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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「宵山万華鏡」 2009

宵山万華鏡 (集英社文庫)

★★★☆☆

 

あらすじ

 京都祇園祭の夜に起こる不思議な出来事。

 

感想

 祇園祭の夜に起こるそれぞれがつながっているのだか、つながっていないのだか、よく分からないような話で構成される、不思議な物語だ。なかでも著者お得意といっていいのか、馬鹿げたことに全力を注ぐ若者たちの話が好きだ。意味のない事に真剣な様子はとても楽しそうだ。

 

 全編を通して、気分が高揚するような、だけど非日常のどこか不安になるような、祭りのあの独特の雰囲気がよく表現されている。普段は何もないような通りに突如、屋台が並び、灯りが煌々と輝いて、浴衣なんか着た人たちが大勢集まっているあの雰囲気。時々迷子の子供が泣きながら歩いているような。

 

 

 それぞれの章に、著者がこれまで発表してきた作品の要素が凝縮されたような仕上がりになっていて、著書がどういった作家なのかがこの本だけでもわかるような作品だ。各章の総集編のような、それを題材にもう一つの物語を作ったような、最後の章が凄いな、と感心した。

  

著者

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