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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「燃ゆるとき」 2006

燃ゆるとき

★★☆☆☆

 

あらすじ

 アメリカでの売り上げを増加させるために、現地法人に赴任することになったカップ麺会社の営業社員。

 

感想

 現地でのカップ麺のシェアを伸ばす使命を与えられてアメリカにやってきた主人公。味の改良やコスト削減、そのための取引先との交渉や社内での調整など、主人公たちが目標に向かって努力する様子がプロジェクトⅩ風に描かれていて、前半は面白い。そして無性にカップラーメンが食べたくなってくる。

 

 ただ後半は、会社の経営権を奪おうとする投資会社に対抗する話がメインになってくる。これが会社経営のリアルなのかもしれないが、要するにただの守りの話でしかないので、正直あまり面白くない。それに守り切った後に反転して攻撃に出るような話でもないのでカタルシスも得られない。

 

 それから後半になるにつれて段々と気になってくるのは、何かといえばアメリカをけなし、それに比べて日本はすごいとマウントを取ろうとする姿勢。きっとこの映画は「日本すごい」ブームの一環として作られたのだろう。必要以上にアメリカを邪悪に描いてしまっているような気がする。とはいえそこまでして「日本すごい」と持ち上げようとしているのは、努力と根性と浪花節。あまりのしょうもなさに脱力してしまう。クライマックスの主人公のスピーチは、なんだそれ?と思ってしまうような内容で寒々しかった。

 

 

 映画の公開当時はこの「日本企業すごい」に人々は心癒されていたのか、それとも懐かしんでいたのかよく分からないが、今だと、もはや時代劇でも見ているかのような気分。そして前半にはあんなに食べたい気分になっていたカップラーメンの事も、エンディングを迎える頃にはすっかり忘れてしまっていた。

 

スタッフ/キャスト

監督 細野辰興

 

原作 燃ゆるとき (角川文庫)新・燃ゆるとき ザ エクセレント カンパニー (角川文庫)

 

出演

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大塚寧々/長谷川初範/中村育二/伊武雅刀/鹿賀丈史/ジョン・ギブソン/木下ほうか/奈良橋陽子/矢島健一/ピーター・ケント

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音楽 川崎真弘

 

燃ゆるとき

燃ゆるとき

  • 中井貴一
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「プッシャー3」 2005

プッシャー3 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 娘の誕生パーティの料理を作りながら、仕事を任せた男が戻って来ないことに焦る麻薬密売組織のボス。

 

感想

 今回はシリーズ第一作目で主人公を追い詰めていった麻薬密売組織のボスが主人公。しかも、今回は彼自身が第一作目の主人公のような立場になってしまうという皮肉な展開。仕事を任せた男が帰って来ず、仕入れの支払いが出来ずに追い詰められていく。しかし、デンマークの裏社会の事情は全然知らないのだが、巨大な非合法組織があるわけではなく、小規模の集団が群雄割拠しているという事なのだろうか。主人公はボスとはいいながら、取り巻きは少なくちゃんとした組織もないようなので、日本の暴力団とは随分とイメージが違う。

 

 映画は、主人公の娘の25歳の誕生パーティーが開かれる一日に起きた出来事が描かれていく。娘にパーティの料理を頼まれた主人公は、厨房で料理を作りながら部下らに裏社会の仕事の指示を出している。それにしても主人公は料理が好きな設定のくせに、料理をする様子がまるでやる気のないバイトのようで、全然楽しそうじゃないのが面白い。しかも決して上手いわけでもないようで、部下を食中毒にさせてしまったりもしている。だからそんな主人公にパーティーの料理を頼む娘の神経がよく分からなかった。

 

 

 そしてこの娘がなかなかタチが悪い。父親から十分すぎるほどに愛され、この日もわざわざ料理を作ってもらい、豪華なプレゼントまでもらって幸せそうにしていたのに、自分の恋人のために突然父親の仕事に口をはさみ、無茶な交渉を始めるというえげつなさ。父親は娘のほしいものなら何でも買ってやると言ってくれているのだから、何もそんな父親の仕事の邪魔をするような口出しはしなければいいのにと思ってしまうのだが、そんな風に育てられてしまったのだから仕方がないのか。

 

 だが主人公にしてみれば、大量の料理を作るだけでも忙しいのに、仕事で自分の立場が危うくなるようなトラブルが発生し、その上、愛する娘に脅迫まがいの交渉までされてしまっては、耐えきれないほどのストレスがたまってしまうのも無理はない。そんな状況で、パーティの来賓たちに愛想よく振舞わなければいけないというのはつらかっただろう。我慢できずに、止めていたドラッグに再び手を出してしまったのも分からないでもない。

 

 そしてラストは、第一作でも登場した主人公の元部下が登場し、かなりのおぞましい光景が繰り広げられる。しかしグロテスクな場面のはずなのに、この元部下があまりにもテキパキとありふれた日常かのように仕事をこなしていくので、そのギャップについつい笑ってしまいそうになる。最後はなんだか彼にすべてを持っていかれてしまったような気分。このシリーズは彼のための物語だったのではないかというくらい、彼が頼もしくカッコ良く見えてくる。ちゃんと第一作で語っていた夢を有言実行で実現させているし、最悪の環境でも決して希望がまったくないわけではない、ということを教えてくれている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ニコラス・ウィンディング・レフン

