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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「どん底」 1957

どん底

★★★☆☆

 

 どん底の人間たちが住まう貧乏長屋に、一人の老人が加わる。

 

 それぞれにそれぞれの理由があって、やがて同じ貧乏長屋で暮らすことになった住人たち。そんな彼らの悲喜こもごもの人間模様を、ほぼ長屋の中だけでまるで舞台のように描いている。しかしこの長屋はセットが見事に傾いていて、逆に惚れ惚れしてしまう。

 

 もとは御家人だという男や、バクチばかりしている男、同じ長屋に住みながらも皆を見下している男、嘘かホントか昔話をして自分を慰める女など、住人たちは多彩なキャラクター。互いに悪態をつきながらも寄り添うように生きている。あまり絶望感はなく、自らの置かれた状況を受け入れて、自分なりに生きていこうという開き直りのようなものを感じる。

 

 そこに一人の老人が加わり、長屋の空気が少しずつ変わってくる。皆の話を聞いてやり、彼らの中に少しずつ希望のようなものが灯る。まるでカウンセラーのようなこの老人役を、左卜全がいい雰囲気で演じている。こんな感じで優しく話しかけられたらなんでも話してしまいそうだし、言うことも聞いてしまいそうだ。そしてそんな彼の話を聞くアル中の男を演じる藤原釜足の演技も凄かった。呆けた表情でじっと老人を見つめながら話を聞く様子はもう本物にしか見えなかった。

 

 途中のちょっとしたラップ大会のようになった宴会の様子は見ごたえがあった。意外と日本の調子や拍子も悪くないと思わせてくれる。

 

 長屋で騒ぎがあって何人かが長屋を去るが、それでも大して変わり映えのない日々が続いていく。そんな日々に耐えられるうちは酒でも飲んで、皆で騒いでやり過ごしていくだけだ。

 

監督/脚本/製作/編集

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原作 どん底 (岩波文庫)

 

出演

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山田五十鈴香川京子中村鴈治郎千秋実藤原釜足清川虹子東野英治郎左卜全加藤武

 

どん底

どん底

 

どん底 (1957年の映画) - Wikipedia

 

 

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