★★★★☆
あらすじ
監視中のケニアの民家に現れた手配中のテロリストたちへの攻撃を協議する英米・ケニア合同軍の首脳たち。
イギリス映画。102分。
感想
対象人物の動きをはるか上空から監視し、彼らに対する処置をロンドン・ハワイなど現場から遠く離れた地で協議する連合軍。冒頭は軽い掴みのエピソードをやって本編に入っていくのかと思いきや、最初からそのまま本筋の物語が始まり、最後まで緊張感のある展開が続く。
アクションメインではなく、各関係者の思惑や心理描写を描いたサスペンスだ。現場から遠く離れた安全な場所で、ボタン一つで敵を殲滅することが出来る状況で、巻き込まれる可能性の高い一人の少女の存在が彼らを悩ませる。
一人の少女を救うために、何人もの犠牲者を出す自爆テロの実行犯を見逃すのか、それとも今後出るだろうたくさんの犠牲者を救うために一人の少女を犠牲にするのか、まるで有名な「トロッコ問題」を思い起こさせるような状況が起きてしまう。
それぞれの立場や性格により彼らの反応は様々だ。テロを防ぎ組織を弱体化させるためには少女の犠牲は仕方がないと主張する者や、逆にいかなる状況であろうと無関係の少女が犠牲になる事は許されないとする者。テロリストは殺害し、少女は助けられるような、その中間の着地点を模索する者や、ただただ曖昧な返事で責任を逃れようとする者など、それぞれのキャラクターが浮き彫りになっている。個人的には、一人の少女のためにこれほど考えてくれている事に驚いてしまう。もっとドライに話し合うまでもなく、攻撃をしているものと思っていた。
いかに現場から遠く離れた安全な場所にいようと、自分の指示によって人が死ぬというのは嫌なものだ。遠く離れてリアリティを感じられない場所にいるからこそ、日和った意見でお茶を濁そうとしてしまうのかもしれない。そんな中、安全な場所ではなく現場で体を張っている現地工作員が一番カッコよかった。普通の映画だったら彼が主人公だろう。
最初から最後まで緊迫感が続いて、引き込まれる映画だった。そんな少し疲れる展開の後の、ずっしりと重い気分になるエンディング。やるだけやったから、という思いと、まだ何かできたはず、という思いが、見終わった後にグルグルと頭の中を駆け巡っている。
スタッフ/キャスト
監督/出演 ギャヴィン・フッド
製作 ゲド・ドハティ/コリン・ファース/デヴィッド・ランカスター
出演 ヘレン・ミレン/アーロン・ポール/アラン・リックマン/バーカッド・アブディ/ジェレミー・ノーサム/フィービー・フォックス/イアン・グレン/マイケル・オキーフ
アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 - Wikipedia
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