 

出演 ズラッコ・ブリッチ/アイヤス・アガク/マリネラ・デキク/クジム・ロキ
スタッフ

 

プッシャー3 (字幕版)

プッシャー3 (字幕版)

  • ズラッコ・ブリッチ
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「50回目のファーストキス」 2018

50回目のファーストキス

★★★★☆

 

あらすじ

 事故の後遺症で一晩経つとその日の記憶がリセットされてしまう記憶障害の女性に恋をしてしまった男。2004年のアメリカ映画「50回目のファースト・キス」のリメイク作品。

 

感想

 一晩経てばその日起きた事をすべて忘れてしまう女性。主人公は彼女に何度もアタックしながらも、翌日には初対面のような対応をされてしまう日々が続く。このあたりはよく考えると切ないことなのだが、そうは感じさせないコミカルさで描かれていく。この監督特有の細かいギャグを入れていく手法がやり過ぎでなく控えめなのと、舞台が海外のせいもあるのか、それほど鼻につかず悪くないラブコメディになっている。

 

 しかし、見ていてつくづく思うのはこの短期記憶障害という障害の大変さ。毎朝自身の置かれた状況に驚かないといけない本人も大変だし、それに対応しなければいけない周囲も大変だ。長澤まさみ演じる女の家族のように、彼女に合わせる対応の仕方もあるのだろうが、それではいつか絶対に無理が生じる。実際にそんな障害を持つ人たちはどのようにこういった問題に対処しているのだろうかと気になった。

 

 

 ハワイが舞台となった物語。最初はなんでわざわざハワイでやるのだろうと疑問に思ったのだが、それなりに理にかなった理由が用意されていてそれには納得した。二人の付き合いが順調になった中盤以降は、ハワイの美しい風景が際立つようなシーンが多い。ただ妙に光の量が多すぎるのが気になった。終盤の大事なクライマックスでは、長澤まさみの顔に光が強く当たり過ぎて、まるで長澤まさみじゃないみたいになっていた。神秘的な雰囲気を出したかったのだろうか。

 

 ラストは、悪くないハッピーエンドだとは思ったが、中盤で主人公が危惧していた彼女との付き合いで生じるであろう様々な障害をどのようにクリアしたかについては、なんだか雰囲気で誤魔化されてしまったような気がしないでもない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 福田雄一

 

原案 50回目のファースト・キス (字幕版)


出演

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長澤まさみ/ムロツヨシ/勝矢/太賀/山崎紘菜/大和田伸也/佐藤二朗

 

音楽 瀬川英史

 

50回目のファースト・キス - Wikipedia

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「プッシャー2」 2004

プッシャー2 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 出所したばかりの男は、ギャングの父の下で働き始める。

 

感想

 前作で主人公の相棒だったマッツ・ミケルセン演じる男が今回の主人公。前作は借金の返済に追われ、追い詰めらて行く男の姿がただ描かれるだけだったが、今回はもう少し複雑な状況が描かれていて、先が読めない面白さがある。それから前作で登場したボスも、かなり体格が変わってしまっているが、今回も少しだけ登場している。

 

 とりあえず、ほとんどの登場人物たちがドラッグ漬けになっているのが面白い。各シーンで、まずは何はともあれドラッグとでもいうように、ほぼ必ずドラッグを使用するシーンから始まる。君たちはドラッグがないと動けないのか、と説教したくなるが、多分、そうでもしないとやっていられないという側面もあって、ある意味では正解と言えるのかもしれない。。それから売春宿が身近な存在だという事も感じられる。デンマークはそんな国なのかと思ってしまいそうだが、ただ主人公らがそんな環境で暮らしているというだけのことなのだろう。

 

 

 出所したばかりの主人公は、知らないうちに自分の子供が生まれていた事もあり、そんな環境で暮らし続けていいのだろうかと考えるようになる。とはいえ、真面目に働こうと始めた仕事が、父親の裏社会の仕事の手伝いだったりするあたりが、いかに抜け出すことが難しい過酷な環境にいるのかを物語っている。それに、このままじゃいけないよなと考えながら、ドラッグをやったりもしている。きっと多くのギャングたちはこうやって薄っすらとした危機感を抱えながらも、惰性でそのままずるずると裏社会の住人として生きていくのだろう。

 

 父親との関係、母親の物悲しい人生、そして自身の現在の状況を考えると、自分の子供の将来に暗澹たるものを感じてしまい、思い詰めていく主人公。赤ちゃんのおむつを初めて替えるシーンは微笑ましかったが、赤ちゃんを前にすると途端に優しい顔になる主人公が印象的だった。ラストは一応ハッピーエンドと言えるのかもしれないが、その後、彼らが本当に幸せに暮らしたかといえば厳しい見方をせざるを得ず、重苦しい気分にもなる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ニコラス・ウィンディング・レフン

