★★★★☆
あらすじ
日本のAV女優と関係を持ちたいと、嘘の映画撮影話をでっちあげて出演オファーを出した学生たち。香港映画。
感想
スタイリッシュな映像にファッションや音楽など、当時流行った映画のスタイル。ウォン・カーウァイ的というか。そんな雰囲気の映画を久々に見て、懐かしい気分になった。「映画」という感じが濃密にして好きだ。
しかし、こうやってアジアを中心に世界中で愛されている日本のAVは誇っていいものなのか迷うところ。日本のやる気のない税金横流し目的だけのクールジャパン政策も、AVを取り扱ったら担当者が俄然やる気を出して取り組むのかもしれない。というか、今現在も日本のAVが人気なのか、よく分からないが。
映画は、日本のAV女優と関係を持ちたいという若者らしい夢を抱いた学生たちが、いろいろ策を練って奔走する物語。セクシーというよりもコミカルさが前面に押し出されており、なかでもアダルトショップのおじさんが若者たちに熱い演説をぶつシーンが面白かった。それから本来なら金を払って雇うはずの撮影班役のエキストラたちを、夢を語っていい気持ちにさせることで、逆にお金を支払わせて働かせるという、現代のオンラインサロン商法と同様の手法を使うシーンもあり、やはりどこにでもこういう上手いことを考える人物がいるものだなと感心させられた。
少し尖閣諸島について触れる部分があるので日本人的に微妙な気持ちになってしまうのと、途中から当初の目的の欲望丸出し感がなくなってしまうのが気になるが、こんな内容なのにちゃんとした青春映画に仕上がっているのが面白い。そして、こんな風に夢を語っていた香港の若者たちは今、中国からの激しい圧力の中でどんな気持ちで暮らしているのだろうと考えてしまう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 パン・ホーチョン
脚本/編集 ウェンダース・リー
脚本 深沢寛
出演 ウォン・ユーナン/ローレンス・チョウ/デレク・ツァン/チョイ・ティンヤウ/天宮まなみ