★★★★☆
あらすじ
年上の女性と知り合い、関係を深めていく青年。
感想
年上女性との恋。でもこれ今だと犯罪で片付けられてしまう味気ない世の中だよな、なんて思いながら見ていたのだが、途中から様相が変わってくる。よく考えると1950年代なんて、普通に戦争の経験をした人たちばかりの時代で、戦時中の記憶がまだまだ生々しい時代だ。
その年上女性がなんとなく文盲なのは気づいたが、恋愛を盛り上げるための要素かと思っていた。まさかそれが戦争犯罪と関連してくるとは思わなかった。ただよく考えると、彼女はチャンスがたくさんあったはずなのに、頑なに文字を学ぼうとしなかったのは不自然な感じがした。きっと文盲を恥じることで、別の感情に気づかないふりをしていたのかもしれない。
刑務所の中でも淡々としていた彼女が、独学で文字を学ぶことで、逆にだらしなくなってしまったことが象徴的だ。もはや文盲のせいにすることは出来ず、目を背けていたことにも向き合わなければならなくなった。そう考えると、彼女の最後も理解できなくはない。
若いときから歳を重ねて老女になるまでを、ケイト・ウィンスレットが違和感を感じさせることなく見事に演じている。特に年老いてからかつての青年と再会するシーンは、話したいことはたくさんあるが、相手の様子をうかがって遠慮して抑えている演技が上手かった。
最後は、レイフ・ファインズ演じるかつての青年が、娘に自分の物語を物語りつつエンディングを迎えるというニクい演出。良いラストだった。
スタッフ/キャスト
監督 スティーブン・ダルドリー
脚本 デヴィッド・ヘアー
原作 朗読者 (新潮文庫)
製作
アンソニー・ミンゲラ/ドナ・ジグリオッティ/レッドモンド・モリス
出演
レイフ・ファインズ /ダフィット・クロス/ブルーノ・ガンツ/レナ・オリン/アレクサンドラ・マリア・ララ/ハンナー・ヘルツシュプルング/ズザンネ・ロータ
撮影 クリス・メンゲス
登場する作品