 

出演 マッツ・ミケルセン/リーフ・シルベスター・ペーターゼン/ズラッコ・ブリッチ/アンネ・ソレンセン/オイヴィンド・ハーゲン・トラバーグ

 

プッシャー2 (字幕版)

プッシャー2 (字幕版)

  • マッツ・ミケルセン
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「くりいむレモン」 2004

くりいむレモン スペシャルエディション [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 親同士の結婚により義理の兄妹として同居する男女。

 

感想

 一つ屋根の下で暮らす義理の兄妹が、両親の不在中に距離を縮める物語。互いに意識しながらも、なんとか距離を保とうとする二人の微妙な関係を描く前半は悪くない。両親の代わりに妹の三者面談に参加した兄と教師の掛け合いも面白かった。

 

 そして二人が風邪をひいてしまい、熱に浮かされて一線を越えてしまうというプロットもよく出来ている。普段は理性を保てても、体が弱ってしまうと心のたがが外れてしまいがちだ。その後は、いわゆるその手の作品のような描写が続くだけかと思いきや、ちゃんとその後もドラマは続く。病と同じで二人の関係もピークを過ぎれば落ち着いてくる。そして戻ってくるのは理性。

 

 

 しかし、この二人の関係にはどういう問題があるのか、整理しないと混乱してしまいそうになる。血のつながりはないのだから道徳的や遺伝的には問題ないはずだが、義理の兄妹ではあるので法的には問題があるという事か。とはいえ、そんなに罪悪感を感じるようなタブーを犯しているとは思えないのだが、世間体が気になるといったところだろうか。きっと事情を説明すれば皆が普通に理解してくれると思うのだが、ちゃんとその説明を聞いてくれるとは限らない。二人が兄妹だと聞いた途端に、話を最後まで聞かずに勝手にストーリーをこしらえて、スキャンダルとして騒いでしまう人がほとんどだろう。

 

 そんな世間を相手にどうやって生きていけばいいのか、現実の厳しさが二人の前に立ちはだかる。こうなってくると、心中のような古臭いやり方ではない方法で物語を終わらせるのは難しそうだが、最後はいろんな意味で逃げてしまったのかな、という気がしないでもない。そんなに悪くはない映画だと思うが、テーマ的なもののせいもあって、たっぷり取られた間が若干しんどく感じる時もあった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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脚本 向井康介

 

出演 村石千春/水橋研二/根岸季衣/大鷹明良/山本浩司/小沢和義

 

くりいむレモン - Wikipedia

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「プッシャー」 1996

プッシャー (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 麻薬取引をしくじり、大金を借りていたボスから返済を迫られる密売人。デンマーク映画。

 

感想

 大口の麻薬取引に失敗した主人公が、大金の貸しがあるボスから返済を迫られ、金策に追われる物語。特に大きな展開もなく、一発大逆転もなく、ただただじわじわと窮地に立たされていく姿を撮り続けただけともいえる映画で、ときおり映像や音楽におっと思わせるシーンはあるものの、今だとあまりグッとくる感じはあまりないのだが、当時なら新鮮に感じたとしても納得できる。ちなみに10年ぐらい前の作品かと思っていたが、思っていたよりも全然古い96年の映画だった。

 

 デンマーク映画だがその他の言語も飛び交っていて、登場人物たちの関係性がいまいち良く分からなかったのだが、小さな国なのでヨーロッパ大陸の人間達がうろうろしているという事か。ちなみにボスはセルビア系の人物だったようだ。それから主人公の相棒役は、これがデビューのマッツ・ミケルセン。全然気づかず後で知った。キレイな回し蹴りを披露している。

 

 

 主人公と相棒は終始馬鹿話をしているし、ボスはデザート作りが大好きだしと、裏社会の彼らも普通の顔を持っていて、何も常日頃から極悪人の顔をして悪い事をしてばかりいるわけではないということがよく分かる。主人公が、この後の仕事をしくじったら自分を殺そうとするかもしれないボスの相棒と、のんきに将来の夢を語り合っている姿は印象的だった。やっている仕事内容を別にすれば、普通の仕事仲間のおしゃべりと変わらない。

 

 ラストはそこで終わるのか、という軽い驚きがあったが、彼女だってただ物語の飾りとして存在しているわけではなく、ちゃんと感情を持った自らの人生を生きる一人の人間なのだということだろう。皆がそれぞれの思惑を持って動いているからこそ、色々なドラマが生まれるのだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 ニコラス・ウィンディング・レフン

 

出演 キム・ボドゥニア/マッツ・ミケルセン

 

プッシャー (字幕版)

プッシャー (字幕版)

  • キム・ボドゥニア
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プッシャー (1996年の映画) - Wikipedia

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「喜劇急行列車」 1967

喜劇急行列車

★★★☆☆

 

あらすじ

 東京発長崎行きや鹿児島行きの寝台特急列車で車掌を務める男。「列車シリーズ」第1作。

 

