★★★★☆
あらすじ
第一次世界大戦の西部戦線。イギリス軍の若い兵士二人は、1,600人の命運を握る伝令を命じられる。
「アメリカン・ビューティー」「007 スカイフォール」のサム・メンデス監督作品。アカデミー賞で作品賞など10部門にノミネートされた。撮影賞、視覚効果賞、録音賞受賞。119分。
感想
将軍の命令を伝えるため、命がけで戦場を横断する若い兵士の姿が描かれる。まず、上官に呼ばれてから任務を完了するまでの全編を、ワンカットのように描く映像がすごい。一瞬も気を抜けない戦場の緊迫感が、臨場感と共に伝わってくる。
しかし伝令は、おつかいみたいな気楽な任務かと思っていたが全然違った。敵がいるかどうかも分からない中、それでも進まなければいけないし、普通に戦闘も行う。スパイ並みに高い能力が必要だ。しかも任務に失敗すれば、大勢の命に影響を与えることにもなる。大変な仕事だ。
印象的だったのは、ターニングポイントとなった墜落した敵機と遭遇するシーンだ。まさかの事態なのに、主人公たちが躊躇することなく敵兵を救助しようとしたことに感心した。敵だし、関わるとリスクがあるし、助けたところでその後の扱いが面倒だしと、見て見ぬ振りをしたくなりそうなものだ。一瞬で、敵味方ではなく、ひとりの人間としての行動を取っていた。
しかしこの行為が悲劇を生んでしまったのは、なんともいえない気持ちにさせられた。敵兵の立場になれば理解できることだが、殺すか殺されるかの戦場ならではの、極限状態にあることがひしひしと伝わってくる。人間らしい気持ちは上滑りし、空回りする。
しかもこの敵機は味方の戦闘機に撃墜されたものだ。それを見ていた彼らは喜んでいたが、それがなければこんな事態にはならなかったわけで、皮肉な運命だ。何がどう自分の人生に影響を与えてくるのか、分からないものだ。
ワンカット風の映像だとどうしても息苦しさを感じるようになりがちだが、立ち止まってしばし会話したり、赤ん坊をあやしたりと小休止のようなシーンを設けて緩急をつけ、それをうまく回避している。味方の隊に出会ったり、激しい戦闘シーンがあったりとバラエティに富んだ展開で最後まで引きつけられる。
なんとか任務を果たしたラストに安堵はしたが、これでハッピーエンドではなく、何事もなかったかのようにこの後も戦争が続くことに暗然たる気持ちになる。それも含めて、戦争というものを見事に描いた映画だといえるだろう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 サム・メンデス
出演 ジョージ・マッケイ/ディーン=チャールズ・チャップマン/マーク・ストロング/アンドリュー・スコット/リチャード・マッデン/クレア・デュバーク/コリン・ファース/ベネディクト・カンバーバッチ/ダニエル・メイズ
音楽 トーマス・ニューマン
撮影 ロジャー・ディーキンス
