★★★★☆
あらすじ
ポーカー賭博、ドラッグ、売春が行われる「ポーカーハウス」に母親と共に暮す三姉妹。
監督自身の子供時代の実話に基づいた物語。93分。
感想
母親が売春婦で、家には怪しげな大人たちが集う家、という子供が育つには最悪と言える環境のはずなのに、三姉妹の様子は想像とは違う。主人公である長女は学校ではバスケの選手として活躍し、新聞記事なども書いている。次女は楽器を習っているし、三女は友人の家に泊まって昼はバーのおばさんおじさんとともに時間を潰している。
こういう環境に育つ子供は、一般社会からは目の届かない隔離されたような生活を送っているイメージを持ってしまうが、彼女たちは沢山の人と関わりながら生きている。想像するよりも伸び伸びとしていて意外だった。
だが思春期を迎えた長女が、母親から売春をするように迫られるような最悪な環境にいる事には違いない。それをなんとも思わず普通に接してしまい、そこから救い出そうとする発想のない周囲というのは、逆に残酷なのかもしれない。周りの人間達も恵まれない環境に暮らしていて、皆の感覚が麻痺してしまっている。
そんな人生のハードモードをたくましく生きる三姉妹を、主演のジェニファー・ローレンスをはじめとする三人がそれぞれにうまく演じている。そして、何よりも目を引くのが、三女役のクロエ・グレース・モレッツだ。「キック・アス」よりも前の作品なのでまだかなり幼いのだが、子供の可愛らしさが全開だ。きっとこれは演技というよりも天性のものなのだろう。
辛い事件も起きて、もっと暗い映画になりそうなものなのに、全体的にどこか明るさが漂っている不思議な作品だ。長女の人生に対するポジティブな態度が妹たちにもいい影響を与えているのだろう。きっと彼女たちは人生を好転できるはずだと何故か思えてしまっている。
それを反映するかのような、どこか希望を感じるエンディングだったが、その後、彼女たちは、実際にはどのような人生を歩んだのか気になる。実話に基づいているのだから、監督だけでなく他の姉妹たちのその後を具体的に知りたかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案 ロリ・ペティ
脚本 デヴィッド・アラン・グリア
製作 マイケル・ドゥベルコ/スティーブン・J・キャネル
出演 ジェニファー・ローレンス/セルマ・ブレア/クロエ・グレース・モレッツ/ソフィア・ベアリー/ボキーム・ウッドバイン/デヴィッド・アラン・グリア
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