感想

 寝台特急の車掌の仕事を紹介しつつ、列車内を中心に起きる様々な出来事をコミカルに描いた喜劇。主演の車掌を演じる渥美清がまるで寅さんのようだが、ここでの彼はちゃんと結婚し子供もいて浮世離れはしておらず、善良なる庶民の代表のようなキャラクターだ。車内で起きるちょっとした事件にあたふたしながらも、誠実に対応しようとする人情味あふれる姿に思わず笑いがこぼれる。

 

 そしてマドンナ的存在として登場する佐久間良子が美しい。昔の映画の方が女優の美しさにハッとすることが多いような気がするが、これは当時のかっちりとしたキメキメのファッションが影響しているような気がする。美しい顔が前提のスタイルだからそういう人は際立つし、そうじゃない人にとってはそうじゃないことが際立ってしまい、両者の落差はより大きくなる。現在のラフなスタイルは、そうじゃない人もそれなりに見えてしまうようになっているので、逆に本当の美人には不利な状況なのかもしれない。そう考えると、今のファッションは誰もがそれなりに楽しめるように発展してきたともいえる。資本主義、大量消費社会が庶民にもたらした幸福の一つといえるのかもしれない。

 

 

 主人公が子供に「特急」「ふじ」「つばめ」「さくら」と、鉄道にちなんだ名前を付けているのは面白かったが、普通に子供が4人もいるのだなというちょっとした驚きもあった。でもこれくらい子供がいないと人口は増えないわけで、だとすると今の日本の人口減少問題がどれだけ深刻な事なのかがよくわかる。あちこちに当たり前のように子供4人を引き連れて歩く家族がいる社会なんて全然想像できない。いまだと子供が3人いると聞いただけでも子だくさんだなと思ってしまうというのに。

 

 そんな古き良き時代の日本社会が垣間見られる映画。これから発展しようとしている日本各地の風景が車窓から見られて、それだけでなんだか感慨深いものがある。古い列車車両や鉄道施設も登場するので鉄道好きはそれだけでも十分に楽しめるはずだ。大きなストーリーがあるわけではなく、いくつかのエピソードをつなげただけのような映画だがそれなりに笑えて、気楽に観るにはちょうど良いコメディ映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督 瀬川昌治

 

出演

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佐久間良子/鈴木やすし/大原麗子/関敬六/Wけんじ/三遊亭歌奴/西村晃/小沢昭一/江原真二郎/楠トシエ/岡崎二朗/左卜全/小林稔侍

 

音楽 木下忠司

 

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次作 シリーズ第2作目

 

 

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「ダーティファイター」 1978

ダーティファイター(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 姿を消した恋人のカントリー歌手を追って、友人やペットのオランウータンと共に車で出発したストリートファイター。原題は「Every Which Way But Loose」。

 

感想

 トラック運転手でストリートファイターの主人公が、カントリー歌手の女性と知り合って付き合い始める前半は、盛り上がるに欠ける展開が続く。コメディ映画なのだが、いまいちギャグが分かりづらくて戸惑ってしまう。きっとたくさんの笑いどころを見逃してしまっているような気がする。

 

 主人公は警官やバイカーたちと町でいくつかのトラブルを起こし、後に恨まれて追われることになる。主人公が一方的に迷惑を被っているようなイメージだが、実際のところはそうでもない。勝手に相手の食べ物を食べたり、ぶつかったのに謝らなかったりと主人公に非がある場合もあるのだが、相手が怒ってくると問答無用でぶちのめしたりする。こういう事も素直に笑えない要因になっていると思うのだが、要は主人公もそれなりに悪いヤツでどっちもどっちということだ。これは当時の「男らしさ」を表しているのか、それともそれをギャグとしてやっているのか、今では判断しづらいところだ。

 

 

 ただ後半になり、主人公たちが姿を消した恋人を追って出発してからは、映画の調子にも慣れてきたせいか、段々と面白くなってきた。追ってきた警官やバイカーとの対決も、ろくでもないやつら同士の戦いだと思って眺めていると、なんだかくだらなくて笑えてくる。しかし、この映画ではバイクに恨みでもあるのかというくらい、バイクを破壊しまくっていて、何台廃車にしたのか気になってしまった。それからペットのオランウータンを使ったコミカルシーンもいくつかあってそりなりに面白いが、動物映画と呼べてしまうほどには使い倒していないのが個人的には好感が持てる。

 

 こういうコメディは、恋人とのハッピーエンドで上手くまとめて終わらせてしまいがちだが、そうはしなかったところが徹底していて良い印象を受けた。打ちのめされてとぼとぼと帰路につくバイカーや警官の哀愁のある表情や、その脇を通り過ぎる同じように何も収穫がなかったのになぜか晴れやかな主人公たちの表情は、なんとも言えず味わい深く、いい余韻に浸れる。尻上がりに良くなっていく映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジェームズ・ファーゴ

 

出演

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ソンドラ・ロック/ジェフリー・ルイス/ルース・ゴードン/ビヴァリー・ダンジェロ/グレゴリー・ウォルコット

 

ダーティファイター(字幕版)

ダーティファイター(字幕版)

  • クリント・イーストウッド
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「無宿人別帳」 1963

無宿人別帳

★★★☆☆

 

