感想
無人島で男ばかりの中に女が一人。これだけで色々と想像してしまうが、その女が40代半ばという設定なのがうまい。ちなみにアナタハンの女王事件を題材にしており、時代設定は現代となっている。
女を奪い合う事に終始するのかと思ったがそういうわけでもなく、それぞれの出来事が確かに有り得るなと思えることばかりだった。男同士でひっついたり、趣味をみつけて打ち込んだり。人間は環境に順応できるものだ。
とはいえ、無人島なのにそんなことが出来るのは、食べ物には困らない南の島だからだ。努力しなくてもそれなりにはやっていける。南北問題もこういうところからくるのだろう。食べることに苦労しなければ、人間はそんなに努力をしないのかもしれない。
なかなか面白かったが、ラストがちょっといただけない。男ばかりに女一人で通して欲しかったし、それぞれがハッピーエンド的なエンディングを迎えるのがなんだかなぁ、と。
著者
桐野夏生
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