★★★★☆
内容
表題作「しずく」を含む短編集。
感想
「木蓮」
子供嫌いを明言している。子供のこういうところが嫌いとはっきり言う所が気持ちいい。でも結局最終的には仲良くなってしまうのは仕方がないか。子供との接し方なんて考える必要はなくて、人との接し方で問題ないということだ。
「影」
今の自分は本当の自分じゃないとか、みんなの期待する自分でなければとか、みんないろいろと自分像を考えすぎなのかもしれない。自分探しの旅とかもそうだ。結局なんだかんだで今の自分が本当の自分だ。自分探しなんて本当の母親は実家にいるのに世界中に母を訪ね廻っているようなものだ。今の自分を認めることができたら旅は終わる。
みんな他人の目を気にしないで自分のことだけ考えて行動すれば、意外と世の中もっと良くなるかもしれない。
「しずく」
おそらく普通に描いたらよくある平凡な男女の話になるが、二人の飼っている猫の目線にしたのが良かった。なんだか切ない気持ちになる。
猫というか動物は、きっとこんな感じで会話しているのだろう。言いたいことがすべて言葉となって伝えられなくても、なんとなくコミュニケーションできてしまうような。英語圏以外の人間が片言の英語とボディランゲージでなんとなくコミュニケーションが取れてしまうような。
著者