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「「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。」 2021

「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

★★★★☆

 

内容

 ベストセラーとなった文章術の本100冊の内容を分析・集計して、頻出する重要なポイントをランキング上位から紹介・解説していく。

 

感想

 プロが文章を書く上で大事にしていることランキングの第一位が、100冊中53冊しか取り上げていないことだったことにいきなり驚かされた。つまりプロですら二人に一人は気にしていないことになる。第6位になると100冊中23冊しかなく、この時点で既に四人に一人しか気にしていないポイントになっている。こうなってくるともはや上手い文章に常識などないも同然なのでは?と、途方に暮れてしまった。

 

 ただ、アンケート形式で各項目が重要かどうかをイエス・ノー形式で聞いたわけではないので、当然過ぎて取り上げなかった可能性もあるし、本として出版する以上は他との差異化を図る必要があるので、敢えて取り上げなかった可能性もある。

 

 

 それから、ひと口に文章術と言っても、文章にはビジネスメールから説明書、論文に小説など様々なものがあるので、それらを一緒くたにして語るのはずいぶん乱暴に思えた。電化製品の使い方を伝えるだけの説明書と、いわば電化製品から作り始めなければいけないような小説では、大事なポイントが異なるのは当然だ。

 

 創作など主観の割合が大きい文章は書き手の想像力や豊かな体験が重要になってくるが、客観性が重視される文章ではそんなものは必要ないし、むしろ邪魔だ。取り上げた100冊に共通点が意外と少ないのは、この違いも影響しているのかもしれない。

 

 この本の前提には釈然としない部分が多々あるのだが、それでも読み進めているとなんだかんだで得るものがあり、かなり勉強になった。こうやって文章を書いている時も、この本で得た知識を念頭に置くようになった。全てを一緒くたにする乱暴さを理解した上で、それでも多くの人が人が言うのだから、やはり重要な事なのだと考えた方がいいのだろう。頷かされることは多かった。

 

 この本は、文章が上手くなりたいと思った時の最初の取っ掛かりの本として最適かもしれない。取り上げた100冊の本のリストも載っているので、一通りこの本を読んだ後で気になった本や興味のある分野の本があれば、次にそれを読んでみるのが効率的で良さそうだ。

 

 しかし本文で様々な文章術を学んだ後に読む、著者二人のあとがきのつまらなさにはびっくりさせられる。上手い文章と面白い文章は違うのだと最後に教えてくれているのだろうか。いくら上手い文章でも、面白くなければ意味がないというのはよく分かった。

 

著者

藤吉豊/小川眞里子

 

 

 

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