★★★☆☆
あらすじ
ロンドンの現代アートを扱うギャラリーを中心にした人間模様。
感想
なんとしてでも名画を手に入れようとする画廊オーナー、得意客に色目を使って独立のための資金援助を引き出すことを目論むその女部下、様々な絵画を買いあさる金持ち夫婦、思い入れのある絵をどうしても手に入れたい老人とそれを売りたい妻など、様々な人物たちの思惑が入り乱れる人間模様。
登場する人物たちは愛想は良いが人の話を聞かず、自分の願望を押し通そうとする人物ばかり。その結果、誰かが傷つこうとお構いなしだ。アートの世界は大金が絡むだけに恐らくそんな人ばかりなのだろうが、皆がほとんど出来上がっていて映画としては面白みに欠ける。
もう少し悩んだり、傷ついたり、落ち込んだりするような人間味あふれる姿が見たかった。無名の頃からの付き合いのアーティストに裏切られたゲイの男ぐらいしかそんな人間がいなかった。しかも、何言ってんだこいつ、みたいな扱い。それ以外はほとんどアート界に巣くう人の心を持たないモンスターのようなものだった。
そんな人物たちの中でも、ギャラリーで働き始める若い女性を演じたアマンダ・サイフリッドのセクシーさが際立っていた。露出の多い衣装のせいもあるが、何なのだろう。どことなく不安定感のある顔立ちのせいなのかもしれない。その他の役者陣たちもいい演技を見せていた。
観ているとアート界なんてろくでもないなと思ってしまう。しかし、離婚協議をしていたアートコレクターの夫婦の妻が、夫に集めた美術品をすべて売り払われて呆然と立ち尽くすシーンがあるが、これがアートの価値なんだろうなと思う。好きな人にとってはお気に入りのアート作品と同等の金額を受け取っても全く嬉しくない。しかもそれをその金額で必ず買い戻せるとは限らない。
群像劇で様々なエピソードが展開されるのだが、それがまとまり切らないというか、煮え切らないエンディングで終わってしまって、モヤモヤした気分が残ってしまった。
スタッフ/キャスト
監督 ダンカン・ウォード
出演 ジリアン・アンダーソン/アラン・カミング/ヘザー・グラハム/クリストファー・リー/ジャック・ヒューストン/クリストファー・リー/サイモン・マクバーニー/シャーロット・ランプリング/アマンダ・サイフリッド/ステラン・スカルスガルド