★★★☆☆
あらすじ
母親を失い気落ちしている少年の住む家に、破天荒な青年が住み着く。 原題は「Hesher」。
感想
ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる破天荒な青年が面白い。ヘヴィメタ好きで、警察にはダイナマイトを投げ、車を燃やし、新築の家で暴れて物を壊しまくる。もう滅茶苦茶だ。第三者として観ている分には面白い。
そんな破天荒な青年がいるのに、その他の登場人物たちは暗い。少年はイジメにあい、その父親は無気力でほとんどソファで過ごし、祖母は誰にも相手にされない。ナタリー・ポートマン演じるスーパーのレジ係は、自分の不幸な境遇を嘆いている。
物語としてはそんな暗い登場人物たちの中に一人、破天荒な人物を放り込んでみた、ということだろう。様々な場面に現れ、深刻な場面の気を散らし、時どき良いことを言ったりする。彼は少年にしか見えない存在かと最初は思ったが、ちゃんと皆に認識されている。ただ、彼はどんなに暴れても警察に捕まったり、追われたりはしないので、ある意味で特別な存在というか、ファンタジー的存在なのだろう。ドラえもんのような。
青年の長髪でやせ細った姿から、ある意味で、試練を与えたり、救いの手を差し伸べたりする神のような存在として描きたかったのか、とは思ったが、それにしてはやってることが意味がわからなさすぎのシーンと意味が分かり易すぎのシーンの両極端で深みがなかった。
ナタリー・ポートマン演じるレジ係の女性も中途半端な描かれ方で、全体として設定自体は面白いのだが物足りなさが残る映画でもある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/編集 スペンサー・サッサー
脚本 デヴィッド・ミショッド
原作 ブライアン・チャールズ・フランク
製作/出演 ナタリー・ポートマン
出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット/レイン・ウィルソン/デヴィン・プロシュー/パイパー・ローリー/ジョン・キャロル・リンチ