★★★☆☆
あらすじ
たまたま知り合った巨大企業を率いる一族の女性に託された謎の虫に寄生され、特殊な能力を手に入れてしまった求職中の男。
「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」の第14作目。127分。
感想
大学を卒業するもまともな職に就けない若い男が主人公だ。謎の虫に寄生されて特殊能力を手に入れる。だが巨大企業のCEOに命を狙われるようになってしまう。
まず、能力を手に入れた主人公のキャラクター「ブルービートル」は、ビートルと言っているくらいだからカブトムシをモチーフにしているのかと思ったが、あまりカブトムシぽくない。調べたら「ビートル」はカブトムシを含む甲虫類を指すらしいので、コガネムシ的なものをイメージしているようだ。
また主人公に寄生した謎の虫「スカラベ」も、古代エジプトで神秘的な虫とされていた、いわゆるフンコロガシのことだそうで、カブトムシやクワガタを特別視する傾向のある日本から見ると、感覚的に分かりづらいキャラなのかもしれない。
そして主人公にあまりスーパーヒーロー感がないのも印象的だ。主人公と寄生したスカラベが一体化していないので、超人というよりも「すごい装備を身に着けた人」みたいになっている。ロボコップぽい。
「ヴェノム」みたいに寄生主のクセが強ければ二重人格的なキャラになったのだろうが、オペレーター的な受け答えをするので、ますますAIを備えた装備ぽくなっている。
だから映画の構図としては、スーパーヒーロー対ヴィランというよりも、主人公一家対巨大企業といった方がしっくりくるかもしれない。そしてこの構図で強く感じられるのは、移民である主人公一家のたくましさだ。頼るもののない異国の地で生きてきた一家の団結力と、内に秘めた闘志が垣間見えて熱くなる。
中でも、うまくいかない主人公にいつも優しい言葉をかけていた、いかにも優しいおばあさんが、一家の危機に気持ちが荒ぶり、先頭に立って皆を鼓舞するシーンは可笑しかった。意外な彼女の過去が窺えて、人に歴史ありだなと感慨深くなる。老人を侮る人は多いが、その老人たちは壮絶な過去を生き抜いてきたのかもしれないという想像力が欠けている。
クライマックスは敵地に乗り込んでの決戦だ。昆虫型のメカで敵と戦うシーンはまるで日本の特撮もののようでワクワクした。ハジけるおばあさんとトボけた叔父さんの活躍も楽しい。戦闘モードでモトリークルーを選曲するコミカルな演出も良かった。そして迎える主人公とヴィランの対決も盛り上がった。
そもそもこのクライマックスも、家族が主人公を助けに行く展開になっている。他にも主人公が家族に励まされるシーンは多く、どんなに能力があっても家族の支えがなければ成功は難しい、という移民の境遇を示唆しているかのようだった。最後は助け合うコミュニティの様子も描かれ、異国の地で支え合う移民たちの苦労について思いを馳せる映画となっている。皆に認められるスーパーヒーローになるまでの道のりは遠い。
スタッフ/キャスト
監督 アンヘル・マヌエル・ソト
脚本 ガレス・ダンネット=アルコセル
原作 ブルービートル:青い衝撃
出演 ショロ・マリデュエニャ/アドリアナ・バラッザ/ダミアン・アルカザール/エルピディア・カリロ/ブルーナ・マルケジーニ/ラオール・マックス・トルヒーヨ/スーザン・サランドン/ジョージ・ロペス/ベッキー・G(声)
関連する作品
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