暗殺の名手とか言ってたくせにしょぼすぎて残念だった。これまた史実通りなのかもしれないが、ハードルを上げ過ぎた感はある。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/出演 チェン・カイコー

 

出演 コン・リー/チャン・フォンイー/リー・シュエチエン

 

始皇帝暗殺 [DVD]

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  • 発売日: 2009/11/20
  • メディア: DVD
 

始皇帝暗殺 - Wikipedia

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登場する人物

始皇帝/荊軻/燕丹/樊於期/嫪毐/呂不韋/趙姫/高漸離/秦舞陽

 

 

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「荒鷲の要塞」 1968

荒鷲の要塞(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 第2次大戦中のヨーロッパ。ドイツ軍の捕虜となった大規模作戦の米軍司令官を救出するために、雪山の要塞に侵入することとなった米英混成部隊。

 

感想

 クリント・イーストウッドが主演かと思って観ていたのだが、実際はリチャード・バートンが主演だった。なかなかクリント・イーストウッドが前面に出てこないので、あれ?と訝しんでしまった。そして、リチャード・バートン演じる主人公の不審な行動を、怪しい目で見てしまっていた。

 

 序盤はそんな勘違いのせいもあって、なんとなく要領を得ない進行が続く。チームで敵地に乗り込むのだから、紹介も兼ねてそれぞれのメンバーの描写をすればいいのにやらないし、主人公はコソコソと何やらやってるし、クリント・イーストウッドは目立たないし。

 

 

 ただ、そんなリズムに乗り切れない展開も、主人公たちがロープウェイに乗って敵の城塞に乗り込む頃には解消されて、テンポが出てくる。主演がクリント・イーストウッドではないことを理解し始め、なぜ他のメンバーを紹介しなかったのかも分かって、見ている側の心の整理が出来たというのもあるが、いよいよ乗り込むぞという実感が湧いてきたことが大きい。そういう意味で、絶景の雪山の中をロープウェイの屋根に乗って進む二人の姿は、よいトリガーとなるインパクトのあるシーンだった。

中世ヨーロッパの城塞

中世ヨーロッパの城塞

 

 

 城塞の中では、先に侵入していた味方の女性の手引きもあって、かなり順調に物事は進む。しかし、ドイツ軍の中に侵入したのに、基本的に英語でやり取りする演出に、英語圏やドイツ語圏の人たちは違和感を感じないのだろうか。リアリティを求めて全てドイツ語でやってしまうと、字幕だらけになって観客に嫌われるのだろうが。

 

 でもこの演出だと、ドイツ兵に扮しているのにドイツ語を喋らなくて済むなら、そんなに大変じゃないかもと思ってしまう。変なアクセントのドイツ語を喋ったり、とっさに英語が出てしまって敵に怪しまれる恐れはない。彼らが敵地で順調に見えたのは、そんな緊張感が無かったからかもしれない。

 

 映画の中では、爆弾とロープが大活躍。何かあれば爆弾を仕掛け、高低差があればロープを活用。律義にロープを回収する姿にちょっと笑ってしまったが、これはこれで分かり易くていい。ロープで上り下りする姿はスリルがあるし、爆破シーンは気持ちが良い。意外と満足できてしまう。

 

 敵の本陣にたどり着いての、密室劇的なやり取りも見ごたえがあった。何となく裏切り者がいる事は分かっていたのだが、誰か一人だけだと思っていたので意表を突かれてしまった。しかしよく考えると、スパイを炙り出すためだけに、これだけのリスキーな作戦を実行したのかと一瞬疑念を持ってしまったが、敵に情報が筒抜けとなり、誰が裏切り者かと疑心暗鬼になって消耗してしまうことを考えたら、充分に費用対効果はあるのだろう。

 

 古い映画なので、もっさりと間延びしたように感じるシーンがないわけでもないが、アクションやサスペンスの要素が詰まって楽しめる映画だった。最後の脱出シーンも、来た時に仕掛けられていた伏線を回収し、豪快に突き進んで行く爽快感があった。ただ、ほぼ主人公が見せ場を独占していて、クリント・イーストウッドはその補佐や後始末をするばかり。二時間半もある映画なんだから、一つくらい彼にもカッコいいところを見せるチャンスを上げて欲しかった。

 

スタッフ/キャスト

監督 ブライアン・G・ハットン


脚本 アリステア・マクリーン

 

出演 リチャード・バートン

bookcites.hatenadiary.comメアリー・ユーア/イングリッド・ピット/マイケル・ホーダーン/アントン・ディフリング/ダーレン・ネスビット

 

荒鷲の要塞(字幕版)

荒鷲の要塞(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

荒鷲の要塞 - Wikipedia

 

 

関連する作品

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