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「ビルマの竪琴 総集編」 1956

ビルマの竪琴 総集篇

★★★☆☆

 

あらすじ

 敗戦後のビルマで、抗戦を続ける小隊を説得するために隊を離れ、行方不明となってしまった男を心配する他の隊員たち。

 

感想

 隊長が音楽学校出身で合唱を教え込まれた小隊。部隊の士気を維持するのに有効だとは分かるが、敵の目を避けて行動中とかに大声で歌って大丈夫なのか、ちょっと心配になってしまった。当然、状況は考慮したうえでやっていたのだろうが。

 

 他の部隊を説得するために隊を一度離れるも説得に失敗し、隊に戻る帰途に野ざらしにされた日本兵の死体をたくさん見てしまった隊員の水島。現地の死んだ日本兵たちをすべて埋葬することを誓い、隊に戻らない決心をする。一方の小隊の隊員たちは、戻らない戦友の消息を案じて心配している。ここに両者の切ないすれ違いが生じてしまう。

 

 

 ドライに言い切ってしまえば、水島が自分の決心を隊員たちに語ればいいだけ、という事になるのだろうが、そんな簡単な話ではない。本人だって仲間の元に戻りたい思いはあり、不用意に彼らに近づいてしまうと決心が揺らいでしまうという恐れがあったのだろう。一度たがが外れると際限がなくなってしまうだろうと怯える気持ちは良く分かる。

 

 音楽を愛する一人の心優しい男が、ビルマに留まり悲惨な戦争の死者たちを弔おうと決意するに至った過程が、無理なく自然な形で描かれている。説得を命ぜられた事や、死を急ぐ者や誰にも顧みられず野ざらしにされた遺体を多く目撃することになった事など、偶然の出来事が重なって、必然となっていく。

 

 そして、竪琴やインコなどの小道具の使い方がうまい。それだけで登場人物たちの気持ちを表現してしまっている。インコはもうちょっと滑舌が良ければよかったのだが、あまり滑舌が良すぎても興醒めの部分があるので難しい所ではある。

 

 ラストシーンでは、水島の戦友たちへの想いと今後への決意が手紙で語られる。さらに熱い言葉と音楽で、観客の崇高な気持ちを高まらせ、盛り上げて終わらせることも出来たのに、最後は隊員の一人にぼんやりとした感想を述べさせるだけだったのには好感が持てた。崇高な気持ちで気分が良くなるという心の動きは、人々を戦争に走らせるときの心の動き、高揚感と同じようなものかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督 市川崑

 

脚本 和田夏十

 

原作 ビルマの竪琴 (新潮文庫)

 

出演 三國連太郎/安井昌二/浜村純/西村晃/三橋達也/北林谷栄

 

音楽 伊福部昭
 

ビルマの竪琴 総集篇

ビルマの竪琴 総集篇

  • メディア: Prime Video
 

ビルマの竪琴 - Wikipedia

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