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「高い城の男」 1962

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

★★★☆☆

 

 第2次世界大戦が枢軸国の勝利に終わった世界。

 

 戦勝国の人間がこんな風にもし戦争に負けていたら、と想像するのは、余裕のある人間の空想だなと思えるが、もし戦争に負けた国の人間がこれをやったら痛々しいというか、ヤバさをきっと感じてしまうのだろうなと、読みながら思った。この小説の中では、負けたことになっている連合国の中で、勝った設定の小説が流行っている構造になっているのは興味深い。

 

 枢軸国が勝っていたら、著者はこんな風な世界になっていたと思っているのか、と想像しながら読むと面白かった。ドイツや朝鮮半島が二つの国に分かれたように、確かにアメリカが分割されていたかもしれない。日本は技術力でドイツにかなりの遅れを取っていただろうとか、地中海が埋め立てられていただろうとか、なかなか想像力が掻き立てられる。ただ易経が重要な役割を果たしている、というのは無いかな。

 

 日本人やアメリカ人、そしてヨーロッパの人物たちが登場し、前半は彼らがどうなっていくのだろうとワクワクさせられた。しかし、後半に向かうにしたがって、次第に分かりづらいというか、哲学的になってしまって、期待通りではなかった。

 

 無理やり解釈するなら、たとえ戦争に負けたとしても、打ちひしがれて、ただ卑屈になっていてはいけない、ということか。確かにもし枢軸国が勝っていたとしても、75年後のアメリカの日本に対する態度は、今の日本がアメリカに取る態度とはきっと違うだろうな、とは思う。

 

著者 フィリップ・K・ディック

 

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

 

高い城の男 - Wikipedia

 

 

登場する作品

易経〈上〉 (岩波文庫)

オペレッタ『軍艦ピナフォア』全曲、オペレッタ『陪審裁判』全曲 グリーン&ヴィクトリア管弦楽団

ギルバート&サリヴァン:ゴンドリエ[DVD]

Miss Lonelyhearts

原典訳 チベットの死者の書 (ちくま学芸文庫)

 

 

関連する作品

ドラマ化作品 

新世界
 

 

 

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