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「グーグル Google 既存のビジネスを破壊する」 2006

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

★★★★☆

 

内容

 今や世界で巨大な影響力を持つようになったグーグルのビジネスを読み解く。

 

感想

 最近のグーグルを見て、グーグルは変わった、邪悪になったと危惧する声は多い。だがよく考えると、グーグルは素晴らしい企業だといつの間に人々は勘違いしてしまったのだろう、という疑問が起きる。

 

 確かにグーグルはそのサービスのほとんどを無料で提供し、我々のネット生活を随分と便利なものにしてくれた。彼らの社訓は「Don't be evil」だし。でもよく考えたら彼らにとっての「evil」とは何なのかを我々ははっきりとは知らない。

 

 

 今でも互いに正義を主張して戦争やテロが起きているように、「正義」の定義は人それぞれで、同様に「evil」の定義も人それぞれだ。もしかしたら多くの人が理想とするネット社会の未来とグーグルのそれとはもしかしたら全くかけ離れているのかもしれないな、とこの頃思うようになった。

 

 彼らの収益の基盤は広告で、より個人に適した広告を提供していくことが彼らにとっては利益につながるのかもしれないが、それを使う個人にとってはそれってどうなのだろう、と思ってしまう。テレビの世界でも広告会社がものすごい強大な影響力を持っているが、その存在に我々が気付いたとき、彼らに操られているような不快な気分になる。

 

 ネットの世界も同様で、お前はこんなことを検索して、こんな画像をダウンロードをしているから、これを気にいるはずだ、なんてことがブラウザのどこかに常に表示されていたらだんだん嫌な気分になっていく。多分それが的を射ていればいるほど。

 

 そう考えると機械なんかに俺の事がわかってたまるか、人間はそんな単純じゃない、というあまり面白くない、ありきたりな結論になってしまうが。そして、いつか誰かがグーグルに反乱を起こした時、この人は実はこんな人なんですよとプライバシーを全てさらされるかもしれないのが怖い。彼らにすべての情報を握られているのが。

 

 グーグルにとっての「evil」って何なのだろう。

 

著者

佐々木俊尚

 

 

 

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