BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ぼんとリンちゃん」 2014

ぼんとリンちゃん

★★★★☆

 

あらすじ

 おたくの女子大生と幼馴染の男は、東京に行ったきり連絡が途絶えた女友達を連れ戻すために上京する。

 

感想

  おたくならではの独特のセリフ回しでしゃべり続ける主人公。面白くて可愛いのだが、長時間相手をしなければならないとしたらイライラしそうだ。ただこのいわゆるおたく特有の世界というのも、仲間内の共通言語みたいなものでヤンキーの世界にもリア充の世界にもあるものなんだろうなと思った。仲間以外の人とは普通にコミュニケーションが出来る。ただ時々、外部の人間に対して誤っておたく的言葉遣いをしてしまって奇異に思われてしまうだけだ。

 

 田舎に残った主人公が都会に行った友人に会いに行くが、変わってしまった友人との間に深い溝が出来ていることを知りショックを受けるという、ただそれだけのストーリーではあるが、このおたく要素が加わったことで何倍にも面白くなっている。独特の世界観と論理で埋め尽くされている。

 

 

 主人公とその幼馴染の若い二人をサポートするおたくのおじさんも良い。おじさんと言ってもどこか自信なさげで頼りなく、主人公にの尻に敷かれてしまっているのだが、自分より相当若い人に自分をさらけ出すことができるおじさんなんてなかなかいないので好感が持てる。

 

 このおじさんや主人公、主人公たちの二人の女子高生の妹たちと、皆セリフが自然で良かった。それから、時折挿入される主人公が様々な表情を見せながら東京の街を歩くシーンがなんか良かった。幼馴染とおじさんを従えて堂々と歩いたり、不安げな表情を見せたり、心が揺らいで戸惑ったり。

 

 変わってしまった友人に自分の思いをぶつける主人公。だけどもはや同じ世界にはいない友人にも彼女なりの言い分はあり、反論されて戸惑いながらも自分を貫く。この気まずい会話をしながら、てきぱきと手際よく大人のおもちゃを片付けていく友人が少し面白かった。

 

 外の世界に触れることで、自分が築いてきた世界が揺らぐこともある。だけどそれは決して悪いことではなく、それを踏まえた世界観にアップデートされ成長していく。いつも同じ場所にとどまり同じ人間を相手しているだけでは、小さくコリコリに固まった幼稚な世界観のまま。時々外に出て新たな視点を手に入れて、自分をアップデートしていく作業が必要ということだろう。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 小林啓一

 

出演 佐倉絵麻/高杉真宙/桃月庵白酒/比嘉梨乃

 

ぼんとリンちゃん

ぼんとリンちゃん

 

ぼんとリンちゃん - Wikipedia

ぼんとリンちゃん | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com