★★★☆☆
あらすじ
女教師と生徒たちの間で起きた騒動を収拾するため、理事会を開くことが決定される。
原節子、池部良、小暮美千代ら出演、今井正監督。石坂洋二郎の小説原作。正続二編の続編。84分。
感想
前作で勃発した女学生と教師の騒動が引き続き描かれる。前作の後味の悪い暗いエンディングでは、医者は半殺し、あるいは死んだのでは?とさえ思っていたのだが、案外と大したことがなくて拍子抜けした。続編へ足を運ばせるための演出だったのだろう。
前半は、問題の処置をめぐる理事会の様子が描かれる。皆が好き勝手に意見を言いながらも、時折妙に納得してしまうような意見も飛び出して、「十二人の怒れる男」のような密室会話劇の醍醐味がある。
そして、張りつめた空気を和ませるように、笑いも織り交ぜられている。厳粛な雰囲気の中で、確認のためとはいえ、生徒の書いたラブレターを真面目に読み上げるだけでも奇妙なのに、公正のために誤字脱字もそのまま忠実に読み上げて、さらに変な空気にしてしまうのは可笑しかった。
なかなかスリリングだったが、議論が「生徒と女教師のどちらが悪いか?」となっていることに釈然としないものがあった。やるなら、「生徒の行為を問題視するかどうか」「女教師の指導は適切だったかどうか」の二点に切り分け、別々に論じるべきだろう。どちらかを正しいと断じたら、もう片方が自動的に間違っていたとなる問題ではない。どちらも悪いとなることだってあり得る。
白熱の議論は、無記名投票の結果をもって終わりを迎える。悪くない結末だったはずだが、誰も歓喜するわけでもなく、どんよりとした雰囲気が漂っているのが印象的だ。まるで「民主主義ってしんどい」と実感しているかのようで、リアルといえばリアルだ。これを、それでも必要なコストだと思うか、面倒くさいから誰か偉い人が決めて欲しいと思うかで、社会の未来は変わってしまうのだろう。
理事会が終わった後半は、登場人物たちそれぞれのエピソードが散発的に描かれて、まとまりのない展開となる。没入感は急速に失われた。そんな中では、杉葉子演じる女学生の、水着姿の胸の突起が気になった。それはいいの?と心配してしまうが、別に見えているわけではないので問題ないという判断なのかもしれない。時代と共に脱毛や下着の着用など、身だしなみの常識は変わっていくので、昔の映画を見ていると妙なところでドキドキさせられてしまう。
バラバラだった展開は、最後に皆が一ヶ所に集まることで一気にまとまりが出る。まとまりすぎだろうと強引さを感じないでもないが、おかげで急激に爽やかにもなった。最後にパッと明るくなる映画だ。未来のために真剣に議論し、そして健康的に仲間と交際する。本来は、これこそが正しい青春の在り方なのかもしれない。どちらかだけでは大切な何かを欠落させてしまうような気がする。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 今井正
脚本 井手俊郎
出演 原節子/池部良/若山セツ子/杉葉子/伊豆肇/木暮実千代/龍崎一郎/藤原釜足
音楽 服部良一
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