★★★☆☆
あらすじ
青果市場で働きながらカメラマンをする男は、依頼された町の風景写真を撮るために、アシスタントの女性と共に東京を駆け回る。
石原裕次郎、芦川いづみ、西村晃ら出演、中平康監督。91分。
感想
やんちゃなカメラマンの主人公が、堅物のアシスタントの女性と共に東京の町を駆け回る物語だ。
序盤、芦川いづみ演じるアシスタントのキャラクター説明のために、小難しいことを喋らせるシーンがある。彼女は、映像表現における世界の潮流を滔々と語るのだが、そこでフランスのヌーヴェルヴァーグにも触れる。
監督の中平康は、ヌーヴェルヴァーグに影響を与えたと言われているが、本人はどういうつもりでこのシーンを撮っていたのか気になった。意識していたのか、話の流れ上必要だっただけで特に意に介していなかったのか。
主人公と彼女が仲良く喧嘩する様子が中心となって物語は進む。よくあるラブコメ的展開だが、今となってはそれほど面白く感じることはない。ただ、あちこちを巡るので、この頃の東京各地の風景が見られるのは興味深い。なんとなく、どこも少し前の東南アジアのような雰囲気がある。
陽気な主人公を演じる石原裕次郎や、眼鏡姿がよく似合う芦川いづみなど、皆いつも通りの演技を見せていたが、その中で、女性アシスタントの弟役を演じた杉山俊夫のキャラクターはある種独特で、強く印象に残る。
姉の代わりに殴られてあげたり、そうかと思えば金を巻き上げたり、出会ったばかりの女性をいきなりデートに誘ったりと、どこか投げやりで行動の読めないところがあって怖さがある。これが当時のクールな若者像なのかもしれないが、彼はそれほど男前でもないし、色々と不思議な感じがする役者だった(どうやら元々はミュージシャンのようで、そのせいなのかもしれない)。
主人公が撮った写真により、ギャングを巻き込んだ騒動になるのがクライマックスだ。物語の途中で唐突にそちらの方向に舵を切った印象だが、中身はあってないようなものなので、それらしい形で終われるように形式を整えたということなのだろう。ただ、被写体となった男がギャングに追いつめられるシーンのシリアスな雰囲気は、引き込まれるものがあって悪くなかった。
あまり構えず、当時の雰囲気を楽しむつもりで見るのが良さそうな映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 中平康
脚本 池田一朗
出演 石原裕次郎/芦川いづみ/渡辺美佐子/杉山俊夫/信欣三/中原早苗/安部徹/草薙幸二郎/殿山泰司/西村晃/東野英治郎
音楽 黛敏郎

