★★★☆☆
あらすじ
疫病の流行により大半の人類がヴァンパイアに変貌している世界。人類の減少により彼らに不可欠な人間の血液が不足し、代用血液の開発が急がれていた。98分。
感想
大半の人類がヴァンパイア化し、彼ら中心の社会が築かれている世界が舞台だ。テレビや新聞などのメディアを運営し、弱点の日光を避けるための社会インフラを整備し、食料となるヒトの血液を得るために人類を狩って農場で飼っている。
人類は彼らに見つからないよう隠れて生活しているため、血液不足で窮乏したヴァンパイアが同じヴァンパイアの血を吸ってしまうこともあり、そうするとサブサイダーという化け物に変貌してしまう。ヴァンパイアが中心となった面白い世界観だ。主人公もヴァンパイアだ。
しかしヴァンパイアは不老不死で歳を取らない設定だが、結婚とか子供が産まれたりはしないのだろうか?それに25歳くらいのまま歳を取らないのならいいが、老人だったり赤ちゃんのまま歳を取らずに不老不死になったとしてもあまり楽しくはないなとか、突き詰めて考えてしまうと色々と疑問が湧いてくる。
主人公は代用血液の開発に携わるも、自身がヴァンパイアであることに嫌悪感を抱いている男だ。設定も詩的である。たまたま出会った人間たちと協力して、ヴァンパイアという疫病を治療する方法を探そうとする。
しかしヴァンパイアに咬みつかれ血を吸われることで人間はヴァンパイア化してしまい、しかも不老不死になるのだったら、人間が減少して深刻な血液不足に陥るのは当然だよな、と思ってしまう。よっぽど人間農場の運営をうまくしないと破綻してしまう。
ヴァンパイア化された世界に皆が慣れきってしまって、それを前提に物事を考えている中で、主人公だけがヴァンパイアを人間に戻そうとしているのがミソだ。ただ、ヴァンパイア側が捕まえた人間を農園に連れていくのか、その場で血を吸いつくして殺してしまうのか、ヴァンパイア化するのか、選択肢が多すぎるのがちょっとわかりづらい。これがゾンビだったら捕まったら終わりだ、と状況がすぐにわかるのだが。
最後は、本当は優しい世界なのに、ヴァンパイアが飢えすぎてしまって相手の血を吸いつくして殺してしまう空気を読めない感じが面白かった。だがそれもやがては落ち着いて、本当の優しい世界が訪れるのだろう。
映画はどこか物憂げな雰囲気が漂い、ときおり残虐なシーンも織り込みながらの映像も美しい。なかなか斬新な設定でもあるし、ヴァンパイアものやスプラッターものが好きな人ならきっと気に入る映画のような気がする。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 マイケル・スピエリッグ/ピーター・スピエリッグ
出演 イーサン・ホーク/ウィレム・デフォー/サム・ニール/クローディア・カーヴァン/イザベル・ルーカス
撮影 ベン・ノット
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