★★★☆☆
内容
効率的に仕事をこなすための思考法を説いた本。
感想
仕事をしていて一番皆に迷惑をかけるのは、やる気の無い人間ではなく、やる気はあるけど仕事が出来ない人間だ。とりあえずどんな仕事でも引き受け、ぐちゃぐちゃにしていろんな人に迷惑をかけ、大騒ぎしながら仕事を進めていく。
思うに本当に仕事が出来る人というのは面倒くさがりな人なのではないだろうか。出来るだけ面倒くさいことをしたくないから、効率的に仕事が出来る仕組みを考えようとする。自分が苦手なことはそれが得意な人に任せようとする。そうすることによって気付けば誰でも標準以上の仕事が出来る仕組みが出来上がっていたりする。
ただ残念なことに日本では、そうやってスマートな仕組みを作り上げて淡々と仕事をこなす人よりも、周りを巻き込んでワーワー言いながら仕事をしている人に「あいつは頑張ってる」と評価してしまうバカな上司が多い。駄目な社員も、非効率な仕組みの中で行なわれる不毛で無駄な作業を、頑張っている証として誇りを持ってやっていたりもする。しかも上司に褒められたりするものだから得意満面でいたりして、周りをげんなりとさせてしまう。
仕事が出来ない人間というのは「考える」事をしない社員だ。そういう人たちにこそこういう本を読んでもらいたいものだが、きっと読まないんだろうなとは予想できる。これを読むのはもっとうまい仕組みを考えたいけどうまくいかない、とか既に気付いている人だけだろう。
本書の内容は、そういった類の本からめぼしい物を寄せ集めたような出来になっている。話があちらこちらに飛んで統一感が感じられない。そして、「一億円あったらやらないことはやるな」と、前の会社での不当な扱いを訴えようとした社員に対して言ったというエピソードは納得しかねる。しかも品位を欠くことになるから、とか言っているのも意味が分からない。得意気にこのエピソードを紹介している時点で、この人も「残念な人」なのだろうな、と思ってしまった。
著者
山崎将志