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「セデック・バレ 第一部:太陽旗」 

セデック・バレ 第一部:太陽旗(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 台湾の先住民セデック族は、日清戦争後に進駐してきた日本軍と戦うも敗れ、彼らのもとで文明的な生活を強いられる。しかし、彼らに対する日本人の態度に不満が渦巻き、ついに武装蜂起の機運が高まる。実際に起きた事件に基づいた作品。

 

感想

 抗日運動を描いた映画ということで、見るのがしんどいかなと思っていたが、そうでもなかった。スタッフ・キャストに日本人も参加していることもあるのか、日本人全体ではなく、その幾人かを悪者として描いているだけなので、それほど日本が悪者という感じはない。

 

 なんとなく見ていて思うのは、先住民と開拓者が戦う西部劇に似ているな、ということ。いわゆる古い文明と新しい文明の激突で、こういうことは当然アメリカだけでなく、世界各地で昔から数限りなく行われてきたのだな、ということに気づかされる。その結果が今ある世界というわけだ。

 

 

 そしてこの映画で描かれるのは、新しい文明に飲み込まれそうな古い文明の人間たちのプライドや尊厳といったもの。先祖が代々守ってきた伝統や暮らしが失われようとする中で、彼らはどんな行動をするのか、それが描かれている。

 

 2時間を超える大作だが、彼らの古来からの暮らしの様子、日本軍への抵抗、恭順後の生活、そして武装蜂起に至るまでがテンポよく丁寧に描かれ、まったく飽きさせない。最初は男たちばかり描いて、女性が出てこないなと思っていたのだが、後半になると女性たちの存在感も出てきた。

 

 正直、先住民たちは好戦的すぎやしないかと思わなくもないが、それぐらいじゃないと、とっくに他の民族に絶滅させらてしまっていたのかもしれない。激しい戦闘の描写も迫力がある。滅ぶか滅ばされるかの戦いであるとはいえ、女子供構わず殺していく姿は中々エグイものがあった。

 

 爽快感というよりも、恐ろしさや凄みを感じるラスト。この後起こるであろうことに対する、彼らの決意や覚悟が伝わってくる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ウェイ・ダーシェン

 

製作 ジョン・ウー/テレンス・チャン/ホァン・ジーミン

 

出演 リン・チンタイ/マー・ジーシアン/安藤政信/ビビアン・スー/ダーチン/木村祐一/春田純一

 

美術 種田陽平/赤塚佳仁

 

セデック・バレ - Wikipedia

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