あらすじ

  罪人として佐渡金山に送られた男たちは、ある日脱走を企てる。

 

感想

 佐渡金山に送られ、人間扱いされずに働かされる男たちの物語。罪人たちだけあって色々と個性的な面々なのだが、どのキャラも大してちゃんと描かれていないのが残念だった。佐田啓二演じる主人公ですら、いまいちそのバックグラウンドがよく分からない。思いやりのある人情派の年長者や威勢はいいがいざとなると尻込みしてしまう若い男など、ドラマや映画でこんなタイプのキャラクターを見た事があるでしょ?察してよ、と観客に描写不足を補ってもらおうとし過ぎてしまっている印象だ。

 

 彼らは皆、島流しになる程の悪人たちなので、互いにバチバチにやり合うのかと思いきや、案外と手を取り合って仲良く協力し合っていたのが微笑ましかった。仕事中は助け合うし、終われば雑談したり博打をしたり。けが人がいればちゃんと面倒も見てやっていて、まるで工事現場の飯場のような雰囲気だ。皆そんな風に出来るなら、悪事なんか働かないで最初からそうしていれば良かったのにと思ってしまったが、きっと彼らはそれを続けることが出来ないのだろう。勤勉に働いていたとしても、ある時甘い誘惑に負けてしまったり、ふと魔がさして悪事に手を出してしまう。

 

 

 キャラクターの描き方が中途半端なのと同様に、ストーリーにも中途半端さが目立つ。主人公とかつての恋人との物語も、金山運営に関する不正を暴く物語も、しっかりと描かれることなく進んでいってしまう。島抜けする罪人たちのリーダー格を演じる三國連太郎の、人間の本性をさらけ出すようなねちっこい演技や、抜け目なく立ち回って立身出世を画策する奉行所役人を演じる長門裕之の野心的で飄々とした振る舞いなどは見ごたえがあって何とか物語を引っ張っていくのだが、肝心の彼ら自身の物語も煮え切らないものなので、結局は物足りなさが残ってしまう。

 

 最後も、苦労してなんとか島を脱出できる状況までたどり着いたのに、それまでの苦労をすべて水の泡にしてしまうような、それでいて物語としては割とベタな展開になってしまって納得がいかない。罪人だからといって人間扱いしないのは間違っている、というようなヒューマンドラマにしたかったような意図を映画に感じたが、それなら島を脱出して、どこかで平和に暮らすほうがよほどヒューマニズム溢れるような気がする。死を覚悟した時点でなんか違うなと思ってしまった。特攻隊じゃないのだから。

 

スタッフ/キャスト

監督 井上和男

 

脚本 小国英雄

 

原作 佐渡流人行 (角川文庫)無宿人別帳 (文春文庫)

 

出演

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岡田茉莉子/田村高廣/長門裕之/三國連太郎/宮口精二/伴淳三郎/左幸子/三上真一郎/西村晃

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無宿人別帳

無宿人別帳

  • 佐田啓二
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「ズーランダー」 2001

ズーランダー (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 ファッション業界に打撃を与えかねない政策を行うマレーシアの首相を暗殺するために、殺し屋に仕立てられてしまったファッションモデル。

 

感想

 ファッションモデルは、体格はいいが頭は空っぽなので、洗脳すればいい殺し屋になるとか、ひど過ぎる言い草で笑ってしまう。モデルの頭の悪さを強調するようなギャグがたくさん出てきて面白かった。中でもパソコンの電源のつけ方が分からなくて、アップルの林檎のロゴマークを執拗に押すシーンは爆笑してしまった。

 

  この映画はコテコテのギャグを押し付けてくるのではなく、生真面目な雰囲気で面白いことをやったり、くだらないことを真剣にやり切ったりと、日本人の感覚に合いそうな笑いが散りばめられていて、ドン引きさせられることはほとんどない。ずっと半笑いで観ていられるような映画で楽しかった。

 

 

 そして主人公を殺し屋に洗脳するシーンも面白かったのだが、その中で児童虐待につながる未成年者の労働を規制する政策について、働きたい子供だっているのにその権利を奪うなんてひどい、とアクロバティックに非難する場面があり、ちょっと素直に笑えないものがあった。最近こういう詭弁を弄する人が多いし、それにコロッと騙されてしまう人も思いのほか多いので複雑な気分になる。本来は、トンデモな主張してるよ、と軽く笑って済ませるだけのシーンのはずなのだが。

 

 デヴィッド・ボウイから後に大統領となるドナルド・トランプまで、豪華な有名人達がたくさんカメオ出演しているのも見どころの一つ。ボーッとしていると見逃してしまうほどだ。そして、ファッション業界をおちょくる映画なのに、トム・フォードやジャンニ・ヴェルサーチなどのデザイナーやモデルといった業界の人間たちがたくさんカメオ出演しているのも興味深い。彼らは映画の内容を理解した上で面白がって出ているのだろうか。

 

 80年代の楽曲を中心とした劇中の音楽も良くて、よく出来たコメディ映画として十分に楽しめる作品。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案/製作/出演 ベン・スティラー

