★★★★☆
あらすじ
第2次大戦の敗戦濃厚の中で組閣された鈴木貫太郎内閣が、ポツダム宣言の受諾を決めた一日を描く。
感想
負けを認めること自体も悔しいだろうし、その手続きを自らの手で行うことにより我が身に降りかかるだろうあらゆるリスクも理解した上で、それでもその責任を引き受けるということは、相当な覚悟がいるはずだ。
上層部の人間たちがそんな辛い決断をしたというのに、それを受け入れられずクーデターを画策する若い軍人たちに腹が立ってくる。まるで自分の思い通りにならずに駄々をこねる子供のようだ。
ただ彼らも保身のためではなく国のことを考えていて、そのために死ぬことは惜しんでいない。でもきっとそれが駄目なのだろうなと思った。彼らは死ぬ覚悟ができているから、どうせ死ぬなら敵を一人でも道連れに、と戦争の継続を望んでしまう。そして同じ考えを皆に強要してしまうから、多くの人が死んでしまった。駄目だったら死ねばいいという考え方には無責任さを感じてしまう。
たくさんの人物が登場し、聞き取りにくい台詞も多く、彼らの関係や何が起きているのか、しっかりと理解することは難しかったが、臨場感や緊迫感はびしびしと伝わってきた。
そして役者陣の熱演も素晴らしく、なかでも昭和天皇を演じた本木雅弘が良かった。言葉のトーンや喋り方に雰囲気がよく出ていて、天皇の達観や覚悟、孤独など様々な心情が感じ取れるような演技だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 原田眞人
出演
本木雅弘/松坂桃李/山崎努/矢島健一/麿赤兒/中村靖日/中村育二/山路和弘/中嶋しゅう/戸塚祥太/蓮佛美沙子/渡辺大/小松和重/野間口徹/戸田恵梨香/キムラ緑子
出演/編集 原田遊人
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