BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ねたあとに」 2009

ねたあとに (朝日文庫)

★★★★☆

 

あらすじ

 東京の猛暑を避けて涼しい山の別荘で緩く過ごす親子と、その訪問者たち。

 

感想

 張り切って何かをするわけでもなく、ただ緩く過ごしているだけに見えて、だけどやることはちゃんとやっている。布団干しとか料理とか。最低限の決まり事だけ作って、その他の些細な問題は気にしない。でも意外とこういう事はなかなか出来ない。何かと張り切って色々してしまって、結局疲れ果ててしまいそうだ。

 

 そんな彼らだがアナログの遊びには情熱をかける。オリジナルの遊びを作り出し、日付を添えて、その結果を記録に残し大事にとっている。既成のものに頼らず、自分たちで面白がって創意工夫を重ねていくことを楽しんでいる。こういう人たちだから、こういう暮らしが出来るのだろう。

 

 

 それにしてもこの親子の他に、主人公の女性やその他若い女性らもこの山荘を訪れるのに、恋愛感情のようなものが一切描かれていない、というか一切そんなものが出てこないのはわりと不思議だ。ありそうなものなのに。この親子があまり他人に興味のないような、絶妙な距離感を持っているからだろうか。よく考えればいい歳した親子が一緒に夏を過ごすという関係も不思議な関係でもある。でもだからこそ来れたら来るぐらいのスタンスで、いろいろと人が訪れやすいのかもしれない。

 

 ひと夏の話だと思っていたら、3年分の夏を描いていて、なんだかすごいなと。この調子なら、その後もこんな風な夏は続いていくのだろう。

 

著者

bookcites.hatenadiary.com

  

ねたあとに (朝日文庫)

ねたあとに (朝日文庫)

 

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com