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「あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE」 1998

あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE

★★★☆☆

 

あらすじ

 国際テロ組織を追っていた二人の刑事は、馴染みのカフェのウェイトレスが人質として拉致されたことを知る。

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 劇場版シリーズ第5作で、スペシャルテレビドラマ「あぶない刑事フォーエヴァー TVスペシャル'98」の後編として公開。舘ひろし、柴田恭兵主演。105分。

 

感想

 テレビのスペシャルドラマを前編とするいわゆるメディアミックスの映画だ。一応ドラマも見たが、別に見なくても大丈夫なような、というかあまり詳細なストーリーは気にする必要のないものになっている。テロ組織がいて、主人公らが彼らと戦っているということさえ理解しておけばいい。

 

 序盤は、主人公らがテロ組織の人間を何度も追い詰めながらその度に逃げられてしまう。焦れる展開だが、主役コンビのいつもの軽いノリでそれを感じさせない。手りゅう弾を使ったコミカルなシーンは、漫画的で面白かった。後の伏線にもなっている。

 

 

 ただ度重なるミスと爆弾による被害で、主人公らの立場は厳しくなる。辞職を迫られ渋々了承する場面は、刑事もの定番の悲壮感漂うシーンのはずだが、ここですらも皆がおチャラけていることに感心してしまった。目の上のたんこぶがいなくなってついに俺の時代が来たと喜ぶ後輩に、クビにすると借金を返してもらえなくなるから困るとゴネる女性同僚と、シリアスな雰囲気は全くない。

 

 これはシリーズが積み上げてきた信頼と実績があるから出来ることだ。コミカルに笑わせておいて、最後はちゃんと小粋にカッコよく締める作品だとの共通認識がある。ここはまだコミカルなパートということなのだろう。観客もそれを分かっている。

 

 ドラマ版のラスボスはあっさりと死んでしまい、映画版のラスボスが現れて最後の対決が始まる。ただこの対決はいつも通りの感じで、特段見るべきところはなかった。だが決着後に巨大タンカーが暴走をはじめ、突如パニック映画風になってからは面白くなった。今見ると素人が作ったネット動画並みの映像クオリティではあるが、それでも緊張感があり、笑いもあって楽しませてくれる。

 

 そして二人の生死がどうなったのかが分からないままエンディングとなる。今作だけでなく映画シリーズ全体の名場面がエンドロールで流れ、連続ドラマ版のエンドクレジットの映像も流される。まるでシリーズの終幕を予感させるような終わり方だ。最後の最後に再びコンビが顔を見せて笑わせるのかと思っていたが、それもなくただ二人の不在が再度示されて終わってしまった。

 

 どこか寂しさのある結末だが悪くない。祭りの後のようなしんみりとした余韻が残る。

祭りのあと

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スタッフ/キャスト

監督 成田裕介

 

脚本 柏原寛司/大川俊道

 

製作 漆戸誠治/石川和彦/細川知正/伊藤和明/大塚恭司

 

出演 舘ひろし/柴田恭兵/浅野温子/仲村トオル/木の実ナナ/ベンガル/山西道広/衣笠健二/加藤雅也/マイク眞木/本上まなみ/草薙良一/庵野秀明/西岡徳馬/中山秀征*/小林稔侍
*友情出演

 

あぶない刑事フォーエヴァー - Wikipedia

 

 

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