★★★☆☆
あらすじ
侵略者からの解放を目指す活動家によって復活させられた伝説の勇者ブラックアダム。
「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズの第11作目。125分。
感想
永い眠りから復活した伝説の勇者、ブラックアダムが主人公だ。活動家たちが彼にかつのように国を開放してくれることを期待しているのに、一向に何もしようとしないのがもどかしくもあるが、思ってたのと違う感が面白くもある。彼は自分をヒーローだとは認識しておらず、ただ思うがままに行動している。いってみれば異常に強いただのおじさんだ。
ブラックアダムはそもそもヴィランキャラのようで、その強さを危惧してスーパーヒーローチームがやってくる。気に入らないという理由だけで相手を倒すような、好き勝手に能力を使う彼を抑え込もうとするのだが、冷静に考えると実はスーパーヒーローたちとやってることはそんなに変わらなかったりする。
違いは気に入らない奴に悪のレッテルを貼り、自らの行いは正義だと、いちいちアピールするかどうかだろう。正義面してやって来たヒーローたちが、主人公に肩入れする活動家の女に、侵略されても何もしてくれなかったくせに、今さら何が世界の秩序だよと責められるシーンは辛らつだった。真理なだけに何も言い返せない。
やがて主人公とヒーローたちは手を取り合い、ともに侵略者と戦うことになる。だが主人公は活動家たちのお願いを聞いてあげる気になっただけで、ヒーローたちの理念に賛同したわけではない。たまたま目的が一致したから一緒に行動するが好き勝手にやらせてもらうよと普通のおじさんムーヴは変わらず、ヒーローたちとマウントの取り合いをしながら戦う様子は面白かった。
ところでこのスーパーヒーローチームだが、みなさんご存じ、みたいな感じで特に説明もなく当たり前のように物語に加わって来るので、最初は誰だよと戸惑ってしまった。これまでのシリーズで登場していたわけでもなさそうだが、アメコミ好きにはおなじみのヒーローたちなのだろうか。ジャイアンやしずかちゃんといったドラえもんの主要キャラが、わざわざ自己紹介することもなく話に入ってくるのと同じなのかもしれない。
このチームの中では、MCUにおけるスパイダーマンのような、おっちょこちょいキャラの「アトム・スマッシャー」が好きだった。巨大化する能力もそこはかとない馬鹿っぽさがあって良い。
ヒーローたちのキャラが立っていてアクションも見応えがあり、アンチヒーローの主人公との緊張感のある掛け合いも予測不能で楽しめる。わざとらしくないほどよい熱量の笑いも好感が持てた。だが各キャラの強さのレベルがよく分からなかったのと、主人公がヒーローでない理由が分かった後の展開がベタで、凡庸になってしまったのが残念だ。
スタッフ/キャスト
監督 ジャウム・コレット=セラ
原作 Black Adam (DC Super-Villains Origins) (English Edition)
製作/出演 ドウェイン・ジョンソン
出演 サラ・シャヒ/オルディス・ホッジ/ノア・センティネオ/クインテッサ・スウィンデル/マーワン・ケンザリ/ピアース・ブロスナン/サラ・シャヒ/ヴィオラ・デイヴィス/ジェニファー・ホランド/ヘンリー・ウィンクラー/ジャイモン・フンスー/ヘンリー・カヴィル
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