 

製作 スチュアート・コーンフェルド/スコット・ルーディン

 

出演 オーウェン・ウィルソン/クリスティン・テイラー/ウィル・フェレル/ミラ・ジョヴォヴィッチ/ジェリー・スティラー/デイヴィッド・ドゥカヴニー/ジョン・ヴォイト/ヴィンス・ヴォーン/ジュダ・フリードランダー/アレクサンダー・スカルスガルド/ジャスティン・セロー


音楽    デヴィッド・アーノルド

 

ズーランダー (字幕版)

ズーランダー (字幕版)

  • ベン・スティラー
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続編

 

 

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「ザ・レイプ 」 1982

ザ・レイプ [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 帰宅途中に暴行されてしまった女性は、加害者を刑事告訴し裁判を行う決意をする。 

 

感想

 オブラートに包まないド直球のタイトル。これだといわゆる成人向け映画なのかと勘違いしてしまいそうだが、暴行被害に遭った女性が立ち直っていく姿を描いたシリアスな物語。しかし当時、老若男女が映画館窓口で「ザ・レイプ。大人2枚。」とか言いながらチケットを買っていたのかと想像すると昭和すごいな、と胸が熱くなる。今でも変なタイトルの映画がないわけではないが。

 

 まず主人公への暴行事件が、恋人と過ごした後に起きるというのが、その落差の大きさを見せつけられて辛い。そのあとすぐに警察を呼んだり事情聴取される気になんてなれない事がよく理解できる。そして、あんなにはつらつとしていた主人公が事件直後は聞き取れないくらいの小声となって人を寄せ付けない空気を出し、さらにその翌日になると今度は打って変わって不安で色んな人に電話をかける姿は、彼女の心情をよく表現しているように感じられた。事件に動じていなかったのではなく、ショックで感情が停止していたのだ。

 

 

 そんな彼女に対する風間杜夫演じる恋人のリアクションが色々おかしいのがとても気になった。自分の部屋から帰った恋人の様子がおかしいからと心配になり、そのまま彼女の部屋に向かうくらいなので、普通に思いやりのある人間なのだろうとは思うだが、彼女の身に起きた事を知っても思いのほか淡白だったのが驚いた。通報するか確認もしないし、病院に行くかとも尋ねない。犯人が分かっているのに、犯人に対する憤りなどの感情もゼロで、ただただ事故にでもあったと思って忘れろというばかり。そして事件の翌日には本当に事故にあっただけとでもいうように、普通に彼女と接しようとする姿は、コイツ鬼かと思ってしまった。ひどい。

 

 その後、恋人以外にも事実を知った人たちの彼女への接し方が描かれていくのだが、色々と見ているうちに段々と何が正解なのか分からなくなってきている自分がいた。彼女を思いやった上での言動だったとしても、本人にどう響くのかは分からないから難しい。

 

 そして、泣き寝入りせず警察に届け出て裁判をすることにした主人公。予想どおり裁判では辛い思いをすることになる。彼女に執拗に不快な質問を浴びせかける弁護士役の人が、妙にリアルで嫌な感じだったが、この人は本物の弁護士らしい。

 

 この裁判は、加害者がどう弁明すればいいのかの参考になってしまいそうな内容でどうなのだろうかと思わなくもないが、実際の裁判でもこういう嫌な光景が日常的に見られるという事なのだろう。被害にあった上にさらに自分の過去までほじくり返され、あることないこと言われるのはたまらない。まさにセカンドレイプだ。

 

 裁判の様子を描きながらも、途中から主人公がこの事件を乗り越えていく姿を描くことに物語の重心が移っていく。映画が重苦しくなりすぎるのを避けたともいえるし、事件を軽く扱い過ぎだと非難することも出来て、ここは評価は分かれそうだ。個人的には、裁判の結果を敢えて見せない事から考えても、この映画を観てもあまり女性が勇気づけられることはないような気がしてしまった。

 

 ただこの主人公を演じた田中裕子の演技は素晴らしかった。特に最後の、恋人が彼なりの総括の言葉を述べた後、何か言いたげながらもグッと飲み込んだ後の表情が良かった。言ったところでどうせわかってもらえないんだろうなという諦念と、だとしてもそれにとらわれることなく自分は自分らしく生きていく、という決意のようなものが感じられた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 東陽一

 

原作 ザ・レイプ

 

出演 田中裕子/風間杜夫/伊藤敏八/後藤孝典/長谷川初範/加賀まりこ/渚まゆみ

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音楽 田中未知

 

ザ・レイプ (1982年の映画) - Wikipedia

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「セットアップ」 2012

セットアップ(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ダイヤ強奪に成功するも仲間に裏切られた男は復讐を誓う。

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感想

 この手のものにはよくありがちだが、ブルース・ウィリスが主演のように思わせておいて、実際は50セントが主役の映画だ。50セントはラッパーとしてはめちゃくちゃヤバい奴みたいな空気感があるのに、こうやって映画に出るときは内気な青年みたいに見えてしまうのが不思議だ。ラッパーとしての見せ方が上手いとも、役者として上手くないともいえる。

