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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ぼくたちの家族」 2014

ぼくたちの家族 

★★★★☆

 

あらすじ

 母親が余命わずかと診断され、動揺する家族。

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感想

 突然倒れたわけでもないのに様子がおかしいからと病院に連れて行ったら、一週間がヤマとか言われたらそりゃ動揺する。だがそこからは闘病の物語と言うよりは、家族の一人が死ぬかもしれない事態に直面したときの、他の一員たちの心の動きを描いている。

 

 動揺して判断力がなくなる父親、自分がしっかりしないといけないと思いつめる長男、そんな彼らの様子を少し冷静な目で見ながら心配し、明るく支えようとする次男。そんな彼らの心が少しずつ変化していく。結局、どんな状況でも、大事なのは気の持ちようなのかもしれない。同じ状況でも、気の持ちようで見える景色が違ってくる。

 

 

 こういう病気を扱った物語で、お金の問題が大きく取り上げられているのは珍しい。普通の物語だと、当然のように入院したり手術したりする。だが、この映画のように片隅でコソコソとお金の心配をしているのを見てしまうと、同じような状況になったときに自分は大丈夫かと、急に心配になってしまう。

 

 しかし、郊外とはいえ、大きな家に住んで、子供も大学に行っていて、借金に苦しんでいるというのは普通にあることなのか。子供が親に借金をするのではなく、親が子供に借金をしていく時代になりつつあるのかと、勝手に日本の将来に不安を感じてしまった。

 

 今まであえて誰も口にしなかった恐れを、状況の改善が見られてホッとした次男が口にする。その途端、父と長男の感情が一気にこみ上げ、それでもグッと堪えて立ち尽くす姿に、見ているこちらまで泣きそうになってしまった。役者陣が皆いい演技をしている。

 

 ある意味ではこの映画は良い結末を迎えた。だがそうではなく、最悪な結果が待っていたらどうなっていたのだろうか、とも考えてしまう。それでもきっと、皆の覚悟は変わらなかったのだろうなという気はしている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 石井裕也

 

原作 ぼくたちの家族 (幻冬舎文庫)

 

製作 竹内力/小西啓介/狩野善則/堀義貴/木滝和幸/若山泰親

 

出演

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池松壮亮/原田美枝子/長塚京三/黒川芽以/ユースケ・サンタマリア/鶴見辰吾/板谷由夏/市川実日子

 

ぼくたちの家族

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  • 妻夫木 聡
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ぼくたちの家族 - Wikipedia

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