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「ジョン・カサベテスのビッグ・トラブル」 1986

ジョン・カサベテスのビッグ・トラブル

★★★☆☆

 

あらすじ

 三つ子の子供の大学進学で、金策に頭を悩ませていた保険会社の営業マンは、ある女性から保険金目当ての夫殺害を持ちかけられる。

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 ピーター・フォークら出演、ジョン・カサヴェテス監督の遺作。89分。

 

感想

 子供の進学で、経済問題に直面した保険会社の営業マンが主人公だ。ある富豪の妻に持ちかけられた保険金詐欺の計画に乗ってしまったことから巻き起こる騒動を描いた喜劇となっている。

 

 ただ、笑えるポイントが分かりやすく描かれていないので、注意深く見ていないといけない。見逃してしまったポイントも多そうだ。これは監督の作風なのか、古い映画だからなのか。全体的にあっさりとした演出が多く、主人公が詐欺を持ちかけられた経緯も分かりづらかった。

 

 

 その代わりに、主人公を演じるアラン・アーキンが芸達者で、細かい演技で分かりやすく笑わせてくれる。変な酒を飲まされてむせ返ったり、ヤバい状況に声が甲高くなってしまったりするシーンは、ベタだが思わず吹き出してしまった。また、ピーター・フォーク演じる詐欺師の掴みどころのないキャラクターも面白い。

 

 しかし三つ子だと、何もかも三倍の養育費用が掛かってしまうから大変だ。しかも順番にというわけにもいかず、すべてが同時に掛かる。それこそなんらかの保険を開発すればいいのでは?と思ってしまった。

 

 この三人の子供たちは屈託のない良い子たちだ。主人公である父親が金策で困っていることも察して「別に専門学校だって学べるのだから無理しないで」と思いやりのある言葉を掛けているのだが、イェール大のTシャツを着たり、部屋にペナントを飾ったりと、イェール大へ行きたい気が満々なのは可笑しかった。無言のプレッシャーがすごい。

 

 詐欺師は主人公を翻弄するが、最初から正直に本当の計画を話せばよかったような気がしないでもない。だがそれだと主人公が拒否した可能性もあるので、騙して弱みを握った方がいいのか。悪人の手口だ。本当の計画の方が罪が軽そうではあるのだが。

 

 詐欺を働いた主人公が、ラストで逆に救世主みたいな扱いを受けるのもよく分からなかったが、コメディなので細かいところを気にしてはいけないのだろう。そこそこ楽しめた。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジョン・カサヴェテス

 

出演 ロバート・スタック/ピーター・フォーク/アラン・アーキン/ビバリー・ダンジェロ

 

 

 

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