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「痴人の愛」 1967

 痴人の愛

★★★☆☆

 

あらすじ

 酒も博奕もやらない生真面目な男が、少女を引き取り自分好みに育てて結婚しようとする。

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 小沢昭一、田村正和、安田道代ら出演、増村保造監督。谷崎潤一郎原作。92分。

 

感想

 少女を引き取り自分好みに育てるなんて人身売買かと思ってしまうが、両親にちゃんと同意を得ているのがすごい。何をされるかわかりそうなものだが、それも了承の上だ。だがよく考えてみれば、親が結婚を決めていた時代は結局こういう事だから、そんなに違和感はないのかもしれない。逆にこれで結婚しなかったら怒りそうだ。

 

 主演の小沢昭一の風貌がいい。今はもう、こういったいかにもおじさんといった風貌の人はなかなか見なくなった。おじさんといってもまだ31歳なのだが。酒もギャンブルもやらないという生真面目さが、逆に変態ぽくていい。

 

 

 ただ映画の中ではそのあたりはあまり描かれず、物足りない内容だ。そして、結婚を決めた後に女が態度を変えていき、主人公は嫉妬を募らせるのだが、女が単なる性格の悪い女にしか見えなくて、あまり主人公に共感できなかった。もう少し女に小悪魔的な魅力が欲しかった。

 

 自分の思い通りの女にするはずが、いつの間にか女の思い通りになってしまった男。しかし、それで男が可哀そうかといったらそんなことはなく、普通に幸せそうである。むしろ、それを望んでいたのかもしれないと思わせるところもある。

 

 金持ちの年寄りが若い女と一緒になると、世間は金目当てで女は一緒になったと陰口をたたいたりするが、きっと男はそれを百も承知で、なんなら全財産むしり取られたいとすら思っているかもしれないなと映画を見ながら思った。何に気持ちよくなれるかは人それぞれだ。

 

 今一つの内容ではあったが、二人で延々と部屋の中をぐるぐると回るラストのしつこさは、狂気が伝わり悪くない余韻だった。

 

 それから、この時代はまだ舗装されていない道路が多かったのだなとか、「ナオミ」という名前は当時の人には斬新な響きがあったのかとか、田村正和の若い時は甘ったれた感じだなとか、いろいろと発見のある映画でもあった。

 

スタッフ/キャスト

監督 増村保造

 

脚本 池田一朗(隆慶一郎)

 

原作 痴人の愛 (新潮文庫)

 

出演 小沢昭一/安田道代/田村正和

 

音楽 山本直純

 

痴人の愛

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