★★★☆☆
あらすじ
デパートで働く若い女が、接客した一人の女性に見惚れてしまう。
ケイト・ブランシェット主演、トッド・ヘインズ監督。パトリシア・ハイスミス原作。118分。
感想
何気なさそうな主人公二人の会食シーンから物語が始まる。ただし二人の様子には何かただならぬものを感じさせる。そして二人が最初に出会った時に、時間は巻き戻る。
いわゆる同性愛の映画なのだが、そういう人たちが出会うための場所じゃない普通の場所で、そういう人たちが出会うのはなかなかの確率ではないのかと思ってしまうのだが、そういう人達同士は互いに分かるということなのだろうか。たまには間違えてしまうこともありそうだが。
ケイト・ブランシェット演じる金持ちの女は夫も子供もいて、だけど既に夫は気付いているので関係は冷めていて、みたいな複雑な状況だ。夫は思うようにならない妻に腹を立て、娘の養育権を奪おうとする。女は娘を奪われそうになることに動揺する。
そんな不安を抱えたまま気晴らしに、ルーニー・マーラ演じる女を誘って旅に出る金持ちの女。特に素晴らしい景色が広がるわけでもない、車の運転とモーテルのシーンを繰り返すだけのロードムービーだが、なんか良い。非日常の中のどこか開放的な雰囲気で距離を縮める二人。
しかしそんな旅も突然終了してしまう。親権の問題で窮地に立つ金持ちの女。彼女なりの努力をしつつも、それでも自分を偽っていては生きてる意味がないと言い放つシーンには心を動かされた。
そしてここから冒頭のシーンにつながっていく。二人の会食シーンがとても重要な意味を持っていたことも分かり、そして二人の行く末も気になってしまう。非常に巧みな構成だ。表情だけで表現するエンディングも良かった。
スタッフ/キャスト
監督 トッド・ヘインズ
脚本 フィリス・ナジー
原作 キャロル (河出文庫)
出演 ケイト・ブランシェット/ルーニー・マーラ/サラ・ポールソン/カイル・チャンドラー /コーリー・マイケル・スミス/ジェイク・レイシー/ジョン・マガロ
