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「5時から7時の恋人カンケイ」 2015

5時から7時の恋人カンケイ(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 子持ち既婚の年上フランス人女性と付き合い始めた若い男。

 

感想

 不倫の話だが、イメージするような陰でコソコソやる後ろめたいものではなく、いわゆるオープン・マリッジという形態で行われる夫婦公認の不倫が描かれる。しかし、不倫相手の夫に食事に招待されたり、その子供たちに感謝されたりと、相手だけでなくその一家と家族ぐるみの付き合いまでするというのはすごい。彼らからしたら拡大解釈した家族の一員という感覚なのだろう。でも不倫はいいとして、その相手に会おうという神経はちょっとよく分からない。

オープン・マリッジ - Wikipedia

 

 相手に夫や子供がいるとは知らなかった主人公は、倫理的な葛藤を覚えながらも彼女への想いを断ち切れず、奇妙なライフスタイルの彼らの中に飛び込んでいく。恋愛描写と共に、そんな中で戸惑ったり驚いたりする主人公の様子が面白おかしく描かれていく。相手の女性はフランス人ということもあり、これは結婚に対する考え方も含めたカルチャーギャップを描いた物語ともいえるだろう。女性がワインでマウントを取れば、主人公はビールでマウントを取ろうとするといった具合の小粋なやり取りがたくさん描かれており面白い。アメリカ人にとってもフランス人は少しミステリアスな存在のようだ。

 

 グレン・クローズとフランク・ランジェラの二人の名優によって演じられる主人公の両親が、トボけた雰囲気の変人ぶりを見せていて面白かった。特に、腰痛を抱える母親が座ろうとせず、レストランで一人だけずっと立っているシーンは笑えた。それから、主人公の不倫相手の夫側の恋人を演じたオリヴィア・サールビーもいいキャラクターだった。彼らの存在もあり、映画のあちこちにユーモアが散りばめられて、とても良い雰囲気となっている。

 

 

 特殊な状況を受け入れ、幸せな日々を送っていた主人公だが、やはりというべきか、次第に今の関係だけでは我慢できなくなり、遂には受け入れていたルールを破ってしまう。それに対する彼女やその夫のリアクションは、当然ひと味違ったものになるのかなと思っていたのだが、案外、よくある普通の反応だった。結局、進んでいるように見えるフランス人も、我々と大して変わらない同じ人間だという事なのだろう。彼らも平気な顔をしていられるのはルールの範囲内だけで、それが破られると皆と同じように戸惑ったり怒ったりする。ただ文化が違い、そのルールが違うだけだ。進んでいるとか遅れているとかそういう話ではない。

 

 そして主人公の恋は、他の多くの不倫と同じような結末を迎えることになる。二人の表情が見えない居心地の悪いショットのプロポーズは、そうなることを暗示しているかのようだった。そして、それまでのユーモアのある面白い雰囲気から、一気に暗いトーンに変わる。この後は割とよくある展開だったので、暗くなるのは仕方がないにしても、もうちょっと短くまとめて欲しかった。この流れだとこの後、主人公はこの女性と付き合い始めるのだろうなという予想を裏切ってくれたのは良かったが、終盤にちょっと残念な感じになってしまった映画。でも全体としては悪くない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ヴィクター・レヴィン

 

出演 アントン・イェルチン/ベレニス・マーロウ/オリヴィア・サールビー/ランバート・ウィルソン/フランク・ランジェラ/エリック・ストルツ/アラン・ギルバート

 

5時から7時の恋人カンケイ - Wikipedia

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