The Massacre

The Massacre

  • アーティスト:50 Cent
  • Interscope Records
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 幼馴染の仲間に裏切られた男が復讐に立ち上がる物語だ。ただこの主人公らの実力がいまいち良く分からないままに物語が進んでしまって若干戸惑う。不良に毛が生えた程度のチンピラグループかと思っていたら、両者ともそれなりに度胸があるし、それなりのステータスも手に入れているようだ。

 

 そんな彼らの戦いに大物マフィアらの思惑も絡んで事態は複雑化していく。それぞれのシークエンスやシーンにはなかなか良いものが多く、特に主人公がマフィアの見張り役と共にクスリの売人の家を訪れた一連のシーンはグッと来た。予想もしていなかったような出来事が突然起きる。そこに至るまでの奇妙な間で展開するシーンも良い。その後の後始末も含めてどこかコミカルで「パルプ・フィクション」ぽさがあった。

 

 ただストーリー全体で見ると不可解な事が多くてどうもパッとしない。やりたいシーンはたくさんあってそれ自体は上手くやれているのだが、シーンとシーンを上手くつなぐことが出来なかった印象だ。発端となったダイヤ強奪事件の全体像が分かってくると、ライアン・フィリップ演じる敵役はわざわざ仲間を誘ってそして裏切らなくても、そもそも一人で出来た仕事なのでは?と思ってしまった。幼馴染なんだから理由を話せば全然理解してくれたはずだろう。

 

 ちなみにマフィアのボスを演じるブルース・ウィリスは、思わせぶりな大物感を漂わせつつ、そんなやり方でよく大物になれたなと呆れてしまうような軽率な行動で呆気なく退場してしまう。

 

 

 不満は多いのだが、見どころは多い映画。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 マイク・ガンサー

 

製作/出演 カーティス・ジャクソン(50セント)

 

出演 ブルース・ウィリス/ライアン・フィリップ/ジェナ・ディーワン/ランディ・クートゥア/ジェームズ・レマー/ショーン・トーブ

 

セットアップ(字幕版)

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  • カーティス"50セント"ジャクソン
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「祝宴!シェフ」 2013

祝宴!シェフ(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 売れないモデルをしていた伝説的宴席料理人の娘は、多額の借金を抱えてしまい、賞金目当てで母親らと共に料理コンクールに参加する。台湾映画。145分。

 

感想

 伝説的な宴席料理人の娘でありながらモデルの世界に憧れていた主人公が、借金返済のために料理コンクールに参加するという物語。序盤から特に料理が上手いという描写はなかったが、料理人の娘なのだから主人公が料理が上手いのは当然というわけなのか。でもだからといって特訓するでも修行するでもなく、いきなり全国規模のコンテストに参加して勝ち続けてしまうのは、あまりにセンスありすぎ、天才すぎないかという違和感はあった。

 

 それから主人公の父親である伝説的な宴席料理人の二つ名が「蠅師」というのにも違和感を感じてしまったのだが、台湾ではいい意味で使われることもあるという事なのだろうか。最初はめちゃくちゃ馬鹿にされているのかと思ってしまった。

 

 

 基本的にはコメディ映画で、コテコテでベタベタなギャグが繰り広げられていく。個人的にはクドさを感じてしまうのだが、ポップさもあるのでこれくらいの方が万国共通で万人受けするのかもしれない。それから料理を題材にしている割には、美味しそうな料理だったり、無駄な動きなくテキパキと料理するシーンなどをしっかり見せることはほとんどなく、あまり料理に対するこだわりは感じられなかった。物語自体も丁寧さを欠いているので、何よりもコメディを描きたかったという事なのだろう。

 

 観ていると「美味しそう」とか「お腹空いた」となってしまうような料理映画ではないが、お気楽な娯楽映画としてはそこそこ楽しめる内容となっている。主人公がいまいち可愛くないのと上映時間が長すぎるのが玉にキズだが。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 チェン・ユーシュン

 

出演 キミ・シア/トニー・ヤン/リン・メイシュウ

 

祝宴!シェフ(字幕版)

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「グリーン・ベレー」 1968

グリーンベレー (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ベトナム戦争のために現地にやって来たグリーンベレーの隊員たちは、アメリカの内戦介入に懐疑的な記者を従軍させて各種作戦を実行していく。141分。

 

感想

 さすがに今の戦争映画と比べるとテンポがゆったりとしていて迫力は劣ってしまうが、米軍の全面協力を得て撮影しているだけあって、本物のヘリや輸送機などを使い、人数をかけた大掛かりな戦闘シーンは見ごたえがある。カット割りは少なく、ロングショットでつないで撮影していく雄大で古典的な戦争映画といった趣だ。火力を使った爆撃シーンも迫力があり、燃え上がる戦場に鉄条網に引っ掛かった兵士の死体が浮かび上がるシーンは強烈な印象を残した。

 

