★★★☆☆
あらすじ
新婚の若い女は、つまらない夫と眠るベッドから抜け出し、バイクにまたがって年上の愛人に会いに行く。
マリアンヌ・フェイスフル主演、アラン・ドロンら出演。原題は「The Girl On A Motorcycle」。91分。
感想
映画タイトルとアラン・ドロンが出ていることから、男女の面倒くさい恋愛が描かれるフランス映画ぽい内容かと思っていたが、実際は、裸にぴっちりとした黒革のレーシングスーツを着ただけの若い女が、変態的な妄想をしながらバイクを走らせる映画だった。原題の通り、「バイクにまたがった女」の物語だ。
この若い女を演じているのは先日亡くなったマリアンヌ・フェイスヒルで、知らなかったが60年代を代表するアイコン的存在だったらしい。それも納得の可愛らしさとセクシーさが同居する女性だ。
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似ているなと思っていたが、この映画のレーシーングスーツ姿の彼女は、ルパン三世に出てくる峰不二子のモデルにもなったらしい。
ときおりサイケデリックというか、昭和の意味なく怖いドラマのような映像が挿入されたりして、映像へのこだわりが感じられる。タイトルバックもお洒落だった。
バイクに乗っているシーンの撮り方も、時に開放的に、時に官能的にと工夫が凝らされていて、バイクが持つ様々なイメージを喚起しようとしていることが伝わってくる。主人公がバイクに乗っているシーンが続くが、彼女の魅力と映像の面白さで全然見ていられる。
そして主人公の妄想を交えたツーリングの道中と同時に過去の回想も行われて、彼女の現在の状況が明らかになっていく。数か月前に皆と同じように若くして結婚した彼女が、退屈な夫と平凡な家庭を築き、たくさんの子供を産み育てていくこれからの人生に、すでにうんざりしていることが見て取れる。
それから解放してくれるのが、アラン・ドロン演じる自由恋愛主義者の年上の男だ。しかし彼と密会するためにバイクで国境を越えていくなんて、なかなかロマンチックだ。島国の日本ではありえないことだが、この行為だけで気分が盛り上がってしまうような演出効果がありそうだ。
単なる好色な女の話ではなく、女性の自由や自立についてのメッセージが感じられる内容となっている。彼女を目覚めさせる男がある意味で搾取しているようにみえなくもないが。ラストの悲劇的な結末にはアメリカン・ニューシネマ的な匂いがあった。この他にもヌーヴェルヴァーグやサイケデリック文化など、時代の空気がしっかりと伝わってくる映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/撮影 ジャック・カーディフ
脚本 ロナルド・ダンカン
原作 アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
出演 マリアンヌ・フェイスフル
ジャック・マラン/アンドレ・マランヌ
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