感想
マネジメントという言葉自体は読んでいてもいまいちピンと来ないのだが、1954年、50年程前の著作とは思えないぐらい、今読んでも肯ける箇所ばかりだ。それは事の本質を突いているからなのか、それとも我々が進歩していないからか。
報告書を書く事や手続きを行う事に支配されるなとか、優れた組織の文化の実現をとか、そのまま会社の上司に読ませてやりたくなるような事ばかりが書かれている。
その中でも「キャンペーンによるマネジメントは失敗する」という言葉は本当に納得する。米国経済の影響を受けて業績が下がりそうな企業などは、少しでも業績を上げようと、改善などのキャンペーンを社内で行ったりしているだろうが、今たくさんの改善案が出てくる企業は駄目だろう。本来なら日々改善を行っているべきなのだから、そんな簡単にたくさん出せないはずだ。たくさん出てくるということは、分かっていたのにほったらかしにしていた事がたくさんあったということになる。
日々改善に取り組んでいる人間が余り案を出せずに評価を下げ、逆に今までほったらかしにしていた人間がたくさんの案を出して評価を上げたりしたら、社内に嫌な空気が流れてしまうだろう。
大人もこういう教科書的な本でちゃんと勉強をしないといけないなと思わせてくれる本だ。
著者
P・F・ドラッカー
訳 上田惇生
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