 ベトナムに到着したグリーンベレー部隊が、前線キャンプの防衛や敵将校の拉致など、様々な任務をこなしていく物語。それぞれの任務の様子自体は普通に面白いのだが、映画全体を通して伝わってくるベトナム戦争肯定のプロパガンダ臭さが気になってしまって、素直に楽しむことが出来ないのが残念なところ。

 

 

 特に、部隊に従軍したアメリカの内戦介入に懐疑的な記者が、あっさりと感化され取り込まれてしまったのには驚いてしまった。そうなっても仕方がないような描写があったのなら分かるのだが、特にアメリカの介入が必要かもしれないなと思うようなシーンがあったわけでもなく、普通のよくある戦争描写が続いただけ。何を見て方針展開したのか不思議だ。だがこうやって簡単にミイラ取りがミイラ取りになってしまって、相手に利用されてしまう人というのは結構多いのだろうなという気はする。

 

 そして主人公以外の兵士たちはほぼ戦死してしまうので、戦争肯定のプロパガンダとしてもどうなのだろうと疑問に思ってしまった。でもこれは戦争を賛美する人たちに典型的な姿なのかもしれない。彼らはなぜか当然自分は生き残る前提で戦争を語る。そして勇敢に戦い死んでいった仲間を讃えて甘美な感傷に耽るという、幼稚でヒロイックな幻想を抱く。多くの人はこの映画を観ても、ほとんど死んじゃうのだから戦争なんかに行きたくない、と思うのかもしれないが、彼らは生き残る主人公にだけ自分を重ね、まさか死んでいったその他大勢の兵士に自分がなってしまう可能性があるとは想像もしないのだろう。ある意味でおめでたい性格だ。羨ましい。

 

 ベトナム戦争の映画だという事を無視して観れば悪くない戦争映画なのだが、そう簡単に無視する事なんかできないのが難点だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/出演 ジョン・ウェイン

 

監督 レイ・ケロッグ/*マーヴィン・ルロイ

*クレジット無し

 

原作 グリーン・ベレー―ベトナムのアメリカ特殊部隊 (1965年)


製作 マイケル・ウェイン

 

出演 デヴィッド・ジャンセン/ジム・ハットン/アルド・レイ/ブルース・キャボット/ジャック・スー/ジョージ・タケイ/パトリック・ウェイン/ルーク・アスキュー/マイク・ヘンリー

 

グリーンベレー (字幕版)

グリーンベレー (字幕版)

  • ジョン・ウェイン
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「社葬」 1989

社葬 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 会長派と社長派で対立する新聞社。一旦は社長派の勝利で決着がついたかに見えたが、社長の死により再び情勢が怪しくなる。

 

感想

 友人のだまし討ちで無理やり社長派に引き込まれてしまった主人公。迷惑そうな顔をしていたので、そういう争いごとには興味がないのかと思ってしばらく見てしまったのだが、男たちは大前提として当然出世欲や権力欲を持っている世界観の物語だった。でも考えてみればそういうのがなければ重役にまでなれないわけで、当然と言えば当然か。

 

 前半は社長の死後、重役らの思惑が交錯する様子と、主人公と料亭の女将の不倫話が並行して描かれていく。主人公は女将には夢中だが、社内情勢には積極的に関わろうとしない。だからただ社葬の準備が進んでいく様子を無目的に眺めているだけの状態だ。推進力が弱く感じた。社葬が描かれることはあまりないが、権力争いをする社内事情を描いた物語はそんなに珍しくないので、特別に面白みを感じるようなことはなかった。

 

 

 後半、自身が派閥争いの犠牲になりそうになって、ようやく主人公は能動的に動き出す。事の真相を探るうちに次第に様々な事情が絡みあっていることが明らかになっていくのだが、だからといって面白くなっていくわけでもなかった。表で互いにバチバチやって決着するというよりは、裏でごちょごちょやって気づかないうちに決まってしまっているという、いかにも日本らしい嫌らしい物事の決め方だった。いまいち盛り上がりに欠けた。

 

 ただなんだか観ていても気分が乗らないのは、バブル期のこの頃とは今の日本の経済状況が大きく変わってしまっているせいなのかもしれない。全員おじさんばかりの多様性ゼロの役員会とか、いきなりやって来て思い付きで指示を出し現場を混乱させて帰っていく役員とか、駄目な部分ばかりに目が行ってしまう。

 

 いかにも古臭い世界だと思うのだが、意外と今も変わらず大企業や政治の世界では同じ事をしていたりする。だから未だに日本は立ち直れず、他国にどんどん追い抜かれていく。暗い気分になって、世襲の跡継ぎを決める社内政治の話なんかどうでもよく思えてきてしまった。

 

 話は変わるが、割と重要な役柄で出ている井森美幸が、きっと普通にやっているだけなのに、何をやってもなんだか面白く見えてしまうのが可笑しかった。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 舛田利雄

 

出演 緒形拳/十朱幸代/井森美幸/江守徹/吉田日出子/藤真利子/高松英郎/船越英一郎/芦田伸介/小林昭二/不破万作/イッセー尾形/野際陽子/小松方正/加藤武/若山富三郎

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音楽    宇崎竜童

 

社葬 [DVD]

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