★★★☆☆
あらすじ
国家により拉致されたある中学のクラスの生徒たちは、テロ組織と戦うことを強制される。
藤原竜也、前田愛、忍成修吾ら出演。撮影中に死去した深作欣二監督の遺作で、息子の深作健太監督が引き継いだ。「バトル・ロワイアル」の続編。133分。
感想
前作では中学生たちが国家によって殺し合いをさせられたが、今作ではテロリストたちと戦わされる。ちゃんとした目標があるので、インパクトはかなり弱くなった。
前作では無意味な殺し合いをさせることで、子どもたちが嫌悪感を抱く大人の理不尽を最大限に表現していたが、今作のものは理不尽ではあるが徴兵されて戦争に行くようなもので、世界的にままあるものになってしまっている。
中学生たちは自らの意志で参加したことにさせられ、作戦がスタートする。最初の目標は、テロリストたちが立て籠もる島に上陸することだ。だが狙い撃ちをされ、ボートの上でバタバタと生徒たちは死んでいく。何もしないうちからいきなり戦争のリアルを味わうことになった。
ただそんなことになるのなら、どのように上陸するかは本部ではなく本人たちに決めさせてあげて欲しかった。その方が死んだとしても悔いは少なかったはずだ。だがこれは馬鹿なトップのせいで現場の兵が無駄死にさせられる旧日本軍あるあるで、戦争のメタファーにはなっている。
その後は子供らしく多少バタつきながらも、順調にテロ組織の本丸までたどり着く。敵の攻撃でカメラが激しく揺れ、破片が飛び散る映像は臨場感があった。ただ、「俺に構わず先に行け!」みたいなよくあるドラマばかりだったのは残念だ。面白かったのは、担任教師タケウチリキを演じる竹内力が、途中でゴジラみたいな撮り方をされていたところくらいだろうか。
後半は、中学生たちが反旗を翻してテロリストの側に回り、今度は国家と戦うことになる。胸が熱くなる展開のはずだが、敵の象徴で目標となるようなラスボス的存在がおらず、ただの局地戦みたいな面白みのないものになっている。心は踊らない。
しかも相手は巨大で負けるのは必至なのに、ただ闇雲に迎え撃っているだけなのもいただけない。それは承知の上で、せめて一矢報いるような迎撃作戦くらいは用意しておいて欲しかった。胸がすくような展開は何もなく、ただじりじりと追いつめられていくだけだった。
国家のために無理やり戦わされるようになる前に、自分のためにちゃんと戦え、というメッセージ自体はいい。だが物語性には欠けた。描写は過激だが、「僕らの七日戦争」ほどの面白みはない中高生向けの映画だ(R15だが)。
スタッフ/キャスト
監督 深作欣二
監督/脚本 深作健太
脚本 木田紀生
出演
前田愛/忍成修吾/酒井彩名/ビートたけし/末永遥/加藤夏希/前田亜季/竹内力/勝地涼/青木崇高/黄川田将也/あじゃ/真木よう子/和田聰宏/千葉真一/三田佳子
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