★★★☆☆
あらすじ
心を病んで療養中だった女が、ある朝突然いなくなってしまったことが明らかになる。
感想
ある朝、女が突然いなくなってしまったことから始まる物語だ。なぜそんなことが起きたのか、その過去が明らかになり、そしてその後が描かれていく。映画のような構成だが、各章の冒頭に映画からの引用もされており、映画への強い関心を感じる作品となっている。
最初は物語の流れがうまく飲み込めずに、多少の戸惑いがあった。だが次第に、心を病んだ男女の物語であることが分かってくる。まずは互いの過去が紹介されていくが、それが両親の話から始まるところなどはラテン文学らしさがある。
色んな過去を抱え、心を病んだ男女が出会い、そしてすれ違う。彼らの気持ちが通じたのはほんのわずかな期間しかない。幸福に交わったかと思った次の瞬間には、もう心がすれ違い始めている。
そんな両者の様子が綴られていくが、その描写に趣向が凝らされていて面白い。架空のインタビュー方式だったり、頭のなかの妄想だったり、片方の電話の声だけで構成されて進行していく。長々と続くと多少しんどくなったが、今度はそう来たかと興味深く読み進められた。
ラストは絶望する女が、隣の部屋の幸せそうな家庭を築く女の気分を味わいながら、目を閉じるシーンで幕を閉じる。幸せはこんな近くにあるのに、それは自分のものではない。なんとも切ない余韻が訪れる。
よく分からないところもあったので、もう一度最初からじっくりと読み返したくなった。何度も読み返すことで理解が深まりそうな物語だ。
著者
マヌエル・プイグ
登場する作品
「ジャングルの女王」 ウィリアム・ティーレ監督
「母の嘆き(ミルドレッド・ピアース(字幕版))」
「偉大なる神ブラウン」 「現代アメリカ文学全集〈第13〉喪服の似合うエレクトラ・偉大なる神ブラウン・夏と煙・愛国者 (1959年)」所収
「愚かな貴婦人(La dama boba)」
「不毛」 ガブリエラ・ミストラル
「対位法(恋愛対位法 上 (岩波文庫 赤 259-1))」
「すげかえられた首」 「だまされた女/すげかえられた首 (光文社古典新訳文庫)」所収
「取り残された夜(Out of the Night (English Edition))」
「わたしは自由を選んだ(I Chose Freedom (English Edition))」
「アルジェリア」
「宿命(1956)」
「優しい仲間(夫は還らず)」
「女たち(ザ・ウィメン)」
「八時の夕食(晩餐八時(字幕版))」
「心から心へ(塵に咲く花(字幕版))」
*「ペペ・ル・モコ」
「明日泣く」
「ジークフリートの狂乱((字幕版)美人劇場)」
「雌狼((字幕版)偽りの花園)」
「白鳥の歌(El canto del cisne)」 カルロス・ウーゴ・クリステンセン監督
「トゥランドット(プッチーニ: 歌劇《トゥーランドット》 (期間限定盤) [DVD])」
